二人の決断
一方その頃、そのP-3C機内では…
「龍田少佐!陸地、及び人間と思しき生物と人工物を確認!ん…あの塔にはためいてるのは…旗?国旗のような旗も見えます!」
「よし、直ちに帰投し、報告だ!大村曹長、基地に通信しろ!」
「了解です!」
するとレーダーを見ていた兵士から報告がはいる。
「未確認の大型飛行物体がこちらに接近中!このままだとすれ違います!」
「何⁈高度を3000まで上げろ!」
「了解!高度を3000まであげます!」
こうして、日本国とアシハラ皇国との最初の邂逅は幕を閉じた。かに思われた。
実はこの時、空と地上だけでなく、海でもこの二国は邂逅を果たしていた。
バイル大陸から沖合50km、アシハラ皇国巡視用軍艦「ツバキ」にて
巡視用軍艦「ツバキ」の艦長、ヨシズミ・マツダは混乱していた。なにせ、いつも通りのルートで、いつも通りの巡視を行なっていた最中に突如目の前に巨大な船が現れたのだから。
「な…なんだ、あの船は…でかすぎる…この船の倍以上はあるぞ⁈しかも早い、そして帆もない!一体どうやってあの巨体であの高速性を…しかもあれは大砲?先進国で最近開発されたもののはず…ええい、とりあえず不審船であることには変わりない!臨検だ!拡声器を持ってこい!」
そして、不審船扱いされた護衛艦「さざなみ」では…
「艦長、前方に木造帆船。どうやら軍艦の模様。また、言語は不明ですが警告らしき声を放っております。」
部下の報告に対し、さざなみの艦長、大谷五郎は…
「わかった。直ちに回頭、無為な戦闘は回避する。通信士、基地に連絡しろ。軍艦と思しき船と接触した、とな。」
「不審船、回頭します!」
見張り台からの報告にヨシズミは内心ほっとする。
「(フゥ…引き返してくれるか…しかし大陸共通語が通じなかった?…ッ⁈まさか…いやまさかな…しかし本国、とくに皇都に直接報告が必要そうだな…)…面舵いっぱい!本国に帰投する!」
そして日本には即日首相に、アシハラ皇国には2日後国皇に報告された。
首相官邸総理執務室にて
「何!陸地!しかも国らしきものが存在するですって⁈その報告に間違いないんですね⁈」
佐藤の叫びを防衛大臣の佐江島は肯定する。
「ああ、間違いねぇよ佐藤さん。こりゃ速攻で外務省行きだな。」
「そうですね。」
そう言って佐藤は外務省に電話を掛ける。
「私です、佐藤です。大臣の大友さんを呼んでください。」
電話に出た係員はすぐに外務大臣の大友に繋ぐ。そして佐藤は大友に佐江島からの報告を語った。
『なっ…⁈わかりました!直ぐに選任、派遣します!』
「お願いします。佐江島さん、〈アレ〉はもう動かせましたよね?」
「ああ、動かせるし、就役も完了してるが…いいのか?あれは最新だからここは別のやつでも…」
「いえ、ここがどんなところかわからないなら尚のことです。」
「だがよぉ、これはいかくにもなりかねねぇぞ?」
「構いません。侮られるよりかはマシです。ここは戦後日本初の”戦艦”と”空母”による艦隊を出しましょう。」
「あんたがそこまで言うなら仕方ない。海軍には俺から言っておこう。」
こうして、日本は外交官派遣と、戦後日本初の試みを行うことを決定した。
動く、動くぞ!そんな感じで筆が進みました