第2話
私は目立ちたくないのに目立ってしまう子供だった。
私は自分で思うけど、割と華やかな顔立ちをしているので、目立つ生徒から目をつけられた。目をつけられるといっても、イジメのターゲットにされるとかそういうことじゃなく、一般的にはいい意味。グループ作ろう、とかそういう意味。
教室の中って、きっと何人かのグループに分かれてて、グループが階段みたいに位分けされている。私は目立つ生徒で作られたグループに当時位置していた。まあ、グループは当然男女で分かれてるから、休日はマスカラとかファンデとかでバッチリ化粧する女子と、一緒にいた訳だ。私は中学生のうちから化粧とかしたくなかった。というか、親が許してくれなかった。でも遊ぶときは必ずそういう女子から化粧品を顔に塗られた。よしっこれでかわいくなった、とか言われて。
バカみたい、と思う。最初はクラスで上のグループに入ってることで多少優越感に浸っていたが、次第に色々なことが面倒になっていった。上の女子は当然上の男子と仲良くて、大人しい下の男子には目もくれなかった。
上の男女どうしのカップルは常に何組か存在していた。下の男女どうしのカップルもあったが、必ず周りから軽蔑の目を向けられていた。有り得ないとかダサいとか言われて。
上のグループでは、休み時間の会話内容は、だいたいいつも恋バナだった。話は決まって彼氏とキスしたとか、あとは不満とか。私は内心辟易していた。まだ中学生だろうが、と心の中でツッコミを入れていた。そんな人たちと一緒だったから、私も勿論彼氏ができた。自分だってバカじゃないか、と思う。
当時彼氏とデートしたこととか、しゃべったことや、一緒にやったことが断片的に頭に浮かんでくる。うわーー。ヤバイ、死にたくなる。胃がえぐられていくような気分になる。
今振り返れば、私の学生時代は嫌な思い出ばかりだ。上のグループに位置している子は大抵バカで、テストの結果が返されると、低い点数を大笑いして自慢するかのように見せ合っていた。そんな中私は勉強ができたので、一瞬ハブられそうになったこともあった。できたといっても、中堅レベルで決してすごく良くできた訳では勿論ない。
私は、全く楽しくなかった。バカみたいに騒いで大声で笑わなくちゃいけない生活。ハブられそうになってから、常に周りの目を気にして過ごした毎日。
でも、上のグループの他の子はみんな楽しそうだった。キラキラしてて、まさに青春って感じで。笑顔だって間違いなく本物で、汚れが一切なかった。
だから、私はそこにいるべき人間じゃなかったんだ。