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学園案内

「学園案内の案内役を務める藤宮霧江だよ。よろしくねー」


 神は死んだらしい。うんまあ正直なんとなくだけど予想はしていた。でもこの予想は外れて欲しかったな。唯一救いがあるとすれば、霧江が僕のことを言う気がないところかな。

 他のメンバーとしては、夏樹様と冬歌様とメイド2人の6人グループだった。これも救いではあるかな。


「そういえば、霧江先輩と紅葉は知り合いだったか。だが財布を拾って届けたくらいであのような反応をするか?特に紅葉はしそうにないと思うんだが?」


 冬歌様には僕たちの関係を疑われているようだ。正直あの反応は過去に何か合ったとしか思えないよね。


「いやいや実は、あの時私が感極まっちゃってさ、抱きついてくるくる回るわ、腕をブンブン振るわでめちゃくちゃしちゃったんだよー。あの時は悪かったね。ぐったりしてたし大丈夫だった?」


 霧江は、追求された後のことも考えてくれていたらしい。僕は、追求された後のことなんて考えていなかった。流石こういう追求を交わすことに関してはなれてそうなだけはある。


「少し疲れてしまいましたが、特に問題もなかったので大丈夫ですよ」


「ごふっ」


 だからそこで笑わないでよ。ほらみんなに不審がられてるじゃないか。

 霧江がいきなり笑い出したのにみんなが首をかしげていたが、一応みんなはスルーをしてくれたらしい。


「なるほど。なんとなく印象に残るのはわかる気がするな」


 冬歌様も、今までの霧江の様子と説明に納得してくれたらしい。本当に良かった。


「じゃっじゃあ学校案内を始めるからみんなついてきてね」


霧江は霧江でいつまで笑ってるの。僕だって恥ずかしいんだよ?


---


 その後は、特に何事もなく、学校内の案内は進んでいった。お嬢様学園だけあって、ステンドグラスの窓やシャンデリアがかかっている部屋が合ったり、プラネタリウムなど個性的な部屋も合ったが、他は基本的な学園と大差がなさそうだった。


「だいたいこれで見終わったかな? 後どこか気になるところってある?」


「私は、これくらいですかね?」


 なんとなく学校案内が始まってから機嫌が悪そうな、春菜様は学校案内を早く終わらせたいみたいだ。春菜様もどうせならもう少し楽しもうよ。僕が視線を春菜様に向けると、春菜様は僕に向けて睨んできた……なんでよ?


「そうだな。霧江先輩が学園で、一番気に入っている場所はどこですか?」


 冬歌様が聞くと、霧江は一瞬悩んだ後に、じゃあついてきてと僕たちを案内し始めた。



「ここが私の一番気に入っている場所かな」


 そう言って霧江が連れてきたのは、屋上近くのドーム状になっている部屋だった。だがもちろんそれだけではない。そこには存在感を示すかのように、とても大きな天体望遠鏡が鎮座していた。


「ここは、見てわかるように天体観察施設なんだ。一応プラネタリウムもあるんだけど、それでも本物の星はやっぱり存在感が違うんだよー」


 確かに霧江は、僕と一緒に学校に通っていた頃から天体観測が好きだった。僕たち2人で、天体観測をしたことだってあるほどだ。そう考えるとここが一番好きだというのもよく分かる。今度一緒にここで昔のことを語りながら、一緒に天体観測をしたいな……まあ僕はメイドの格好でだけどね。


「なるほど。確かに、本物の星々でしか味わえないものもあるんでしょうね。今度一緒に見ながら教えてくれませんか?」


「大歓迎だよー! じゃあ、こんどみんなで、一緒に天体観測しようね」


それに夏樹様もメイドの皆さんも、もちろん僕も頷いた。春菜様も本当にしぶしぶながら頷いていた。春菜様、一応霧江は僕のこと隠してくれてるんだよ。そんな態度はいけないよ。


「天体観測が趣味とはいい趣味ですね。私も何度かしたことがありますが、感動を覚えたものです」


霧江は僕の発言に首をかしげた。そこで首をかしげる意味はある?


「何度かって昔わたsごふっ」


 いきなり、霧江は爆笑を始めた。もしかして僕の格好の違和感を忘れてた? そんなに似合ってるかな僕……。あとやっぱりみんな首をかしげているから不審がられそうなことはやめて。


「やっぱり、霧江先輩と紅葉はなにかあるんじゃないですか?」


 ほらやっぱり、冬歌様が訝しんでるじゃないか。


「いやいや違いますよ。やっぱり、メイドなんて普段見ないじゃないですか。それなのに、たまたま交番であった人がメイドをやっているなんて、世間ってわからないものだなって思ったらおかしくって」



「そんなものなのですかね? 私たちの世界は隣にメイドが居るのは、当たり前だったからその感覚は分かりませんが、一般の人だとそんなものなんですかね」


 霧江は、冬歌様を一般の感覚という、お嬢様にはわからない感覚を言い訳に、説得を試みようとしている。でも、確かにびっくりするかもしれないけど、笑うことはないと思うな。


「そうですよー。人生ってわからないなーと思うと面白くて面白くて。くくくっ」


 霧江は、本当に面白そうに笑っている。その様子に冬歌様も納得したようだ。でも面白がっているのは、僕の女装についてだよね。それに人生って僕の人生だよね。


 その後も少し話をしていると、タイムアップである2限目の終了チャイムが鳴った。


「チャイム鳴ったし終わりかなー。じゃあ教室まで戻ろうか」



 僕たちは、天体観察室から外に出てクラスに戻ってきた。クラスに戻る最中に何か会ったら連絡してねと、霧江は僕たちに連絡先を渡してきた。まあ僕は霧江の連絡先を知ってるし、向こうも僕の連絡先を知ってるんだけどね。


「春菜様、霧江が僕のこと内緒にしてくれてよかったですね」


「ええ、そうね。少し肝が冷えたわ。でも……いえ、なんでもないわ」


 春菜様は、安心と残念な気持ちが混ざったかのような複雑な顔をしている。もしかしてバレればよかったのにとか思ってないよね? まあそれはないか。僕と一緒に学園に通いたい気持ちはこの前痛いほど伝わった。あの時は本当に嬉しかったよ。


「何笑ってるのよ」


「なんでもないよ」


 春菜様は、不機嫌そうにそっぽを向いてしまった。そんな春菜様が僕にはとても可愛く見えた。

 僕がニコニコと笑っていると、ポケットから振動が起こった。メールが届いたらしい。


『秋人くん? 久しぶり霧江だよ! 久しぶりに会いたいんだけど今日学校終わってから開いてる?』


 うん、いろいろと言いたいことはあるけど、取り敢えずまず最初に、秋人くんに?を付ける必要はないと思うんだ。

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