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彼女とバレンタイン

作者: 孤影友誼
掲載日:2013/02/11

私、好きな人がいるの。

いきなりそんなことを言われると正直戸惑うだろう。

僕は今そんな状況にいる。

なんで?って聞いたら彼女は顔を赤らめて好きだからって言った。

ずるい。彼女が好きというからにはとてつもなくいい男なんだろう。

僕はその時彼女は僕が好きなわけではないという事に気づいた。

別に外見も性格も普通な俺に女友達なんていなかったのに、

学校では同じクラスでもないのに休み時間になるといつも教室に来て話しかけてきた。

毎日一緒に帰ったり、家の方向は違うのに家の前まで来てくれたり。

僕の勘違いだったのか。

じゃあ、誰が好きなの?

な・い・しょ。彼女は人差し指を口に当てていった。

可愛い。初めは普通の、僕に好いてくる女子としか思っていなかったのに。

最近は気づけば見とれている。

たぶん彼女の一つ一つの言動が俺の心に揺さぶりをかけているのだろう。

明日はバレンタインという事に喜びすら感じていたのに。

今年もチョコは無いのか。

毎年のことで慣れているから別にいいんだけど。

期待していた分落ち込んでしまう。

その人は、君が好きってこと知ってるの?

ううん。知らないと思うよ。彼女は軽く笑いながら言った。

あぁつらい。こんなにも近くで微笑み幸せそうな顔をしているのに。

その笑みは俺に向けられているのではないと知ると悲しくなる。

ほしい。君が。

こんなにも近くにいて届かないだなんて。

君には聞こえないのかな。

僕の高鳴る心臓の音が。

隣にいるんだから分かるだろう?

どうしたの?と心配する彼女を見て我に返った。

なんでもないよ。とつぶやくけどそれは本心なんかじゃない。

伝えたい。この胸の高鳴りを。

分かってほしい。この気持ち。

でも、僕は彼女を困らせたいわけじゃない。

たぶん言ったら彼女を混乱させてしまうだろう。

自分の気持ちが矛盾していることには気づいている。

僕にはどうしようもないことも分かっている。

もう、僕の家の前。

好きじゃないんだったらここまで送んなくてもいいのにな。

そう思いながらまた明日と言い別れた。

彼女の後姿はあまりにも嬉しそうだった。

僕は家に入り靴を投げ捨てすぐに部屋に閉じこもった。

明日なんか来なくてもいい。

バレンタインなんて嫌いだ。

バレンタインの主役は彼女だ。

きっと成功するだろう。

相手は誰なんだろう。

僕よりかっこいいのかな?僕より性格もいいんだろうな。

何で僕と比べてるんだろう。

もう、終ることなのに。

やだな。

まるで青春真っ只中の奴みたいじゃないか。

まぁ、青春なんだけど。

もっと早く告白すればよかったな。

そいつを好きになる前に想いを伝える事が出来ていたらな。

そんなことを考えていたら夜寝ることができなかった。

自分の部屋の窓から朝日が差してくる。

眩しい。起きたくない。

でも、起きないと。学校が……

学校、か。

行きたくないな。

ずる休みしようかな。

たかがバレンタインごときで?

いやいや、されどバレンタインだろ?

どっちにしても嫌だなぁ。

毎年バレンタインとは無縁の僕でも今年こそと思えたのに。

彼女のせいとは言わない。

元は僕が期待したからいけなかったんだから。

無理やり重たい体を起こし身支度をする。

そういえば昨日はあんまり寝れなかった。

授業中に寝てしまいそうだ。

溜息をつきながら開けたドアの向こうに飛び込んできた光景はあまりにも眩しくて。

正直、夢だと思った。

今の状況が分からない。

目の前には彼女。

彼女の手には小さな箱。

目を輝かせながら待っている。

僕の事待ってたの?

彼女は戸惑いながらうなずいた。

彼女の顔も指先も寒さで赤くなっていた。

いつから待っていたんだろう?

僕が起きる前位から待っていたのかな?

少しの沈黙が流れた。

数秒のようで僕には何時間にも思えた。

これ、義理チョコとかじゃないから。えと、頑張って作ったから。食べてほしいです。

彼女は言葉に詰まっていた。

やっぱり彼女は可愛い。

僕は受け取りつぶやいた。

ありがとう。

伝えたい言葉ならもっとはっきり言うべきだろう。

でも、はっきり言えるはずがないのだ。

嬉しすぎて、好きすぎて声がうまく出せないこの感じ。

あぁ自分は自分に嫉妬していたのかな。

僕は、改めて思ったよ。

彼女が好きです。

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