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太陽と雨  作者: ひかる
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第1話

「小説家になろう」2回目の投稿です。

「ちょっと意外」

目立ちたがりな子が嫌いだった、と言ったときに太陽が言った。

ベットの中でもぞもぞ動くと、少し温かくなるような気がするから不思議だ。

「寒い?暖房上げる?」

「別に大丈夫。こうしてるとあったまる」

すると、太陽の腕が後ろからやってきて私はたちまち抱きしめられる。

「花のいい匂いがする」

私の首すじのあたりに鼻をこすりつけて言う。

「バーカ」

まだ明日の予習をやってない。でも、眠気が襲ってきて憂鬱になる。朝やるとなると大変だし、今しなきゃだけど面倒いなー。

「明日何限から?」

ソファーの上に無造作に置かれているクッションが目につく。私がクリスマスにプレゼントしたものだ。

「講座?」

それ以外に何があるんだ、と思ったが敢えて言わないでおく。減らず口を叩く女だと思われたくない。でも、太陽なら別にいっか。私たちはもう何でも言い合える関係になっている。

「三限からだから午後からだよー」

「いいなぁ」

さっきから少し甘ったれた声を出す太陽を、かわいくもウザくも思う。

「花は?」

「一限から」

何故か私の首すじから顔を動かした太陽が、おもしろい。驚きを表現してるのはわかるけど、ちょっと天然要素が入っている。

「だーかーら、予習しなきゃ」

すぐにベットから出ようと思ったが、後ろを振り返り、軽くキスをしてから起き上がる。

「一限何?」

俺、先寝ちゃってていい?、と太陽が訊く。

「日本文学」

どうぞどうぞ、と私は続ける。

すぐにスースー、という寝息が聞こえて、私は少しだけど微笑ましく思う。付き合ってから一年ちょっと過ぎるけど、付き合った当時と太陽は全く変わってないと思う。

カリカリとシャーペンを動かしてみるがすぐに飽きて、レジュメを眺めるだけでいいや、と妥協しそうになる。カーテンの隙間から外を見ると、向かいのアパートの部屋の電気がほとんど消されていて焦る。明日雪でも降らないかな、と唐突に思う。あーバカな考え、やめたやめた。まだ夜の12時だし、大学生にしては寝るの早すぎだぞ、と自分に言い聞かせる。寝るな、私。あっ、太陽も大学生だった。

再びシャーペンを動かし、頑張ることにした。だけど、あくびが止まらない。顔を叩いて眠気を吹き飛ばす。大学生って楽だと思ってたけど案外キツイな、と思う。堕落してるからか、少しの勉強も苦痛に感じる。あーしたサークルか。てか、明日は自分の部屋で寝よう。太陽のことは好きだけど、四六時中一緒にいるのはごめんだ。

何故か中学生の頃の出来事が、頭をフラッシュバックする。あの頃は周りに振り回されてばっかだったな。思い出したくもないのに、どうして急に頭に出てくるんだろう。記憶を消したい、と思えば思うほど鮮明に頭に浮かび上がる。


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