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とあるメイドさんの1日

 私は暁の家に仕えてウン10年になるメイドです。秋人君の誕生も、春奈様の誕生も見てきたお姉さんです。こらそこおばちゃんじゃんとか言わない。


 私の朝は、秋人くんと料理を作るところから始まります。最初は私が料理を教えていたのですが、今では秋人くんのほうが料理は上手くなっていまいました。恐るべき女子力です。


「おはようございます」


 そんなことを思っていると秋人くんがやって来ました。この頃の秋人くんは、朝はメイドの格好をしているのですが、本当によく似合っていると思います。


「おはようございます。そろそろ秋人くんの格好にもなれてきましたね」


「あまりなれないで欲しいんですけどね……」


 それは無理ですね。逆に学園を卒業した後に、逆に朝男の格好をした秋人くんを見ると違和感を感じそうです。


 そんなことを思っているうちに、秋人くんは朝食の用意をテキパキと勧めてしまいます。本当に女子力が高いですね。


「では、私達も食事にしましょうか」


 仕事の関係上、当主様たちと私達の食事の時間はずれてしまいます。このことで、春奈様が秋人くんと一緒にご飯が食べたいとごねたのもいい思い出です。今も春奈様は可愛いですが、あの頃の春奈様もとても可愛かったですね。


「そういえば、秋人くん学校の様子はどう? 青春してる?」


他のメイドが秋人くんに向けて学校の様子を聞きました。私も気になっていたところだったのでちょうどいいですね。


「学校ですか? はい僕は楽しく過ごしています。春奈様も友人二人と過ごしてとても楽しそうですよ」


「そっかそっか。いやー楽しそうで何よりだね! それで、春奈様との関係は?」


「春奈様との関係ですか? 特に変わらず仲良くしてもらってますが?」


「はぁー、ダメだねー」


 全くです。春奈様の気持ちは、この屋敷の誰もが知っています。それこそ、ご当主様も奥様も知っています。知らないのは彼だけです。


「???」


 秋人くんは首を傾げています。皆さん応援してくれてるのに、彼だけが自分なんてありえないと思い込んでいて、春奈様の気持ちに気づいていません。これはそろそろどうにかしないといけないのでしょうね。


「では、片付けはお願いします」


 秋人くんは、食事を終え春奈様のもとに向かいました。そういえば秋人くんは、よく春奈様と2人で部屋で話していますが、何を話しているんでしょうか?


 あまり彼も教えたがらないので知らないのですが、私の予想では、春奈様が彼にアタックを仕掛けていると思っています。


 春奈様と秋人くんが学校へ行ってしまいました。行く前にちらっと見えた春奈様は体調が悪そうでしたが大丈夫でしょうか?


 心配するのも大事ですが、私も仕事をしなければいけません。では頑張りましょう。


ーーー


 仕事もほぼ終わると、春奈様と秋人くんが帰ってきました。春奈様は眠っているらしく、秋人くんに背負われていました。ですが、私の女の勘が囁いています。あれは起きていますね。あれは起きているけど離れたくないから寝たふりをしていると見ました。


 秋人くんは春奈様を背負って部屋に行くようです。私に


「ベッドに運んだら、しばらく近くで看病したいので、なかなか出てこれないと思いますがすみません」


と声をかけてきました。確かに春奈様は朝調子が悪そうでしたからね。異性としてではなくとも、春奈様第一の秋人くんとしては心配なのでしょう。まあそれが、春奈様を苦しめてもいそうですが。


「わかりました。では食事の準備の時間になったら来てください」


 食事だけは、彼がやらないと味が落ちてしまうので仕方ありませんが、それ以外の仕事は私達で頑張りましょう。


 食事の準備の時間になりましたが、彼はやって来ませんでした。いつも時間はきっちりと守るはずの彼が部屋から出てこないとなると、なにかあったのでしょうか?少し心配ですね。見に行きましょうか。決してたいはありませんよ。


 春奈様の部屋の前までやって来ました。


「春奈様、秋人くんどうかしましたか?」


 ノックをして声をかけても返事はありません。それから数度繰り返しましたが、返事はないようです。


「入りますよ」


 返事がないので仕方ありません。私は春奈様の部屋へ入ることにしました。緊急的処置というやつです仕方ありませんね。


 部屋を見た限り、春奈様も秋人くんの姿も見当たりません。いや違いますね。ベッドが少し盛り上がっています。これは……


 私がベッドに近づくと、2人は仲良く抱き合ってベッドで寝ていました。


「明日の朝はお赤飯でしょうか?」


まあ、そこまでは致していないでしょうが、何かしら関係に変化があったのでしょうか? いやでも、私は、春奈様の部屋で2人で何をやっているのか知りません。


 もしかしたら日常的にこうして眠っていたのかもしれませんしどうなんでしょう?取り敢えず、今日は、私がご当主様に謝って料理の準備は秋人くん無しで行うことにしましょう。


ーーー

 

 関係が進んだのは確かなようです。メイドや執事の食事の席に秋人くんが居なかったので、まだ寝ているのかと思っていたのですが、違ったようです。


 春奈様が、昔のように秋人くんとご飯を食べたいと言ってごねて、今日だけならと一緒に食べることになったようです。食事の補佐のメイドが皆に興奮気味に伝えていました。


 しかも、隣にくっつくようにして座り、春奈様が秋人くんにあーんまでしていたようです。秋人くんは困った顔をしていたようですが、それも応じていたようで、これは絶対に何かありましたね。


 その後も、今日は私の部屋に泊まって看病をしてほしいと頼んでいたようですが、それは流石にご当主様に止められたようで、すごく残念にしていたそうです。


 これはもう確定と言ってもいいのではないのでしょうか? まあ少し春奈様のキャラが壊れているようですけど、仕方ないことです。もう何年前からもわからないほど前から抱いてきた気持ちが溢れてしまったのでしょう。一度溢れてしまったものはもう止まらないものです。


 これは、本当に明日の朝はお赤飯を炊かなければいけないようですね。

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