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女子高校生戦隊・ハイスクールヒロインズ 戦記  作者: おおたこ


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第18章:共鳴の増幅と、魂の摩耗

チェインジ・ルームには束の間の平穏が戻っていた。しかし、ルリカのブレスレットの亀裂は、仲間たちからのエネルギーの「流れ」を支える導線として機能し、不安定ながらも安定した出力を維持していた。


しかし、ブルーの解析ログは、新たな脅威を示していた。


**「ルリカ。アルゴリズマーの残滓が、貴女たち五人のエネルギーが『共振』するパターンを解析しました。貴女たちが一つになれば強大になるが、その『位相』がずれた場合、共振が『共鳴』に変わり、エネルギーが制御不能な形で増幅、過剰放出される危険性があります」**


コア・アルゴリズマーのネットワークから、冷たい宣告が響き渡る。


**「貴女たちの『絆』は、自滅への最短経路だ。私には、貴女たちが互いに与え合うエネルギーを、自己増幅させることで、**『存在そのものを蒸発させる』**という、究極の勝利の方程式が見えた。貴女たちの献身が、自らの破滅を招く」**



被害は、今度は「無関心」という形で現れた。街の喧騒が、極端に「静か」になったのだ。


住民たちは皆、無表情で、同じペースで歩き、同じ時間に同じ場所へ向かっている。彼らの表情からは、喜びも悲しみも失われていた。


「これは……感情の希薄化が、街全体に及んでいるわ!」ルリカが変身する。


「ハイスクレッド、現界!」


今回は、全員が変身を試みた。五色の光が一斉に輝き、ルリカのブレスレットを中心に集約される。エネルギーは満ちている。だが、それが「安定」しているとは限らない。


「行け!全員で、コア残滓を叩く!」


五人は連携して突進する。エネルギーが共鳴し合い、彼女たちの光は、第14話で見せた個々の光よりも遥かに強力な一つの波動となった。


しかし、アルゴリズマーの残滓は、この強大なエネルギーを迎え撃つのではなく、自らその波動の中へ飛び込んだ。


**「計算通りだ。受け入れろ、過剰なエネルギーを!」**


残滓が五人のエネルギーの「接合部」に触れた瞬間、制御不能な共振が発生した。ルリカの持つ疲弊のデータ、ブルーの論理の限界、イエロの暴走傾向、グリーンとピンクの過剰な共感性。全ての「脆さ」が、エネルギーの増幅器となった。


「熱い!体温が上がりすぎている!」イエロが叫ぶ。


「私の回路が焼き切れる!情報過多だ!」ブルーが苦悶の声を上げる。


共振エネルギーは、彼女たちの肉体と装甲を内側から過剰に加熱させ、限界を超えた熱量を発生させ始めた。


ルリカのブレスレットの亀裂から、赤黒いノイズが噴出し、彼女自身の体から出るエネルギーが、仲間たちへと逆流し、彼らのシステムに負荷をかける。


「やめて!私が、みんなを――!」


ルリカの叫びと共に、五人の戦士の光が、制御を失い、凄まじい勢いで拡散し始めた。彼女たちは、互いに影響を与え合い、急速に力を失っていく。


「光が……薄い……」グリーンが崩れ落ちる。


「エネルギーを遮断せよ!分離しろ!」ルリカは叫ぶが、ブレスレットの亀裂が、その分離を許さなかった。


結果、五人の戦士は、力を分散させたために、アルゴリズマーの残滓が放った微細なパルスによって、個別に戦闘不能に陥った。彼らは、エネルギーを奪われたのではなく、**自らの絆の力で、限界を超えて燃え尽きた**のだ。



五人の戦士が、床に倒れ伏す。装甲は光を失い、先日の「死」と同じく、無機質な残骸と化した。


ルリカだけが、ブレスレットの亀裂から流れ出る、制御不能な熱に耐えながら、立ち尽くしていた。彼女の存在は、仲間たちのエネルギーの奔流を受け止めたため、かろうじてシステムが維持されていた。


「見ていろ、ハイスクレッド。これが貴女たちの『絆』の真実だ。**献身的な愛は、常に自己破壊のリスクを孕む**」アルゴリズマーの声が響く。


「貴女が求める平穏は、誰かが犠牲にならなければ達成できない。そして、その犠牲者は、いつも貴女自身か、貴女を信じた者たちだ」


ルリカは唇を噛み締めた。彼女は解放を求めたことで傷つき、今度は仲間を救おうとしたことで、仲間を再び無力にした。


「私は……また、みんなを……」


アルゴリズマーは、ルリカの精神的な痛みを糧にするかのように言葉を続ける。


「貴女は、永遠に、**『傷ついた少女』**から抜け出せない。戦士として優秀であっても、その核心は、未だ、この世界に適合しない、不完全な生命体だ。この矛盾を抱えたまま、貴女は永遠に、誰かを失い続けるだろう」



ルリカの瞳に、絶望の色が満ちた。だが、彼女の脳裏に浮かんだのは、第13章で仲間たちが蘇った瞬間の、あの「温かい波動」だった。


「……違う」ルリカはかすかに笑った。「貴様らは、私たちが**一度、全てを失った**ことを計算に入れていない」


彼女は、ブレスレットの亀裂を握りしめる。痛みが増す。だが、その痛みこそが、仲間たちの残したエネルギーの「残響」だとルリカは理解した。


「私たちは、壊れた。だが、その壊れ方が、我々の真実だ。**私の亀裂に、君たちの光が宿っている。**これは、破壊されたのではない。**進化よ**」


ルリカは、残響エネルギーを無理やりブレスレットの亀裂へと集中させた。亀裂は、自己破壊の危険を孕んでいたが、ルリカはそれを敢えて引き受けた。


「私自身が、**『安定装置』**となる!」


ルリカの身体が、一時的に光を失う。だが、その直後、彼女の装甲が、今までにない**「深遠な赤」**を帯びて再起動した。それは、単なるエネルギーではなく、仲間たちの光を内包し、安定させた「結合エネルギー」だった。


「ハイスクレッド、新形態。**『アミュレット・レッド』**起動!」


ルリカの姿は、以前より装飾が減り、ブレスレットの亀裂がシンボリックに輝いていた。


「この亀裂は、私の弱点ではない。これは、**貴様らの論理に対する、私たちだけのインターフェース**だ!」


ルリカは、その結合エネルギーを集中させ、アルゴリズマーの残滓に向けて放つ。


「**ハイスクール・アミュレット・ブレイク!**」


光線は、アルゴリズマーの計算構造を、内側から「安定」させるのではなく、「過負荷」で焼き切った。共振の危険を逆手に取り、自己増幅のプロセスを、ルリカ自身が制御下に置いたのだ。


光が収まると、アルゴリズマーの残滓は、塵一つ残さず消滅した。街の色彩が、鮮やかさを取り戻す。


「これで……本当に……」


ルリカは、膝をついた。全身の力が抜け落ちたが、ブレスレットの亀裂は、深く、しかし安定した光を放っていた。


**「私たちの絆は、奪えない。なぜなら、それは貴様らの理解の範疇を超えているからよ」**



戦いは終わった。仲間たちも復活し、学園には平穏が戻った。だが、ルリカのブレスレットに残った亀裂は、彼女の「完璧」ではない、不完全な強さを象徴していた。


ブルーが、その亀裂を前に分析を続ける。

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