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再会したら友人が女装をしていた件について

 僕が目を開けた時、目の前に見えたのは春菜様の顔だった。僕は立ったまま一瞬気を失っていたらしい。って。


「顔が痛い!」


「紅葉ごめんなさい。意識を取り戻させるために、少し顔を叩いてしまったわ」


 いやいや、少しっていう痛さじゃないんだけど。おもいっきり叩かないとここまで痛くならないんじゃないかな。それとも、コップを割る怪力を持つ春菜様ほどにもなると、これが少しなのかな。


「いや、おもいっきり叩いていただろ。フルスイングだったじゃないか」


 やっぱりおもいっきり叩いていたらしい。まあ春菜様も僕が気を失って動揺してしまったんだろう。でも危なかった。ここでもし倒れて保健室にでも運ばれたら、どうなっていたかわかったものじゃない。それを防いでくれたのだから、春菜様には感謝しなきゃいけないのかな?


「しかも片頬を叩いて、倒れそうになったからって、逆側を叩いてバランスをとっていたしな」


 確かに、両頬が痛い。流石に焦ったり起こすためとはいえ、そこまでする必要はないだろう。多分春菜様がやりたかっただけだ。一瞬でも感謝しようと思ったのは取り消そう。


「大丈夫か? 流石にここまでとは想像していなかったのだ。悪かった」


 夏樹様が心配そうに僕に謝ってきた。夏樹様がそんな顔をする必要はありません。僕がバカだっただけで、夏樹様はちょっとした罰ゲームをしようとしただけですから。


「謝らなくて大丈夫ですよ。私が少し考えなしだっただけですから。それより、私を気遣ってくれてありがとうございます」


「心配ないようなら、そろそろ席に戻るとするか。そろそろ鐘がなる」


 冬歌様の言葉に合わせるように鐘が鳴り始めたので、僕たちは各々の席に戻った。まだ口の中が壊滅しているがそれは、僕がバカをした代償として受け取ろう。


 しばらくすると先生がやってきて、今日の説明を始めた。


「今日は、1限と2限を使って学校案内を行います。2年生の先輩たちが来てくれていますので、まずは入ってきてもらいますね」


 そう先生が言うと、廊下に待機していた2年生の人たちが入ってきた。続々と入ってくる先輩たちの中に僕は見知った顔を見た気がした。


「んんん?」


僕が首をかしげて1人の女子生徒を見ていると、向こうも僕が見ていることに気づいたのか僕に向けて視線を向けてきた。


「んんんんんん???」


向こうもなにか違和感を感じたのか、僕に向けて首をかしげて、疑問を持ったような顔を浮かべている。


「んんんんんんんんんんんんん!?!?」


「んんんんんんんんんんんんん!?!?」


しばらく2人で見つめ合っていると、彼女は僕を見て、何かに気付いたのか驚いたような顔を浮かべた。そして僕も、気付いてしまった。


「あああああああああああああああああ!!!!!!」


「あああああああああああああああああ!!!!!!」


 僕と彼女は同時に声を上げた。だが声を上げた理由は全く別物だろう。彼女の上げた声は、僕がこの学校にいるということについてだろう。そして僕の上げた悲鳴は、彼女に僕の女装が見つかってしまった恥ずかしさによる悲鳴だ。ここまでで分かる通り僕と彼女は知り合いだった。彼女がここにいるはずがないと思っていたから一瞬反応が遅れてしまった。……うーん、終わったかな?


「2人ともどうしましたか? 大丈夫ですか?」


 先生が、僕たちを心配したのか声をかけてきた。だが、僕は動揺してしまい返事を返すことができない。逆に彼女、藤宮霧江(ふじみやきりえ)は先生に向けて、返事を返そうとしてしまっている。


「えっえっだって、秋h……」


 そこで彼女は先生に向けていた顔をもう一度僕に向けてきた。頼む言わないで!

 霧江は、僕の顔と僕の隣を見て何かに気付いたかのように、にやりと笑うと、先生の方にもう一度顔を向け直した。


「いや実はですね先生、この前財布を落としてしまったんですよ。それをそこのメイドさんが、拾って警察に届けてくれたんですね。その届けてくれた所で、ばったりと会いましてね。いやーあの時は助かりましたよー。まさか、この学園に来てるとは思いませんでしたよー」


 霧江は、先生に向けて即興で考えた話を展開している。助かった。彼女が優しくて理解が合って、そして何より、面白いことに目がない人でほんとうに助かった。


 彼女とは、僕がこの学校に来る前、1年前に卒業した学校で、クラスが同じでとても仲が良かった。最初は、僕が執事だということに面白がって近づいてきたが、僕ととても話があってすぐに仲良くなった。2人で遊びに行ったことだってある。

 だが結局彼女は、僕に進学先を教えてくれなかった。だけど、まさかこの学園に居るとは思わなかったな。


「あの時はありがとうね! メイドさん。そういえば名前はなんていうの?」


 ありがとうはこっちのセリフだよ。本当にありがとう。取り敢えずここは、彼女の設定に乗っかることにしよう。


「当然のことをしたまでですのでお礼はいりませんよ。私は紅葉といいます。よろしくお願い致します先輩」


「ごふっ」


 霧江が僕の返事を聞き吹き出してしまった。昔の僕と違いすぎて確かに面白いかもしれないけど、こっちも恥ずかしいんだから我慢してよ。


「くっくっく、もっ紅葉さんね。これからよろしくね」


 霧江は笑いが止まらないようだ。ほら、周りもどうかしたのか心配してるじゃないか。頼むからもう少し我慢して。


「霧江さん大丈夫ですか? 取り敢えず、班分けを行いますね」


 先生が、? を顔に浮かべながらも班分けを開始するようだ。神様、失礼だとは思いますが、霧江と同じ班にならないようにお願いします。

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