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落ち込みお嬢様

 まずい、このままでは春菜お嬢様のアダ名はゴリラお嬢様で確定だ。そんな現実逃避はさておきコップを素手で割ったのだ怪我をしていないか心配だ。


「春菜様! 怪我は!?」


 春菜様は、さっきの怒りも鳴りを潜め顔を青くしている。もしかしたら手でも切ってしまったのかもしれない。


「えぇ……一応大丈夫そうよ。見た感じだけどね」


 確かに、見た限り怪我はしていないようだ。良かった。


「良かった。でも一応、帰ったら病院に行きましょうね」


 取り敢えず血も流れていないし、大丈夫そうだ。それでも、細かい破片から大ごとになることもあるし病院には連れて行くべきだ。でも良かった。ゴリラ様は皮膚も強いらしい。


「すまなかった。少し煽りすぎたようだ……。だが、取り敢えず濡れた服を2人とも着替えたほうが良い。と言っても着替えを持ってきてはいないだろうな。取り敢えず教務にでも行けば借りられるだろう。皐月少し行って借りてきてくれないか。」


 そして問題はここですね。着替え、まだ心の準備ができていない。だがいつかは通る道だ、今起こったからなんだっていうんだ。それにここで動揺した顔を見せれば、春菜様も負い目に感じてしまうだろう。それは避けたい。


「大丈夫ですか?ああコップが割れてしまったのですか。申し訳ありません。」


 騒動に気付いたマスターがこちらに来て謝ってきた。貴方が謝る必要はありません。悪いのは全部こちらですから。


「いえ、こちらが握りしめて割ってしまったのです」


まだ春菜様も動揺しているらしい。ありのまま起こったことを答えていた。動揺していたとしても、もう少し言い方合ったんじゃないかな?案の定マスターもポカーンとしている。事実なんですゴメンナサイ。


「取り敢えず、着替えたらどうですか? 飲み物を零してしまい服が濡れてしまった人用に、ジャージを何着か用意しています。両者ともサイズは合ったはずですから、嫌でなければどうぞ。」


 流石マスターは、動揺もすぐに収まりジャージを着ないかと提案をしてくれた。


「服は、次に喫茶店に来るときに、返してくれれば結構です。その時に飲み物でも頼んでくれれば、こちらも嬉しいかぎりです」


大人の対応だ。僕もこういうおとなになりたいものだ。でもさっき皐月さんが服を借りに教務に向かってしまった。どうしようか?


「皐月のことは気にしないで良い。着替えられるなら早く着替えたほうが良い。マスターでは更衣室を貸してもらえるか?」


「ええ、大丈夫ですよ。では、お2人共更衣室に案内します」


「えっ!!? ゴリラ様と一緒ですか!?」


「あ?」


 まずい声に出てしまった。怖いです春菜様、それではゴリラではなくヤクザです。

 だが春菜様は怒りを急激にしぼめて、また落ち込み始めてしまった。なんとかしたいな。それでも、周りには普通に見えるのは流石だと思うけどね。


 周りといえば、香月さんは少し上を向いて笑いを耐えるのに必死なようだ。それでも頬が少し緩んでしまっている。夏樹様と冬歌様にいたっては笑いを漏らしている。というか夏樹様は大爆笑している。自分が言っといてなんだが、少し失礼じゃないだろうか。一番失礼ないのは僕でしたね。ごめんなさい。


「どっどうしたのだ?クフフ……大丈夫か?」


夏樹様が笑いながらも、心配して声をかけてくれた。こういうところは、本当に夏樹様は優しい。だが心配を騙すようで悪いが、ここは、利用させてもらおう。


「すみません。実は、お腹に少し傷跡がありまして、あまり見せたくないのです」


「そうか……確かにあまり見せたいものではないな」


夏樹様は、僕の言葉を信じてくれたらしく、神妙な顔をしてくれた……騙して申し訳ありません。


「確かにあまり見せたいものではないだろうな。だが大人数で着替えるわけではないんだ。2人が後ろを向いて着替えれば済む話じゃないのか? 春菜も、見ないでくれといっているものを見るような性格はしていないだろう」


 どちらかと言うと、僕が見ないかが問題なのですが……勿論見ないけどね。確かに冬歌様の発言はもっともすぎる。知らない人がいっぱい居る中で、見ないでくれならまだしも、メイドとお嬢様だ。それくらいの信頼関係はあるだろう……どうしよう。


「勿論私は見ませんので安心してください」


 えええ!?まさかの春菜様からの援護射撃。僕は男だよ、もしかして落ち込みすぎて、それすらも忘れてしまったの!


「春菜もそう言ってるし、少し嫌かもしれないが我慢してくれ。悪かった。」


冬歌様が、そう言うと周りも、決定したかのように動き出してしまった。これ以上駄々をこねても、怪しまれるだけだ。ここはもうしょうがない。絶対見ませんから大丈夫ですよ春菜様!……いつもなら春菜様から、何か反応があるはずなのに何もない。僕は大丈夫だから、はやく元気を取り戻して欲しいな。


「では大丈夫ですか?」


 僕が春菜様を心配していると、マスターが案内を始めてしまった。これは覚悟を決めるしかないようだ。

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