2日目開始
結局昨日は、1日中春奈様の機嫌は最高潮だった。今日も機嫌が良ければいいな。
「おはようございます。春奈様」
「おはよう。今日は、昨日のように軽率な発言は控えるようにね」
まだそこそこ機嫌がいいようだ。普段ならば。
『昨日のように何も考えない発言を、今日もするようならば、今日こそ本当にお仕置きだから』
これくらいは、言ってきたはずだ。この機嫌を損ねないためにも、少し今からヨイショしておこう。
「春奈様、今日も頑張りましょうね!僕も執事として、まあ学校ではメイドだけど、全力で春奈様の手助けをするからね!」
おや?少し機嫌が悪くなった気がする。まずい修正しないと。
「昨日みたいな軽率な行動と発言は、春奈様の執事として、もうしないって誓うよ」
あれれ?なんかドンドン機嫌が悪くなっていくぞ。というよりこれもう怒ってないかな?
「朝から、執事、執事って学校で言ったらどうするつもりなのかしら?あなたはバカなのだから、今からでも、メイドとしての振る舞いをしておくべきではないかしら?」
朝までの機嫌はどこへ行ったのか。今ではいつもの春奈様に逆戻りだ。どこで失敗したのかな?
「まあいいわ。昨日のように何も考えない発言を、今日もするようならば、今日こそ本当にお仕置きだから」
うん。さっき僕が想像したとおりの台詞を、ありがとう。僕が春奈様のことをよくわかってる証拠だね。うん。それなら、不機嫌の理由を知りたかったな。
学校につくと、夏樹様と冬歌様はもうクラスで談笑をしていた。
「おはようございます。夏樹様に冬歌様それにメイドの皆さんも」
「うむ! おはよう! 春奈、昨日は大丈夫だったか?」
「ああ、おはよう。怪我などしていたら、大ごとだからな」
2人とも春奈様のことを心配してくれているらしい。いい友人をもったね春奈様。
「大丈夫ですよ。怪我一つないそうです。ご心配をお掛けしてすみません」
春奈様から、何も問題ないと聞くと、2人とも、良かったと、自分のことのように安心してくれた。
「夏樹様は、昨日帰ってからも、春菜様の心配をしていたのですよ」
「こら、香月! それは内緒だといっただろう。」
香月さんの暴露に、夏樹様が顔を真っ赤にしながら怒っている。
「あの、冬歌様も、昨日帰ってからパソコンで、陶器 破片 手、などで調べていたので、心配していたのだと思います」
「おい皐月、どこから見ていた。近くにはいなかったはずだぞ」
冬歌様が顔を赤くしながらも動揺している。それに対し、皐月さんは曖昧に笑っているだけだ。犯罪だけはダメだよ皐月さん。
こうして家に帰り、春奈様と別れても心配してくれるとは、本当にいい人たちだ。僕も、今はなかなか会えない友人が、懐かしくなった。まあこの状態であっても困るんだけどね。でも、あの子なら面白いと笑ってくれるかもしれないな。
「それにしても、今日から授業とは厳しすぎると思わないか!」
夏樹様は、いきなりこの学園の体制に、怒りだした。確かに、入学2日目から授業というのは珍しいかもしれない。だけど、このクラスの人は、委員会も入らなくていいし、部活も強制ではないと、特になにか、決めなければいけないことが、ないのだから仕方ない。
「まだ言っているのか。さっきも話しただろう。今日授業をしないのだったら何をするんだ?」
突然話が変わったなと思ったが、春奈様が来る前2人でもうこの会話をしていたらしい。
「自己紹介と、学校案内などがあるだろう!」
「自己紹介で1日が終わってたまるか。それに学校案内は、今日やるには混みすぎているという理由から、私たちは別日にやる予定じゃないか」
「確かにそうだが2日目から授業というのはキツいぞー......」
夏樹様はあまり勉強が好きではないようだ。何ごとも楽しそうにやる人だから、もしかしたら授業も楽しむ人かと思ったが、流石にそれはないようだ。でも、もしかしたらそれも、意識ひとつで変わるかもしれない。
「夏樹様、もしかしたら授業も楽しもうとすれば、楽しいかもしれませんよ」
夏樹様は、何バカなことをいっているんだと言う目でこっちを見てきた。ひどい......
「授業が楽しいわけがないだろう。あんな聞いてるだけで、頭がいたくなるようなものを楽しめるわけがない」
言葉でも馬鹿と言われた……。夏樹様は勉強が本当に嫌いみたいだ。隣で冬歌様がやれやれと首をふっている。冬歌様は、別に勉強が嫌いということはないらしい。
「夏樹様、紅葉さんの言うとおりです。今日1日くらい、勉強は楽しいものだと思って、頑張ってみませんか?」
「むう......香月が言うなら、今日1日くらいは頑張ってみるか」
香月さんからのアシストもあり、夏樹様は、不承不承ながらも頑張ってみるらしい。すべてのことは自分の思い次第なんだ。楽しいと思えば楽しくなるはずだ。頑張ってほしいな。
「みなさん。座ってください」
「朝のホームルームが始まるようだな。ではまたあとで、夏樹は授業を楽しめるかどうか、期待している」
冬歌様は、僕たちへの挨拶と、夏樹様への応援? をしてから、自分の席へと向かっていった。
「では、私たちも、席に戻りますね。夏樹さん頑張ってくださいね」
「では失礼します。思い次第で、きっと面白く思えるはずです!」
春菜様と僕も、夏樹さんを応援し、席へと向かう……黒い笑みが漏れてますよ春菜様。
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「zzzzz……」
まあ思い次第で、勉強が面白く感じるんだったら、誰も苦労しないよね。