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気苦労の多い日本さん  作者: 蓬莱
第1章 世界戦争
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火種

軍事的に動きます

 日ア友好条約、通商条約が締結されてから3ヶ月、外交派遣艦隊の編成や政府が異世界転移を認めたことなどを受け、一時期国内が騒然となったが、それも1ヶ月程度で下火となり、今では両国間に互いの大使館が建っている。そして未だ、日本は新たな戦火に巻き込まれようとは、ましてや、あんなことが起ころうとは思いもよらなかった…



  2019年4月18日深夜、国家安全保障(日本版NSC)にて


 転移から3ヶ月経ち、日本周辺や国内の資源状況がよくわかってきた。


「ふむ…石油の問題は解決、金、銀、クロムなどのレアメタルもここまでの埋蔵量に増えるとは…しかし問題はこれですね…」


 3ヶ月前、佐藤はオオヒルメが言った通りのあたりを徹底的に調査させた。結果、石油は日本が使うだけで600年、さらに、金や銀、クロムといったレアメタルがザクザク見つかったのだ。しかし、調査を進めて行くととんでもないものが発見されたのだ。


「ええ、念のため調べさせていた池島炭鉱跡、通称軍艦島でまさかダイヤモンドの大鉱床、さらには以前からウラン鉱床があった人形峠でもウラン鉱床の増大が確認されました。」


 佐藤の言葉に対し、経済産業大臣の蔵元が報告する。


「困った、大いに困ったぞこれは。道路のルートを大きく変えねばならないな…」


 ここで困った声が初老の男性から上がる。彼は国土交通大臣の佐治である。彼が困った、困ったと呻く理由は人形峠のウラン鉱床の増大である。人形峠には公道が通っており、もしその近辺まで鉱床が延びていたら安全策を講じねばならなくなる。さらに佐治は続ける。


「あと池島炭鉱のダイヤモンドだ。とりあえず今は調査の為という理由で観光船を止めとるが、今後はどうするかまだよく決まっとらん。どのみちしばらくダイヤモンドとウランは公表を避けるべきでしょうな。」


「そうですね…下手に混乱を起こされても困ります…それはまぁさておき、異世界の状況はどの程度わかりましたか?」


 佐藤は検察庁長官元村に報告を求める。


「はっ、ではこの世界の文化は各国で遠いのに似ていたり、隣国なのに全く違ったりとぐちゃぐちゃな感じなようです。同様に科学文化もそのようです。しかし、この世界にはいわゆる「魔法」が存在し、それを利用した道具、機械、兵器が発展しており、航空戦力としていわゆる、竜やドラゴンの仲間であるワイバーンが調教、利用されているようです。しかし中には魔法機械を利用して人工的に空を飛ぶ飛行機、向こうでは飛空機を利用した国もあるようです。次に周辺国の状況ですが、我が国から西に5000kmほど行くとアウス大陸という大陸があり、その大陸の西側には世界最大国家、神聖サザンクロス帝国があるようです。その隣にはプルーボ共和国とサンサ王国があり、この三国は互いに不干渉をとり、争ったりはしていないようです。そして…」


 元村はここからが本題という口調になり、報告を続ける。


「3ヶ月前、条約を締結したアシハラ皇国ですが…どうやら隣国のゲール帝国とはかなり仲が悪いようで、一触即発の状態の模様です。ゲール帝国はここ4、50年で成長した国でバイル大陸の国家はアシハラ皇国を除き全て飲み込まれてしまったようです。また、この世界に亜人と呼ばれる存在が多数存在し、知性のある種は共存共栄しているのだとか。しかしゲール帝国はこれら亜人を蔑視し、奴隷として扱っているようです。亜人はある面では人間より優れた能力を持ちますが、容姿が多少異なります。ゲール帝国では彼らの容姿を気にかけ、結果、蔑視するという形になっているそうです。そして、アシハラ皇国はこういった亜人を多く保護している為、対立関係に至っているようであります。」


 これを聞いた佐藤や佐江島、以下安全保障会議メンバーも深く考え込む。そして佐藤が口を開く。


「早急なる対応が求められま…」


 その時、突然会議室の扉が開かれ、役人が入ってくる。


「か、会議中のところ失礼します!」


「なんだね、この会議が何かを知っての行動かね?」


「十分心得ております、しかし、これは一大事なのです。」


「わかった、報告したまえ。」


 そして報告された内容に一同目を見開き、会議室全体が凍りついた。



  ゲール帝国皇帝執務室


 外は暗い夜の帳に包まれる中、皇帝執務室では豪華な椅子に座った中年の男、ゲール帝国皇帝ルフドル・ヒルラーが部下に報告を求めていた。


「…で、首尾は?」


「はっ、皇帝陛下。ご命令どおりに。しかし一人殺し損ねてしまったようです。」


 この報告にルフドルは「フンッ」といって一蹴する。


「まぁ構わん。軍の状況は?」


「そちらも既に。槍兵10万、弓兵5万、投石機1000台、騎兵3万2千、魔道士1000名。総勢18万3千と1000台いつでも侵攻可能です。予定ではまず国境の町、シタラガを攻撃する予定です。」


「よし、良きに計らえ。この戦争でアシハラ皇国を我がものとし、卑劣なる亜人ども一匹残らず殺し、我らの奴隷とするのだ!」


「はっ!」


 そして即座にゲール帝国によるアシハラ皇国侵攻作戦が開始された。それを知ったアシハラ皇国側はこのことを日本に伝えようと在アシハラ皇国日本大使館に向かったが、そこにあったのは無残にも斬殺された19名の大使館職員だった。幸い、重症ながら大使館職員20名のうち重傷ながら生き残った職員が1人だけおり、その近くには、誤って落としてしまったと思われるゲール帝国軍の短剣が発見された。アシハラ皇国はすぐさま在日本アシハラ大使館に連絡、そして佐藤らの元にこの情報が届いたのだった。



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