表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気苦労の多い日本さん  作者: 蓬莱
第1章 世界戦争
13/37

終戦と予感

か、かけたどぉ〜

「なんということだ!ありえん!エンゲル!これはどういうことだ?5万は全滅、残りも潰走状態。挙げ句の果てには領内で反乱の嵐だ!しかもあの蛮族どもにパルコ軍港を取られた…奴らはその気になれば、いやもうじき、ここ帝都に押し寄せるぞ…」


 ゲール帝国の皇帝執務室では皇帝ルドルフは末期な総統レベルにキレていた。

 海戦から2週間が経ち、後続の日本軍も到着。2日足らずでシタラガの町を奪還するとグイグイとゲール軍を押し込んでいった。

 ゲール軍はシタラガを奪還しようと突撃するが、日本軍の89式小銃と96式装輪装甲車から放たれる12.7mm機銃の弾丸の雨を食らった挙句、迫撃砲と後続で配備された第27砲兵大隊からの砲撃でボコボコのズタズタにされたのだ。しかもパルコ軍港にはP-3C改造爆撃機が7発のクラスター爆弾を投下し、見事に焼け野原にし、そこへアシハラ皇国軍が上陸占拠。その後周辺の軍事施設も占領したのだった。

 まぁここまで軍がやられたら今まで占領してきた土地での武装蜂起は当然のごとく起こり、奴隷まで反乱を起こす始末。

 これにはルドルフも某伍長閣下よろしくな「畜生め!」をかまし、宰相のエンゲルに散々当たっているというわけである。

 ただ、そのエンゲルも、もううんざりしていたのだ。「この男とこの国はもう終わりだ。ならばこの手で終わらせよう」とそう決心した。

 そして彼はルドルフに切り出す。


「陛下、ここは危険です。奥地の直轄領に避難しましょう」


 この言葉はルドルフのプライドの琴線にふれ、ルドルフは激昂した。


「馬鹿なことを言うな!偉大なる我が帝国が!ましてやその君主たる我が!逃げる?できるか!何としても死守し、我を、帝国を守……………は?」


 彼は自分の体に何かがのめり込んだ感覚を覚え自分の体を見る。

 すると体にはナイフが刺さっており、血が溢れ出ている。そしてそのナイフの持ち主は…


「エ、エン…ゲル…き、貴様…」


 ドサァ…とルドルフは倒れ、エンゲルに呪詛を吐ききる前に息を引き取った。


「陛下、これも国のため、民のためです。ですから…死んでください……衛兵!衛兵!」


 エンゲルは衛兵を呼びだすと、すぐに衛兵がくる。そして衛兵は部屋の惨状に驚く。しかしそんなことは気にかけず、エンゲルは衛兵に指示をだす。


「皇帝陛下は逝去された。これより政治、軍事の権限は私が受け持つ。まずは降伏の旨をパルコ軍港の敵軍に伝え、全軍に戦闘停止命令をだせ。それでもなお戦闘を続けた者は反逆者だ。殺して構わん」


「はっ…しかし…」


 衛兵は反論しようとしたが、エンゲルは衛兵をきつく睨みつけ黙らせた。



  パルコ軍港アシハラ皇国軍指揮所


「司令官!ゲール帝国皇帝ルドルフ・ヒルラーが逝去。宰相のエンゲル・ゲットルシュが政治、軍事を執り行うとのこと。それに伴い、ゲール帝国は我が軍に降伏。交渉を要求しています!」


「⁈皇帝が逝去?あの若さでか?」


 ルドルフは中年とはいえまだ死ぬには若すぎる。故に指揮所一同が不審に思った。


「はっ、おそらくエンゲル・ゲットルシュが暗殺したものと思われます。かねてよりかの者にはルドルフ・ヒルラーに対する不満があったと言う噂は耳にしております」


 司令官の副官は司令官にそういった。ともあれ、このことは日本にもアシハラ皇国にも伝えられ、直ちに講和会議が開かれることとなった。



 講和会議は実にスムーズに進んでいった。内容は以下の通り


 ○ゲール帝国は奴隷制、及び亜人差別を廃止し、法で禁ずる。


 ○ゲール帝国はアシハラ皇国に対し、バイル大陸の半分を譲渡する。


 ○ゲール帝国は日本、及びアシハラ皇国に地質資源調査権、及び賠償金5000万ヘルク(2億円)支払う


 ○ゲール帝国は帝国を廃し、共和制へと移行する。


 上記の形で講和が両国間で成立した。ここで疑問になるのが、諸地域の独立である。が、これは正直無理だ。なぜならゲールは占領した地域に片っ端から入植してしまったため、人種などで民族自立が成立しない。また、戦時中の武装蜂起も大半が皇帝退位を望むものだったので問題はないと考えたのだ。

 そして、日本はここで資源調査権を獲得し、好きに資源開発ができるようになったのだ。これで日本の資源不足はさらに解決、改善されるだろう。

 かくして、後にバイル大陸分断戦争と呼ばれる戦争は終結。この結果に対して、諸国、特に先進国、もっと具体的には南洋圏の科学先進国、アストラル軍邦が興味を持ったのはそう時間のかからないことだった。




  アストラル軍邦総統執務室


 アストラル軍邦は軍事国家、というか軍人国家というのが正しいだろうか、そういう政治体制だ、名目上は。

 というのも、もう70年ほど前になろうか、その辺りの時代で政変のようなものがあったのだ。言うなれば、国政方針の転換だ。

 実はアストラル軍邦、日本と同じ転移国家で、政変と同時期、というか転移してから政変が起こったのだ。理由は単純で、外的脅威がなくなったからだ。前の世界では世界中どの国も戦争をしていて、国家の独立の為には軍事力を大きく持つしかなく、島国であるアストラル軍邦はそれが顕著にでた(島国といってもオーストラリアの3分の2はある巨大な島と、多数の島で構成された大国だが)。

 ともあれ、政変により軍人国家というものが形骸化した現在、非常に緩やかな統治が行われ、繁栄しているといっても差し支えない。

 そして、国家元首たる現総統パントラ・ロンはバイル大陸分断戦争の結果に非常に興味津々。特に日本という最近自分たちと同じ境遇に遭った国に。


「ふーむ…このニホンという国……」


 真剣な顔をするパントラに報告してきた高官は声をかける。


「面白い!興味深いぞ!この報告通りなら、我々よりも科学力は上かもしれん!いや、我々どころではない、この世界のどの国よりも、だ!」


「は、はぁ…しかし、私にはブラフにしか見えません…魔法を持たぬ国がここまでのことができましょうか?」


「さぁな、見てみねばわからんぞ…ムフフ…」


 なんかすごく悪い笑みを浮かべる。


「あ、あの〜総統閣下?まさか…」


「ははは、いやいや、我々から行くものか。待つのだよ。近いうちにニホンは我が国と接触を図るだろうさ」


 ホッとしたのか呆れたのか、高官は深く息を吐き出し、執務室を後にした。

 パントラの予感はすぐにでも当たってしまうのだが…


えー、いつになるかは不明ですが、ある船を出そうと思います。今回はそちらの方を公開というか紹介

戦艦サザンクロス

全長501m

全幅72m

主砲80cm四連装砲四基

副砲31cm二連装砲四基

対空砲、及び対空機銃350基

魚雷発射管60基


となります。え、どこの国かって?名前の通り神聖サザンクロス帝国ですとも。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ