第1話 気づいたら…
初投稿です。拙い所も多いと思いますが、楽しんで頂ければ嬉しいです。
「あれ……ここは何処だ?」
男が気付くとそこは一面白く覆われた、ただただ広い空間だった。
「気が付いたかの?」
後ろから声がしたので振り返ってみると、そこには初老で髭を蓄えた一言で言えば仙人のような老人が立っていた。
「……どちらさまでしょうか」
「通りすがりの仙人じゃよ」
目の前の老人は自分を仙人だと言いニヤニヤと笑みを浮かべている。
「えっと……人違いです!!」
それだけを言い残すと僕は全力のダッシュで戦線離脱しようとする。
僕は昔から逃げ足にだけは自信があった。
「まだ自己紹介しただけで何も言っていないのじゃがの」
仙人のような老人は僕がいざ走り出そうとした方向の1m先に瞬時に移動していた。
「やるな仙人……伊達に修行してないぜ!」
反応の早さと逃げ足には多少自信があったので思わず毒づいていると謎の仙人が更に話しかけてくる。
「はて……人違いでは無いはずなのじゃがな」
謎の仙人はいったい何処から取り出したのか、ルーズリーフ数枚位の何か書かれた紙を眺めていた。
「僕は先祖から仙人のような老人が話しかけられたら逃げるように言われていますので」
「はて…おぬしにそんな事を言う先祖はいないはずじゃがな」
謎の仙人は手に持ったルーズリーフをパラパラ見ながらは話てくる。
「確かに居ないですけど…」
「認めるんじゃな…そもそもその反応はお主のキャラじゃないじゃろうて」
「そうでしょうか? 今一過去を思い出せなくて……そして、この状況に少し現実逃避をしたくなりまして」
確かに、うろ覚えだけどこの老人が言うように、僕はいつも人当たりが良くなるように控えめに自分の感情をあまり出さずに過ごしてきたように思う。
「もう現実逃避は良いのかね?」
仙人はとても楽しそうにニコニコしながら話かけてくるのだった。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。