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恋愛?親愛?

「追加のたまごサンドでございます」


「ありがとうございます」


 結局ボクは追加のたまごサンドを注文してしまった。だって美味しかったんだから仕方ないね。


「よし、ではそろそろ本題にはいろうか!」


「そういえばそうだったな。忘れそうになっていたが、本来の目的は、春菜の恋愛事情についてだった」


 春菜様はニコニコとそういえばそうでしたね。ですが本当になにもないんですよ。などと返しているが、


『ちっ忘れていなかったか』


という心の声が聞こえた気がした。ダメだよ春菜様。こういう会話が友情を作っていくんだから。でも、なるべくボロは出さないでね。


「本当になにもないのか?」


「今は違くても、あの時は好きだったーくらいはあるんじゃないの?」


「本当になにもないんですよ。秋人くんとは、生まれた時からの付き合いですから、それこそ夏樹さんのところと同じように、兄妹みたいなものなんですよ」


 えー……兄妹みたいなものって、僕昨日と今日で何度否定されたかわからないんだけど。まあ言い訳としては最適に近いだろうし、仕方ないんだろうけど、それなら普段も認めてくれてもいいのにな。


「兄妹みたいなものかー。確かにそれなら恋愛関係にはならないか……」


「いやまて。おまえのところは姉妹だろう。姉妹と兄妹を一緒にしてはいけない。兄妹で恋に落ちる話なんて山程ある」


 冬歌様は以外にそういうお話が好きなのでしょうか?でも兄妹での恋愛は少し背徳的すぎるのではないでしょうか?


「それに言ってしまえば関係としては、隣りに住んでるお兄ちゃんみたいなものだろう。そこから恋愛に発展する話なんてそれこそ星の数ほどあるものだ」


 確かにそうだ。兄妹と入っても、幼なじみのお兄ちゃんならばそれこそ、定番中の定番だ。やっぱり春菜様は僕のことを……春菜様どうなんですか?


『ないから』


 ですよねー。春菜様からみたら僕は、隣のお兄ちゃんというより、隣のお兄ちゃんのペットの犬なんだろうな。……悲しい


「確かにそうだ!私も漫画で読んだことがあるぞ! 小さい頃から、隣のお兄ちゃんのことが好きなんだけど、あうたびにツンツンしちゃうの。でも本当は--ってやつだな!」


「残念ながら、本当に血のつながった兄妹のような愛ですね。恋愛より親愛が勝ってしまっています。」


 そこで冬歌様はニヤリとほほ笑んだ。


「ほう、恋愛より親愛が勝ってしまうか。ということは、恋愛感情があることは否定しないんだな。しかも兄妹のように過ごしてきたんだ。新愛の感情は多大なものだろう。もしかするとそれに近いくらいの恋愛感情もあるのではないか?」


やっぱり僕に恋愛感情を向けてる!?


『ないから』


 ですよねー。知ってました。


「言葉の綾ですよ。親愛の気持ちが強いと言いたかっただけで、恋愛感情はありません」


「うーむ……よくわからんぞ! 好きなら好きでいいじゃないか。何がダメなのだ!」


 夏樹様、それは男らしすぎると思います。でも夏木様の性格なら、好きになってしまったら、その日のうちに突撃しそうだなとも思った。逆に冬歌さんなら、好きになったら外堀を埋めていって断れなくしてから告白しそうだ。僕が思考に埋没していると、冬歌様にいきなり質問された。



「よし、紅葉。お前は春菜のメイドだろ。ということは、春菜とその執事君の関係も知っているはずだ。2人がどんな感情を持っていそうかなどと応える必要はない。ただ2人の生活について応えるだけでいい。紅葉が知っている限り昔からで頼む。」


 えっ! 春菜様、どうしましょう。2人きりの時の性格までは答えないとして、どこまで本当のことを言えば良いのでしょう。


「紅葉さん、貴方が話せる範囲で話していいですよ」


 全部任せられてしまった……どこから話せば良いのか。もういいや小さいころの話は人づてに聞いたことにして、全部話してしまおう。そのほうが、小さい頃からの知り合いで、兄妹みたいなんだなってわかってくれるだろうし。でもどうせなら春菜様にも伝わるように、もっと兄妹ということを強調しよう。


「そうですね。小さいころの話は人づてなのですが、春菜様と秋人さんは、春菜様が主導して、いつも2人で兄妹のように遊んでいたそうです。」


 自分のことをさんづけするのは、初めての経験で少し恥ずかしいな。


「その後大きくなるに連れて、2人で遊ぶことは少なくなったのですが。今でも、いつも兄妹のようにいることは変わらず、2人で御茶会をしたり、2人で春菜様の部屋で、お話することも多いですね。多分秋人さんがお屋敷にいるうちの半分は春菜様と過ごす時間でしょう。本当に兄妹みたいですね!」


 伝えきったぞ! どうだ、これほどまでに兄妹を強調すればきっと2人もいや3人も、本当に兄妹みたいだと思ってくれることだろう。


「なにか兄妹を強調し過ぎじゃないか? まあいい、話を聞いた私からの判決を言い渡そう」


 そこで一度、冬歌様は言葉を区切った。そしてみんなの緊張が高まる中、冬歌様は重大なことを告げるように口を開いた。その仕草に僕も否応に緊張が高まっていく。


「うん、多分2人は隠れて付き合っているな。これは確定だろう」


あれれれれ? 兄妹だって伝えきったはずなのにおかしいな?

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