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ささやく―彼の場合

「明日、世界が終わるって言われたらどうする?」

寝る前、今日職場で盛り上がった話題を彼に振ってみた。

「明日、世界が終わるって言われたらどうする?」

「え?なんだよ急に」

「ううん、どうするのかなと思って」

彼はえーと言って笑い、少し考える素振りを見せたあと、何も言わずに私のほうへ近づいてきた。

どうしたんだろうと思っていたら、そのまま私の隣にぴたりとくっついて座り、私の耳元に口を寄せてささやいた。

「お前に愛を伝えきれなかったって後悔しないように、明日、世界が終わるその瞬間まで、ずっとお前にくっついて愛をささやき続ける」

私は、ふふっと笑って「ばか」と返した。

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