喜びお嬢様
皐月さんが、ブルマを返しに行った後、僕たちは病院に行かないといけないということで、解散となった。
「春奈様大丈夫でしたか?」
「ええ、怪我1つないそうよ」
病院で検査を受けた結果、特に細かい傷もなく、無傷ですんだようだ。良かった。これでやっと安心できる。春奈様の手のひらが厚くてほんとよかった。
「誰かさんいわく私はゴリラらしいからね。手のひらは厚いんでしょう」
すごく根に持ってる。帰った後が怖すぎるよ。
「取り敢えず、帰りましょう。外に車を待たせています」
「そうね早く帰りましょう。わかってると思うけど、帰ったらすぐに私の部屋に来るように」
僕はブルーになりながらも、頷くしかなかった。
で、呼ばれたわけはわかってるわね。僕は、お嬢様の部屋について早々、そう聞かれた。
「ゴリラ呼びのことでしょうか?」
自分で聞いたはずなのに、春奈様の額に青筋がたった……理不尽すぎるよ。
「そうね。本当は、あなたの発言に危ないところが多かったから、呼んだのだけれど、まずはそっちから話ましょうか」
僕は踏まなくてもいい地雷を踏んでしまったらしい。
「あれは、春奈様が元気ないなと思って、ちょっとしたジョークで元気づけようと思って」
「嘘ね」
一刀両断されてしまった。なぜわかったのか。
「あの時あなた、心の声が出ちゃったって顔してたわよ」
落ち込んでても、見るところは見てたみたいだ。どうしよう言い訳が通じそうにない。よし、こうなったら開き直ってしまおう。
「だって、普通握力でコップを割ることなんてできないよ。割れた瞬間はってイタイ! イタイ! イタイ!」
僕の発言を聞き終える前に、春奈様は僕に、チョークスリーパーをかけてきた。痛いけど、胸の感触が少し嬉しい。
その感触から、紫色の下着に包まれた肌色成分多めの春奈様が頭に浮かんだ。あれが僕にあたっているのか。
「思い出してるわね? 私の下着姿。では次はその話ね」
春奈様は、僕がさっきの光景を、思い出してるのを察したらしい。春奈様は本当にエスパーなんじゃないかな?
「あれは、どうしても春奈様に僕の気持ちを伝えたかったんだ。そうしたらいつの間にか春奈様の方を向いていて。本当にごめん」
「どうやら本当のようね。まああれは私も嬉しかったからいいわよ。その……私の執事じゃなくなっても一緒にいたいってのは本当なのよね?」
さっきも言ったが、僕ももう春奈様がいない生活は考えられない。できれば、春奈様とは一緒にいたい。
「うん、できれば春奈様とは、ずっと一緒にいたいっていうのは本当だよ」
春奈様は、僕の言葉を聞くとニヤニヤと笑いだした。また悪巧みかな?
「ずっと……ふーんずっとね。まあいいわ。今回のことはなかったことにしてあげる。だから、今日見たことは忘れなさい」
春奈様の下着姿は強烈で、ちょっとあの光景を忘れることはできそうにない。もう目に焼き付いてしまっている。
「忘れようと努力はするけど、ちょっと目に焼き付いて、なかなか忘れられそうにないかな」
春奈様はさらに大きな笑顔を浮かべ、どんどんと上機嫌になっていく。
「まあ、私の下着姿が魅力的すぎるのがいけないから、許してあげるわ」
「うん。小さい頃はよく一緒にお風呂とか入ってたけど、大きくなってからは見てなかったから、1目で視線を奪われるくらい魅力的だったよ」
春奈様は、さらに上機嫌になったようだ。僕としても上機嫌のほうが助かるので良かった。
「本当は、この後あなたの軽率な発言を怒ろうと思ったのだけれど、私も今回は軽率だったし、これから二人共注意するということにしましょう。さて今日は疲れたわ。一緒にお茶にしましょう。今日は私も手伝うわ。」
春奈様は今にもスキップをしそうなテンションで僕と一緒に、お茶の準備を始めた。
明日もいい日になるといいな。