転校しました。
「んぁ、あれが噂の転校生か?」
空気がおいしい。
それだけしかない街に私は来た。
理由はよくある両親の離婚騒動
私に向けられる好奇心の目
知らない空気
古くさい学校
ーうっとしい。
長い髪を翻して、
担任の後ろを歩く。
「不安もあるだろうけど、ここはよかとこいだ。 なんでん相談しなさい。」
「はい。」
クラスの前で待機する。
名前をよばれたら入ってこいとのこと。
「入ってきてよかよ」
中に入ると、好奇心の目が私に突き刺さる。
「自己紹介を頼む。」
一礼すると、拍手が出た。
席は窓側の一番後ろに着席する。
「なぁ、どっからきたの?」
前の席の女の子が話しかけてきた。
茶髪の短い髪。
肌は少し黒く焼けていて活発な子なんだって思った。
『東京から来たんだ。えっと?』
「ごめん。私、田中奈緒。こんクラスの学級委員長さぁやってもす。
よろしゅね。 」
「あ、ずるぃー。うちもー。」
気づいたら人で囲まれてた。
東京についてたくさん聞かれた。
東京なんて、
なにもないのに。
本当の人との繋がりが消えてしまったカスカスな場所
トイレに行きたいと言って席を立った。
これ以上さらし者になるのはごめんだ。
Ipodとケータイを持って屋上に向かう。
東京にはなかった『屋上』
ドアを開けると、
視界一杯に蒼が広がった。
ーうわ、これは、すごい
開放感が半端ない。
1時間目が始まったらしく
グラウンドでは走っている子
デッサンをしている子がいた。
きぃ
とドアが開いた音が後ろから聴こえた。
「えっと、さぼり?」
短髪の栗色の髪
驚いて開かれた目と私の目が合った。
『たぶん、そうなっちゃうのかな。』
なんだそれ、と言ってこっちに歩み寄ってくる。
『屋上、産まれて始めて来た。』
「え?ないの。ここ、俺の取って置きなんだ。」
『それ、なんの本?』
彼の左手に持っていた本を指差すと照れくさそうに答えた。
「桜庭一樹って人の本なんだけど、知ってる?」
『ごめん。知らない。』
「ってか標準語!!」
久々に聞いたわぁーと嬉しそうにする彼を見て、
あぁ、話しやすかったのは相手も標準語だったからだ。と今更気づいた。
いきなり見知らぬ地に放り出されて少し寂しかったのかも知れない。
「俺は飯島 千夏。君は?」
『私は、桐瀬 結城。』
私は彼と出会った。
(転校生どこいったと?)
(あ、あれ。そうじゃなか?)




