東北旅行②
白虎隊の少年達の史実を、記念館の資料を見ながら心に刻み、虎之介は会津若松を後にした。今度はタクシーではなく、電車を使って郡山に戻ると、初日の宿は仙台に決めた。
馬上少年過ぐ
世平らかにして白髪多し
残躯天の許すところ
楽しまずんばこれいかん
仙台といえば、伊達政宗。伊達政宗の詩を読むと、「おもしろき こともなき世を おもしろく」という長州藩士の高杉晋作の辞世の句も思い出される。そんな二人の英雄に思いを馳せながら、宿泊するビジネスホテルの近くの居酒屋で、牛タンに舌鼓を打ち、夕食を済ませた。
翌朝、日本三景のひとつ、松島へ出掛けた。遊覧船に乗り、松島の絶景を眺めた。海に点在する島々の景色は、壮大な大自然の美だった。
松島や ああ松島や 松島や
虎之介の好きな芭蕉の句ではない。
松島から仙台に戻ると、世界遺産である平泉を目指すことにした。気ままな旅である。平泉は、中尊寺をはじめ、是非見ておきたい場所のひとつだった。
新幹線は一ノ関で降りた。郡山に次いで、物流の仕事でわからなかった地名であり、なるほどここが一ノ関かと思った。平泉へは一ノ関から在来線で向った。