第7話 不幸の真相とスキル
神様がそう言ってカミホに向かって作業を始めた事で手持無沙汰になった僕は神様に僕が行くことになる世界の事を聞くことにした。
「神様、僕がこれから向かう世界の詳しい話を聞きたいのですが…」
神様はカミホに向かって悪戦苦闘している雰囲気だがこちらの話を聞いて話し始める。
「先ほども言うたが剣と魔法の世界じゃよ。その世界は[イース]と言い、お主の世界と違い科学は進んどらん。その代わり魔法と家事魔獣と呼ばれる魔物が生活を支えておる。家事魔獣とは元は魔物じゃったが種族の中で気性の穏やかな者を厳選して人工的に交配させ、それを繰り返して誕生した魔物のことじゃよ」
それを聞いて神様が何故僕がこの世界が一番適していると言ったのかを理解した。
「そして冒険者と言う人から依頼を受けたり、魔物を倒して素材を売ったりして生計を立てておる者も居るよ。その中には魔物使いと言い魔物を仲間にして戦わせる者もおる。これは才能に左右されるのじゃがお主は問題なくなることが出来るぞい。後は、魔物使いの上位に位置する存在で騎獣師と言う者も居りこれは魔物使いよりもランクの高い魔物を仲間に出来て更に、騎乗して空を飛ぶことも出来るの、これらの存在は国の最高戦力と呼ばれておる」
その話を聞いてだんだんと僕も新しい世界の事を考えうきうきした気持ちになってくる。
「取り合えず、これが今のお主の現段階のステータスじゃよ」
そう言い神様はカミホをもう一台出し僕に渡してくる。
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名前 金瀬 春樹
年齢 29歳
性別 男
種族 人間
HP 105
MP 15
力 8
耐久 15
敏捷 10
器用 7
魔力 2
技能スキル
魔法スキル
特殊スキル
[意思疎通]
称号
体質
[幸運を分け与えし者 99/100]
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「えっと……これは良いのでしょうか?最後の体質は一体……」
現在のステータスを表示されたが、これが果たして良いのか悪いのかが自分では判断が付かないが明らかに一つおかしな物も見つけたので神様に問いかけた。
「お主は不思議に思うたことはないかの?お主の幼少期から高校時代まで幸運が訪れなかったにも関わらず、お主が大学に無事に入学出来た事、大学で親友に恵まれた事、ペットショップで花崎 初華を始めとした従業員達、お客さんに恵まれた事、その答えがこの体質じゃよ」
そう言い神様は体質[幸運を分け与える者]の詳しい内容を表示した。
[幸運を分け与える者 99/100]
・他者(意思ある全て)から好意を集め、一定量溜まったら好意の分だけ他者に幸運を招く。
好意が足りない内は、自身の幸運を他者に与える。
☆ 特殊条件を満たしました。体質を変化させますか? 【YES】 【NO】
神様にそう言われ、その内容を読んで何故自分に悪いことばかり起こったのかを理解して浮かんできた感情も、やはり良かったと言う感情だった。
「僕に悪いことばかり起こったと言うことは、それだけ多くの人に幸運を与えていたということなのですね。僕の不幸も意味があって良かったです」
僕がそう言うと神様は納得したような、何処か腑に落ちないような微妙な顔をした。
「この短い間の付き合いしかないわしでも、お主がそう言うだろうことはわかったのじゃが、これだけ言わせて欲しい、お主はもっと自分勝手に考えても良いと思うのじゃがの」
そう言って神様はため息を吐く。
「神様にそう言ってもらうと大変心強いんですが、これが僕なのですぐには直らないですよ」
そう言って僕は苦笑いする。
「まぁ良い。それよりもわしがステータスを贈る前にお主の体質が特殊条件を満たしておるの、まずは【YES】を選んで体質を変化させるのじゃ」
そう言われてそんな項目があることに初めて気づいた僕は慌てて【YES】ボタンを押した。
そしたらどこからともなくファンファーレの音が鳴り響き脳内に音声が響き渡った。
<[特殊条件]・同種族の不特定多数に大量の愛を与えられる。・他種族の不特定多数に大量の愛を与えられる。・その愛に気づき、その愛を受け入れる。以上三点の条件を満たしたことを確認しました。体質の変化を開始します>
そう頭の中に響き体の奥に何とも言えない暖かさがを感じる。
<体質変化の終了を確認しました。変化内容を表示します>
その音声が脳内に響き渡ると同時にカミホの画面に変更内容が表示された。
[幸運を分け与えし者 99/100]→[幸運へ導きし者 ∞]
同種族・他種族問わず多くの者から一生かかっても使い切れないほどの好意と愛を受け取った者に与えられる。
絶望に陥った者達を幸運へ導く者。孤独を知り、愛を知ったからこそ導ける者達が居る。その効果は尽きることがない。あなたの生に愛と感謝を。
その変化内容を確認して神様は自分のことのように嬉しそうな顔をするのだった
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