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入学式

「えーであるからして」


「ぐぅ……」


 夏樹様は式が始まって少しすると頭が揺れ始めそれから少しして寝てしまった。あれだけ始まる前は楽しみにしてたのに、香月さんは起こさないで良いのかな? 夏樹様に対して春菜様は式が始まってからは少しも動かずしっかりと話を聞いている。さすが自他ともに認める外面がいいだけはある。


「あの香月さん、夏樹様寝てしまってますけど起こさなくて良いのですか? あれだけ楽しみにしてたのに……」


「大丈夫ですよ。夏樹様は、始まると言う雰囲気が好きなだけで長い話は嫌いですからいつも寝てしまうのです。逆にこれで起こしてしまえば、起きるときに確実に大声を上げますので後で怒られてしまいます」


「そっそうなのですか」


 僕が小声で尋ねると、香月さんも小声で答えてくれた。起こすと怒られるというのは理不尽だなと思ったが気持ちはわかるかもしれない。始める前の準備が一番楽しいともよく言うしね。


「ご当主様はその性格もなんとかして欲しいらしいのですが、これを治すのはなかなか難しいでしょう」


 そういえばさっきももう少しお嬢様らしくなってほしいとかなんとかご当主様に言われたって言ってたな。僕は合って時間が立ってないから夏樹様の性格をすべて知ってるとはいえないけれども、それでも好ましいとは思うんだけどな。


「僕は、会って少ししかたって無いとはいえ、夏木様の性格には好感を持てると思うのですが……」


「私も彼女のことは好きですし、勿論ご当主様も愛しています。ですが1人娘として、これからのためにもお嬢様としての振る舞いくらいはできるようになってほしいみたいです。それこそ春菜様のようになって欲しいのでしょう」


 夏樹様が香月さんを馬鹿にしてるのを想像できないので春菜様のようになることはないでしょう。僕がちらっと春菜様を見ると、こちらを向きニッコリとほほ笑まれた。


『怖いです春菜様』


 その後入学式は、夏樹様の記憶を置き去りに何事も無く終わった。結局最後まで寝てたね。


「夏樹様起きてください。終わりましたよ」


「は!! 寝てないぞ!! 別に私は寝てないぞ!!」


本当に大声を上げるのですね……


 入学式は終わったが、クラスごとに教室に集まり、教師のあいさつと明日の予定のお知らせがあるらしいということで、僕たちは教室に向かうことにした。


「どうして起こしてくれなかったんだ!」


「おや、寝てないのではなかったのですか?」


「む、そうだ寝てないぞ。いやー校長の波乱万丈の人生話は面白かったな!」


勿論そんな話はしていないけど夏樹様の夢のなかの校長はどんな人生を歩んでいたのかすごく気になる。


「そうですね。いやー校長が富士の樹海でクマと殴り合いをした話は手に汗を握りましたね。」


「そうだな! その後クマと仲良くなりクマに乗り無事樹海から出られた時はあんどしたものだ!」


『夢の内容がわかってる!?』


 全くヒントは無かったはずなのに、夢の内容をわかることができるなんて、これが姉と妹の関係のなせる業なのか。これは僕たちもやるしか無い!


「春菜様校長の「えぇ校長の言うとおり3年間勉学に励み頑張りましょうね」あぅ……はいそうですね。頑張りましょうね……」


 そんなにも、兄妹は嫌なのかな……確かに執事とお嬢様っていう身分差があるとはいえ、夏樹様と香月さん以上に付き合いは長いはずなのに……やっぱり僕と家族なんてありえないんだろうな。


「はぁ……学校生活では貴方のこと頼りにしていますからね紅葉」


「はっはい!」


 そうだ、僕は執事なんだ。この頃の僕はおかしかった。彼女の兄だ姉だと彼女を家族として考えようとしていた。彼女の執事として僕がいらないと言われるまで仕えることが僕のご当主様から与えられた指名なのだから、これからも執事として頑張っていこう。まあ今はメイドなんだけどね……


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