第8話 新たなスキルと旅立ち
「さて、ではわしからお主へ送るスキルを選ぶかの」
そう言い神様はスキルを選び始める。
「まずはわしからはお主へ祝福を与えようと思うのじゃ。後はお主は生前、自分の無力さに辛い思いをしておったようだからの、[自己回復力促進]の魔法と[成長促進]の特殊スキルを技能スキルの[モンスターテイム]を与えようと思う。後はわしの趣味のスキルをいくつか与えるかの(ぶつぶつ…)」
そう矢継ぎ早に言い、最後の方は小声でぶつぶつと囁いてから最終的なスキル画面を表示する。
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名前 金瀬 春樹
年齢 29歳
性別 男
種族 人間
HP 185
MP 165
力 16
耐久 23
敏捷 18
器用 15
魔力 10
技能スキル
[モンスターテイム]
魔法スキル
[自己回復力促進]
[物質変換(鉱物限定)]
特殊スキル
[意思疎通]
[成長促進]
[メニュー]
称号
[創造神ザナドゥの祝福]
[転生者]
体質
[幸運へ導きし者 ∞]
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「なんか……いろいろ気になるものが増えましたね」
そう言い神様に聞いてみると神様はのりのりで説明してくる。
「まずはステータスが増えたのはわしの祝福の効果じゃよ。魔法の[魔力変換]じゃがどうも調べて見たら[イース]では、属性魔法よりこちらの魔法の方が主流のようでの授ける事にしたのじゃ。あとは特殊スキルの[メニュー]じゃが、流石にこれだけのスキルや、称号の[転生者]というのが生まれつきあるのは要らぬ災いを招き兼ねないのでの、スキルを非表示にする機能を付加しておいたぞい」
そう言いのりのりで説明していた神様が急にしんみりした状態になる。
「どうしたんですか? 急にしんみりし出して」
「いやの……スキルも決めてしもうたからの、もうすぐお主とお別れの時間じゃと思うと寂しゅうなってきての」
神様がそう言うと、今まで真っ白なだけの空間だったが少し前に木製の人一人が通れそうな扉が出現した。それを見て神様との別れの時が来たのだと気づいた。
「そうですか……もう、お別れの時間が来たようですね……ザナドゥ様、何から何までありがとう御座いました。短い間でしたがザナドゥ様のお蔭で僕は僕の生涯に悔いなく、新たな人生を歩むことが出来ます」
神様がしんみりしているから僕までしんみりしそうになったので、そうなる前に別れの挨拶をしてしまう。
「うむ、お主との語らいのひと時とても有意義な時間じゃった。これは、助言なのじゃが……向こうに行ったら毎日瞑想するのじゃよ、その時には自分の殻だけでなくその殻から溢れて魔力が行き着くであろう場所を探し、その殻も満たすように行うのじゃ。後は、これはわしからの贈り物なのじゃが、今渡しても持ってはいけんのでの、お主が転生したのちに、近くに人が全く意識しない山がある、そこの崖を調べてみることじゃよ」
神様も最後の助言と贈り物、別れの挨拶をしたので二人の間にしん……とした静な間が出来るが、何故かとても心地いい静寂だった。それでも別れは済んだので僕はその心地よさを振り切って扉に向かって歩き出した。
ガチャっと音がして扉は何の抵抗もなく開いた。扉の向こうは何も見えないが光が眩しいくらいに輝いていた。
「では、行ってきます」
それを最後に僕は扉の向こう側へ歩きだす。
歩く僕の背中に神様からの力強い声が響く。
「お主の人生には何も間違った事などなかった。お主はお主のまま、二度目の人生を自由に胸を張って歩むのじゃ。後はもう少し自分勝手に生きなさい。〈はるき〉の人生に幸多からんことを…」
神様の最後の言葉を背に受け、僕の意識はだんだん白くなり最後には意識を失うのだった。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。