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気苦労の多い日本さん  作者: 蓬莱
第1章 世界戦争
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二箇所の苦労

  2019年1月13日首相官邸閣議室にて


  転移から3日、連日顔を合わせ続けている内閣の大臣たちは、円卓の上で皆一様に無言で顔をしかめていた。その静寂を破ったのは首相の佐藤だ。


「はぁ…どうしてこんなことに…いきなり衛星通信は消え、GPSは使用不可能。その影響で一般の交通に大きな影響が出てしまいました…」


佐藤は48歳とかなり若いが首相になって今年で三期目で、再来年度で与党自由民衆党の総裁の任期終了とともに首相を辞任する予定だった。

そんな最中にこんな出来事が起こってはもうしばらく首相の座を降りたくても降りれないだろう。


「佐藤さん、その台詞はもういい加減聞き飽きた。今俺たちが領海内を偵察させてる。その結果を待つ間、この国内の資源状況をなんとかせにゃならんだろう?」

 

と、隣の貫禄のある男が厳つい口調で言う


「そうですね佐江島さんのいう通りです。報告では食料は配給にして5ヶ月、石油は半年…その間になんとかせねばなりませんね」


 日本は再軍備の後食料自給率の向上を目指し、農業改革を行った。結果、自給率は五割まで上がったものの、それだけでは1億2000万の国民を養うことは到底できない。故に、再軍備後も向こうの世界では食料を輸入に頼っていた面が大きくあったのだ。そして佐藤に荒い口調で突っ込んだのは防衛大臣の佐江島だ。現在はこの現象調査のための国防軍指揮権を佐藤から委任されている。


「とりあえず、この方針で発表しましょうや。国民にはこの現象については調査中と発表しときましょう。多少の抗議は起こるだろうが、何もしないよりはマシだ。」


佐江島の提案には閣議室にいた各大臣全員が首を縦にふった。そしてその後行われた記者会見にて、首相の権限で憲法の一部を停止し、領海内から調査範囲を領海外へと広げることも発表された。



  とある空間、とある時間軸にて


  おそらく人間には認知が不可能なこの空間で、かなりオロオロとした女性と思しき声が響き渡っていた。そしてその隣で老翁と思しき声が女性と思しき声と会話していた。


「あ、あぁ…どうしましょう、どうしましょう…地上が少し大変だからほんの少し手を貸すつもりだったのに…」


どうやら手違いで慌てている模様


「いや、どうしようもないじゃろ…」

「だ、だって…かの島々は妾の父母が産んだいわば兄弟…少し資源を与えるつもりがまさか転移するなんて…」


「じゃから、もう諦めろ。いくらオオヒルメとは言え下手に元に戻そうとするのは危険がすぎる。この先は人の子次第じゃろうて」

「うう…妾のせいだ…少し引きこもるので放っておいてください…」


「待て待て待て!あの時どれだけお主の周りの神々が苦労したと思っとるんじゃ!少しは考えい!」


「そうですけど…」


「わかった、手を貸そう。儂もこの島々が行き着いた先の者。少しでも楽になるようにするとしよう」


 かような感じでこの二つの声は言葉を交え続けた。

 


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