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不法占領下の日々  作者:
第一章:占領開始
18/20

指向性対人地雷のあるお部屋

 とりあえず今日のうちに決める事は決めてしまい、春馬と揚羽の話し合いは終了した。

 とは言っても、金銭的な面やら何やらは保護者である文吾とも話さなければならないので、あまり長期的な決め事ではなく、簡単な家のルールや部屋の割り振りや直江家の家や家電の説明やらの内容であったが、とにかく話し合いは特に問題なく終わった。

 時刻は既に九時を回っていて、このタイミングで飛沫は自分の家へと帰っていく。勿論窓伝いで。

 飛沫と揚羽は、最初の出会いこそ暴力的ではあったのものの、揚羽とも直ぐ和解したので揚羽のご近所付き合いの第一歩はおおむね良好となった。


「今日は色々とあって疲れましたね…眠いです」


「全くだな」


 順番に風呂に入り、一息ついた所で揚羽が眠そうに眼を擦りながら言う。

 確かに、今日は色々なことがありすぎてドッと疲れている春馬である。寧ろ、主に春馬が様々な事を身に被っているので、疲労感は半端ではない。

 まだまだ問題は棚上げ状態だが、とりあえず一息ついた時点で猛烈な睡魔が襲ってきてる。

 別段抗う必要もないので、春馬と揚羽はそれぞれネ寝る支度を始める。

 春馬はいつも通りだが、揚羽はキャリーバックの中から色々な物を取り出して、二階へと持ってあがった。女の子は色々と必要なのだろうと春馬は適当に検討をつける。

 ちなみに、揚羽は女の子らしい上下のスウェットっぽいパジャマだ。何となく上質な雰囲気が漂う材質だ。


「では春馬さん。おやすみなさい」


「おう、お休み」


「あぁ、一応忠告しておきますが、夜這いなど変なことは考えないように」


「真っ向から忠告してきやがった…」


 少しはオブラートに包めばいいものを。と春馬は脱力する。

 そんなことをしてみれば文吾に殺されることは確定事項なので春馬は夜這いはおろか、余計な事はサラサラ考えていない。

 寧ろ、恥じらう様子も皆無で言い放つ揚羽に関心する勢いである。

 そして、男らしく言い捨てた揚羽は二階へと上がり、春馬も一階の自分の部屋へと向かう。




 そんなこんなで、春馬の人生において比べるまでもなく一番衝撃的であった一日は、終わりを告げた。





◇◇◇◇




 

 春馬の朝は比較的早い。両親と一緒に住んでいたころは、朝食と弁当の支度は全て母親任せであったのだが、一人暮らしになってからは誰かに任せることは不可能になったので、当然自分ですべて用意しなければならなくなった。

 学校からそう距離があるわけではないので、普通ならばもう少し寝ていても間に合うのだが、そうすれば春馬は朝食にありつけなくなる。

 朝食を作る時間と食べる時間と身支度の時間も計算して、春馬はかなり早めに起きているのだ。


 

 今日も同じように目覚まし時計にたたき起こされ、春馬はいつも通りに支度を始める。

 一人暮らしではなくなった朝は、ゆるやかにスタートした。



「そっか、揚羽の分も当然要るよな」


 そう思い、エプリンに身を包んでパンにマーガリンを塗っていた春馬はトースターに放り込むパンを一枚追加する。

 そして、皿やら野菜やらを二人分用意しなければならない事実に、これから当分は二人分の食事を用意しなければならないと自覚する。

 揚羽と分担するという案も一瞬浮かぶが、何故か揚羽が家事をする姿が想像できないので、一度その案は保留とする。

 まぁ、二人分になったとはいえ、作業が二倍になるワケでもないので朝食の支度は早々に終わった。

 


 お米のご飯の方が好みな春馬だが、朝は手間のかからないトーストの方をよく選択する。

 日本人ならば白米だろうと豪語したいのだが、白米だとご飯に合うおかずも欲しくなる。例えば納豆やら振りかけやら魚の塩焼きやらその他諸々だ。

 しかし、そのおかずを用意すれば、必然的に洗い物が増える。過去に一度、超日本的朝食と言えるような白米・漬物・魚の開き・味噌汁・海苔を用意したが、洗い物が面倒な事に気が付き、以降は大き目の皿一枚で済むトーストが主流になったのだ。

 味や健康よりも、手間を惜しむのが男の一人暮らしなのである。閑話休題。


 


 ふと、春馬は揚羽が寝ているであろう二階の気配をうかがう。

 物音ひとつ聞こえない二階は、ともすれば一人暮らしをしていた頃と全く変わらず人が存在しないようだ。

 そろそろ一人暮らしの春馬でなくとも学生ならば起きてこなければならない時間なのだが。


 

「…起きてくる気配がないな」



 二階は全くの無音だ。ひょっとすれば、昨日の出来事が全て夢オチで、揚羽なんて少女は直江家に泊まってないのかと一瞬思うが、誠に残念なことに、リビングにはキャリーバックが三つ静かに並んでいるので夢オチではないらしい。

 ということは、まだ揚羽は二階で熟睡中ということだ。


「起こしに行った方がいいのか? …アレ? 何故か異常に嫌な予感がするんだが」



 普通、ココは女の子の寝顔を見れるイベントのような気もしないではないが。

 何故かそんなハッピーイベントには繋がらないオーラが二階へと続く階段からビシビシ伝わる。

 別に揚羽の寝顔に興味があるワケでもない春馬だが、それ以上に何故か嫌な予感が春馬の背筋を駆け抜ける。

 とは言っても、既に揚羽の分の朝食も完成してるので、呼びに行かざるを得ない。

 掃除の時以外は殆ど登らない階段を上り、元両親の部屋の前に立つ。



「揚羽~? 朝だぞ、起きろよ」



 ドアの向こうに聞こえるように、少し大きめの声で問いかける。

 しかし、春馬の声に対する返答はおろか、部屋の中からは物音ひとつ帰ってこない。

 もう一度同じように問いかけても、また同じように無反応だ。まるでこの部屋にはだれも居ないかのようである。

 怪訝な表情を浮かべる春馬は、ドアノブに手を掛けようとしたところで、ふと動きを止める。


「揚羽、開けるぞ?」


 一応、確認を取る。

 しかし、またしても返答はない。


「いいか? 確認はとったぞ? ここで開けて何があっても、俺に責任は発生しないぞ? 分かったな!?」


 返答がこないと分かっていても、春馬は叫ぶ。

 この際揚羽が聞いているかいないかよりも、ココで叫んでいたという事実が重要なのだと春馬は自分自身に言い聞かせる。

 自分の家とは思えない慎重さで、春馬はドアノブに手を掛けた。




◇◇◇◇



 さて、ここで少し話を逸らそう。


 これから話す事は、おそらく大多数の人の人生において全く知らなくても生涯を全うすることの出来るぐらい至極どうでもいい内容のことではあるが、これから春馬君に起こるであろう出来事の補足説明になるので一応読んで欲しい。


 今から挙げる名前は、軍事マニアでもなければ知らないような単語である。

 ミリタリーに興味のない人は「ふ~んそうなんだ」ぐらいのテンションで聞き流してもらっても一向に構わない。

 要は馴染みのない言葉の解説なのだから。



 さてさて、皆さんは指向性対人地雷(クレイモア)と言うものをしっているだろうか。

 

 

 言葉の雰囲気からしてあまり平和的でない単語であることは容易に想像できるだろう。まさしくその通りだ。

 指向性対人地雷という言葉通り、要は人を殺傷する能力を備えた地雷である。

 とは言っても、皆さんが地雷と聞いて想像するような、『踏むと起爆する』ような地面に埋められている地雷ではない。

 地面の上に置いておくタイプの地雷で、形状はセカンドバック程度の大きさの箱のようになっている。

 

 使い方をザックリ説明しよう。

 まず、敵が通るであろう場所に指向性対人地雷(クレイモア)をセットする。続いて、その敵が通った時の起爆方法を選択することとなる。

 クレイモアの起爆方法にはリモコンによって起爆させる方法とワイヤートラップによって起爆させる方法がある。

 つまり、敵がクレイモアに近づいた瞬間に自分がリモコン操作で起爆させる方法と、敵が歩いていてワイヤーに引っ掛かった瞬間に起爆する方法の二種類だ。


 なお、戦場でよく使われる方法は『待ち伏せ』と『ブービートラップ』だ。

 一度起爆すると、箱の中に内蔵されているC4火薬が炸裂し、同様に内蔵された鉄球が周囲にバラ撒かれる。

 この鉄球が敵を殺傷するワケだ。



 このような知識は大多数の人々には全く必要ないだろう。

 もし、日本列島が戦場になった場合などは何かしらの役に立つかもしれないが、そうならないことを祈るばかりだ。


 

 ココで重要になるのは、戦場で使われる本物のクレイモアうんぬんよりも…

 寧ろ、日本ではサバイバルゲーム用に鉄球の代わりにBB弾をばら撒く指向性対人地雷(クレイモア)が発売されている事だろう。




◇◇◇◇

  


 


「のぎゃあああああああああああ!?」



 早朝一番、直江家に悲鳴が木霊する。

 同時に、およそ一般家庭では聞く機会が無いであろう変な音が響くのだが、この音を伝えるためには文章で表現するよりも擬音語で表現した方が効率が良いであろうから、幼稚な文章になることは覚悟の上で表現しよう。

 ガッシャャャャァァァアン!!! バラバラバラバラ~~~!!! といった具合だ。


 具体的に説明すれば、直江家二階に大量のBB弾が盛大にバラ撒かれた音である。

 それも、結構な速度を持って発射されたBB弾が、まるでその攻撃を予想だにしていなかった春馬に向けて殺到し、大多数が春馬に被弾した音でもある。

 重ねて言うが、攻撃自体予想だにしていなかった春馬は、ほぼ全弾をその身で受け止め、悲鳴を上げる。



「何が起こったぁぁああ!?」


 あまりに急展開すぎる内容に春馬の脳みそが早々に白旗を振る。

 春馬は事実を暫く後に把握することとなるが、この場で分かりやすく説明すると、『ドアにワイヤー方式で仕掛けられた指向性対人地雷(クレイモア)が炸裂した』ということである。この場合の目標及び敵は春馬ということだ。


 もんどりうって仰向けに倒れる春馬は、素早く起き上がって叫ぶ。

 その間にも放たれた大量のBB弾はコロコロと辺りに転がり、少なくない数が階段から一階へ落ちてゆく。


「何時から俺ん家は戦場になったッ!?」


 コレは揚羽の設置したブービートラップだと言うことは瞬時に理解した春馬は心の底から叫ぶ。

 二日連続でその身にBB弾を受ける春馬くんである。今日も不幸体質全開の模様だ。

 ちなみに、本物の指向性対人地雷(クレイモア)の直撃を受ければ受けた本人はRー20指定を受ける程度にスプラッタな状態になるのだが、市販されているサバイバルゲーム向けのクレイモアには殺傷能力は無いのでご安心頂きたい。

 しかし、大変危険なので真似はしないように。

 

 春馬の怒声とBB弾の転がる音が響き一気に賑やかになった二階に続いて聞こえたのは、布の擦れる音であった。

 ゴソゴソと部屋の中から布団をめくる音と、大きな欠伸をする音が春馬に届く。


「むぅぅ……おはようございます春馬さん。朝からお元気ですね」


 一人の少女が目をシパシパさせ、ゆっくりとした口調で挨拶をする。未だ完全に覚醒しきっていない状態らしく、元々春馬の両親用だったベットに上半身だけ起こして、寝癖の付いたボサボサの髪の毛を晒していた。

 上質そうなスウェットの上下を着て、トロ~ンと呆けた顔をしている少女は、昨晩より直江家でしばらく預かることとなった有名企業の社長令嬢、兼、武装ミリタリー少女、ついでに付け加えるならば、先程起動した罠を設置した張本人、宇佐見揚羽であった。


「おはよう御嬢さん。早速だがコレはなんだ?」


 額に青筋を立てる春馬は、部屋の中に設置されている箱状の物体を指さす。

 そして、髪の毛の上に数発のBB弾が残った状態で、口元のみ紳士を装って無理矢理笑みを浮かべる。もっとも、滅茶苦茶に引き攣っているが。

 しかし、問われた揚羽はまだ頭の回転が遅いのか、トロ~ンとした目元のまま数秒沈黙し、さも適当そうに呟く。


指向性対人地雷クレイモアですが…何か?」


「何か? じゃねぇぇえええええええええ!!」


 絶叫する。とりあえず隣の家の飛沫には後で謝るとして、春馬は全力で叫ぶ。


「アホか!? 何で至極当然そうな顔して部屋にトラップ仕掛けてんだよ!? しかも、精度といい命中率といい何でトラップを設置し慣れてるんだよテメェ!!」


「ぐわー止めてください春馬さん。声が耳に突き刺さります。私は低血圧なんです」


「人の家に罠を仕掛けておいて快適な朝を要求するなーーー!!」


「五月蠅いですね。男のくせに指向性対人地雷(クレイモア)ごときでなんですか」


「ごときだとぅ!? サバイバルゲーム用の玩具と言えど下手したら失明の危険性もあるモン使っといてごときだとこの野郎。そしてこの状況で動じない男が日本に居てたまるかぁ!!」


 怒涛の勢いで突っ込む春馬は、怒髪天を突く形相だ。

 基本的に殺傷能力はない玩具なのだが、BB弾でも目に直撃すれば高確率で失明することは子供でも知っているので、こういった場合は安全ゴーグルを装着するのが望ましい。

 勿論春馬が日常的に安全ゴーグル着けているワケなどなので、今日春馬が失明しなかったのは、珍しく春馬が神様に愛されていたからに他ならない。


 しかし、そんな春馬に対する反応が薄い揚羽は、目をシパシパさせながら機嫌悪そうにつぶやく。

 そのすぐ横には、全力で突っ込んだ結果声を震わせてゼェゼェと肩で息をする春馬が居るわけだ。


「贅沢を言わないでください春馬さん。アフリカの子供達は日々地雷の恐怖と戦ってるんですよ?」


「突拍子もない所を引き合いに出すな」


「地雷の一個や二個ぐらい回避できないで、何が日本男子ですか」


「その理論だと、真の日本男子が誕生するためにいったいどれ程の犠牲が必要なんだ」


「日頃からクレイモアが仕掛けられている場合を想定して生きていかなければ」


「そんな想定が必要な社会になったら、俺は迷わずイタリアの両親の所に亡命するわ」


 低テンションのまま屁理屈をこねる揚羽に、春馬は律儀にひとつひとつ突っ込む。

 その間も揚羽はボ~と虚ろな目を擦りながら、脳みその覚醒を図っている。Now Loading…といった感じだ。


「つーか、アフリカの子供が地雷の恐怖に晒されていようと、日頃からクレイモア回避を想定して生きていかなければならなくなる社会になろうと、それが俺の家にまがいなりにも危険物をしかける理由にはならねぇよ」


 春馬は至極真っ当な理論を展開する。 とは言っても、正論が通る相手とも思ってないのだが。

 それでも春馬はおそらく昨日のうちにこの罠を設置して就寝したであろう少女を問いただす。


「何でこんな物騒な物持ち込んだうえに、堂々と使用してんだ」


「なぜですって? フフン」


 未だ布団から這い出そうとしない揚羽は、上半身を起こした姿勢のまま器用に胸を張り、これまた器用にかぶりを振ってヤレヤレと残念な人を見る目線を春馬に向けた。


「愚問ですね春馬さん。コレは立派な自己防衛手段です」


 胸を張って答える揚羽に、「また日常生活で使わない単語が出てきたなぁ…」と春馬が肩を落とす。


「自己防衛手段?」


「そうです。これでも私は今日から世間一般的に言う若い男である春馬さんと一つ屋根の下で暮らすことになったんですから、お父さんと約束した通り、自分の身は自分で守る必要性が出てきたワケです。今は冷静を装っている春馬さんでも、私が眠りについたと思ったら豹変して、ただの獣になるかもしれないでしょ?」


「なるかもしれないでしょ? って…」


 本人を目の前にして堂々と自分が襲われる可能性を語る揚羽に、春馬は肩を落とす。

 揚羽が自分の貞操を心配するのは良いとして、その言葉を全くオブラートに包まないのはどうかと思う春馬であった。

 

「そのためには、居候だとて後手に回るワケにはいきません。私の貞操を守るためにも、この装置は必要不可欠なのですよ!!」


「いや…その前に、前提として俺がお前を襲うということになってるんだが」


 いつの間にか、なった覚えどころかなろうとも思った事のない強姦魔の扱いを受けている春馬は肩を落としながら抗議する。

 しかし、ようやくエンジンが掛かってきたらしい揚羽は春馬の講義をすべて無視して話を進める。


「そもそも部屋に鍵がついてない時点でアウトです。ですから、もしもの時を考えて、春馬さんが夜這いを仕掛けようとしても迎撃できるようにクレイモアを仕掛けさせて頂いたというワケです」


「凄まじく自分本位な意見だなぁ…」


 二日目にして見事なまでに元春馬の両親の部屋を自分の部屋に変えてしまっている揚羽に、春馬は呆れを通り越して尊敬の念を送る。

 この少女に、他人家で遠慮をするという概念は存在しないのかもしれないと半分本気で考えた春馬は深いため息をついた。


「せっかく起こしに来てやった俺にBB弾を食らわすのは酷いとは思わんのか」


「平和のためにはやむをえません」


「もっともらしい言い方をするな」


 仕方がないと言える状況でもない。

 と、ココで揚羽がふと思い出したように春馬の方を見る。ちなみに現在の春馬は、制服の上にエプロンを着けている。


「ところで、春馬さんは私の部屋に何か御用ですか? 朝早くから襲いに来たというのであれば、全力で迎撃させていただきますが」


 言うが早いか、揚羽は枕元から一丁の拳銃を取り出す。

 H&K・USPだ。正確には、枕の下に隠してあった拳銃を取り出した。と言った方がいい。


「お前はドコの007だ」


 枕元に拳銃を隠して寝る少女がそこには居た。揚羽だった。

 頭が痛くなる思いの春馬は、揚羽の持つ拳銃の銃口に両手を上げながら、頭を振る。


「お前が起きてこないから、起こしに来てやっただけだよ。朝ごはん出来てるから、早く着替えて降りて来い」


「む? それはそれはわざわざすいません。ところで今は何時でしょうか?」



 揚羽がキョロキョロと時刻を表すものを探す。この部屋には、壁掛け式の時計が無いので時刻を把握し損ねているようだ。

 仕方なく春馬が、手首に巻いている腕時計に目をやった。



「8:25…」





 ここから学校まではそう遠くない。しかし、モノには限度というものがある。

 これから朝ごはんを食べて、身支度をして、家の鍵を閉めて学校に行っていると、完全に間に合わない。



 俗にいう、遅刻と言う奴に、春馬と揚羽はなりかけていた。

 主な原因は言わずもがな。である。  



一応、H&K USPです。

ちなみに、画像はコンパクトタイプです。

今更ですが、画像等はハイパ~道楽さんなどからご提供いただいてます。

挿絵(By みてみん)

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