クラスメイト
「ここみたいだな。では入るぞ!」
僕が決意を新たにしているとどうやらクラスについたようだ。やはり、メイドのお付きが認められるクラスだけ合って、他のクラスとはなにか違う雰囲気を感じる。
そんなことを考えている内に夏樹様と香月さんはもうクラスに入ってしまった。
「ほらぼーっとしてないで入るわよ」
僕に向けてぼそっとつぶやいた春菜様も動き出してしまったので、僕も急いで春菜様の後ろをついていった。
中に入るとそこには春菜様のようないかにもお嬢様というような人ばかりだった。やっぱり夏樹様みたいな人は少数派だったんだね。
僕達がとりあえず席に向かって歩いていると、我が強く芯がしっかり通ってそうな雰囲気を持つ美人が僕達に話しかけてきた。
「久しぶりだな2人共。会えるのは知っていたからな楽しみにしていた」
「お久しぶりです冬歌さん。私も会えるのは知っていたので楽しみにしていました」
「おお! 冬歌ではないか。おまえもこの学校だったのか久しぶりだな! 」
「なんだ、夏樹は私がこの学校だと知らなかったのか。さてはクラス名簿を見てないな」
推定冬歌様は夏樹様を見てクスクスと笑い出した。この人も多分2人の友人なのだろう。何かこの人もこのクラスでは少し変わっている雰囲気を感じる。もしかして類友っていうやつなのかな? だとすると春菜様も……
『イタッ!』
春菜様は僕の雰囲気をすぐに察し皆に見えないようにつま先を踏んできた。どうして僕の考えがこんなにわかるんだろう。もしかしてエスパーなのかな? 僕たちがそんな風にしている間にも話は進んでいた。
「春菜にも話したが、クラス名簿を見てしまえばワクワク感が減ってしまうではないか。そんなことをしては勿体無い! 現にこうして出会いがあり楽しい思いをしているのだから、私の選択は正解だったのだ!」
「こうも考えてみろ。先に名前を知っていることで、私たちと会うまで楽しみが続くと。これならば一瞬の楽しみは無いが持続的な楽しみは味わえるぞ」
「むぅ……確かに。だが私は一瞬の楽しみを大事にしたいのだ! これで正解だったと信じるぞ」
「それはそうとそこの2人のメイドに私と私の従者の紹介をしていなかったな。私は、雪宮冬歌だ。一応そちらの2人とは友人だ。多分関り合う機会も多いだろうよろしく頼む。ほら皐月お前も挨拶しろ。」
「冬歌様のお付きをしております、皐月ですよろしくお願いします。これから3年間よろしくお願いします」
皐月さんは、とても柔らかい笑顔をしながら挨拶をしてきた。正直この中で一番令嬢をしているのではないかと言う雰囲気をまとっている。
その後僕たちも挨拶をした後、僕たちメイドの話になった。
「皐月はいいぞ、私に絶対の忠誠を誓っている。私が指をなめろといえば舐めるし、私が手伝えといえばどんなことが合っても私を優先してくれる」
「そんな……私は当然のことをしているだけです」
皐月さんは顔を赤くしながら答えていた。それに対して夏樹さんも対抗をしようと、
「私のメイドだって、私が指をなめろといえば舐めるし、私が手伝えといえばどんなことが合っても私を優先してくれるはずだ!」
「いえ、指を舐めるのは汚いのでチョット。後食事中に手伝えと言われても、ご飯が冷めてしまうので食事を優先します。」
「おい!!」
夏樹様は涙目になりながら、香月さんに本当に私を優先してくれないのかと詰め寄っていた。それに対してはいはい大丈夫ですよ。指は舐めませんが夏樹様を優先しますよと頭を撫でながらあやしていた。本当に姉妹みたいだなー。
「それで、春菜のところのメイドはどうなんだ? 夏樹の所がとても仲がいいのはわかったが、春菜の所も仲いいのか?」
それに対して、春菜様も一瞬迷った後に答えてくれた。
「そうですね。私のそばに一番いてくれた人でしょうか。私が最も信頼している人の1人ですよ。」
春菜様も実はそう思っていてくれたのか。何時も馬鹿にされたりつねられたり踏まれたりしているから気付かなかったけど、こんなにも信頼してくれていたのか。何か感動するな。
「後、一番重要なことですけどとても可愛いです」
感動を返してください・・
「ふむ。たしかに可愛いな。私のメイドもドレスを着てパーティに出せば誰もメイドとは気づかないとは思っていたがそれ以上に可愛いな」
「確かに! 私も最初思ったんだよね。メイドなのに私よりもお嬢様っぽいなーって」
失礼ですが夏樹様よりお嬢様っぽいメイドはたくさんいると思います……。あとボクは男なので可愛いと言われてもむなしいだけです……隣では春菜様がニヤニヤとしながら
『良かったわね。バレそうにないわよ』
と目で語りかけてくるしかんべんして欲しい。
「いえいえ、そんなことはないです。私も皐月さんをみてとても可愛い人だなと思いました。」
「ありがとうございます。でもやっぱり、紅葉さんのほうが可愛いと思いますよ」
「どちらも可愛いでいいじゃないか。それより、春菜がそこまで信頼するとは珍しいな。春菜は皆に一定の信は与えるが根っこの部分では信頼するのは自分だけという感じがしていたのだが。」
流石友人だけ合ってよくわかっている。確かに素を見せるのは僕だけだし、周りを頼ってはいるが完全な信頼はおいてないんだろうなとは僕も思っていた。そしてさっきの言葉で僕には信頼をおいているとしれて僕は感激です。
「そんなことないですよ。特に紅葉は信頼が強いというだけで、皆信頼していますよ」
ほんとかー? などと冬歌様が茶化している中で夏樹様が何かを思い出した顔をした。
「そうだ、一番近くにいた人で信頼している人といえば、確か春菜には生まれた時から一緒の執事さん居たよね!」
春菜様僕の話をしたことが合ったんだ。どんなふうに伝えているのかな? 多分外面は良いからそんな悪くは伝えていないだろうけど……
「ん? 確かにそういえばそんな話をしていたな。だいぶ昔のことだから忘れていたな」
「いやー私も忘れてたけど今思い出したよ。確かその執事さんのことが好きなんだよね?」
「えっ!!!」
思わず叫んでしまった。春菜様が僕のことを好き!?!? いやだって今までそんなそぶりはなかったし、えっまさかあのいじわるや僕にだけ見せる姿はかまってほしいからとか? 僕が好きだからそうしていたの?
「どっどうした? そんなに大声を上げてもしかして何かあるのか?」
「いっいえ……私も春菜様の家で仕える関係上その人のことも知っているので、そんな関係には見えなかったなーと」
「んんん?? はっ! もしかして紅葉もその執事さんのことが好きとか!! そしてお嬢様とその執事を取り合う3角関係とかとか!!」
いえ3角関係も何も2人ですし1本も線はありません。
「そこの所どうなの春菜?」
「別にそんなことはありませんよ。秋人くんとは確かに生まれた頃からの付き合いですけど恋とか愛とかは特にありません。紅葉と3角関係などは100%ありえませんから安心してください」
『やっぱりそうですよね』
それに対して夏樹様はうそだーという顔をしながら更に追求してきた。
「ふーん秋月くんッて言うんだ。でもあの時のことだいぶ思い出してきたけど、あれは絶対恋する乙女だったね。軽く頬を染めて秋月くんのことを語る姿は完璧に乙女だった!」
「うん、私も思い出してきたがあれで好きじゃないとは絶対に言えないような表情をしていたな」
1本も線はないと思ったけどまさか本当に? まさか本当に僕のことが好きなの? ソーっと春菜様を見ると今までにないくらい睨まれた。なんで僕が向くとすぐわかるのかな? これもまさか?
「なんで、紅葉を睨んだの? ていうか春菜がにらむの始めてみた。やっぱり3角関係なんじゃ!」
「ですから、それはありえません。この話はやめにしませんか? 私と秋月くんの恋とか愛などはありえませんしこれ以上は不毛ですよ」
「みなさん座ってください」
「むう終わりか。後で追求するからね!」
「そうだな、こんな春菜は珍しい後が楽しみだ」
夏樹様と冬歌様が更に追求を深めようとした所で担任が入ってきてしまったためこの話は保留になった。
「私が貴方を好きなんてこと絶対ないから。勘違いしないように」
春菜様は無機質な声で僕に釘を差してきた。やっぱり違うのかな……