エピソード7:なんでいきなりそこに話題が飛躍するんだ!?明らかに作劇上の都合じゃねーか!
場面は前回から引き続き繁華街……
令和神殿騎士団所属"デュエルバーサーカー"は、
自らの抱える遠距離攻撃へのアホすぎる偏見をぶちまける!
『そもそも銃はじめ遠距離攻撃使いってなあ、
得てして人格の終わってる救えねえゴミと相場が決まってるモンよ』
『離れた距離からチマチマ撃って敵を仕留めるなんざ、
卑怯もんと臆病もんとゴミクズのするこったぜ』
『どうも今の世の中は遠距離攻撃に対してやたら甘えトコがあんだよなあ~。
あんなもん、正々堂々真正面からやり合う度胸も根性もねえ弱者の戦い方だってのによ~』
その後もやれ"アニメや漫画の銃使いとて役立たずの雑魚ばかり"だの、
"オモチャにしたって鉄砲や弓は遊びの幅が狭いから売れねえ"だの、
"ゲームキャラでも遠距離戦一辺倒のはクソゲーばかり、
武器を切り替えて戦えるゲームとて遠距離武器は雑魚の産廃しかねえ"だの、
"リアルでもフィクションでも戦士はみんな近接一本で戦うのが正しい姿"だの、
"飛び道具を使うのは精々人間と想像上の生き物ぐらいで、
だから飛び道具を使う生物は生きてる価値のねえ欠陥品"だのと……
まあ出るわ出るわ、
各方面から殺されても文句言えねえような遠距離攻撃への悪口
――それも軒並み根拠皆無のデマばかり――を、
そりゃあもう書き切れねえほど吐き散らかしやがる。
最早自分が"何の姿をしてる"のか、
自分がついさっき
『強靭・無敵・最強の三拍子揃った最高傑作』
『史上最高で宇宙最強』とまで呼んだ"リスペクトしているモンスター"が、
果たしてどんな戦い方をしていたか、
ひいてはどんな必殺技を使ったか、
丸ごと失念したが如き有り様で……
総じてまあ滑稽ったらねえ。
(……煽り耐性マイナスでやたらキレ散らかしてた初等部時代が懐かしいなァ)
ユウトに至っては最早、
聞き流すのを極め過ぎて物思いに耽るほど……
『――とまあそんなワケで!』
『俺も決闘者として長年遊戯王と向き合い、結論に至った!』
『現代遊戯王はクソだってことにな!』
『そしてこの力を得てからはリアルでのバトルも散々経験した!』
『そしてまた結論に至った!』
『遠距離攻撃の使い手なんざクソだってことになぁ!』
(……わざわざ頭三つ使ってまで喋るようなこっちゃねーだろ)
あれやこれや声高に講釈垂れてやがるが、
戦闘形態に変身した敵の目の前で五分近くも延々と無防備な状態を曝してる辺り、
"戦闘経験豊富"ってのが明らかな誇張なのは言う迄もねえ。
『……ほう、そうかそうか。
お前ほどの競合がそこまで言うんなら間違いなさそうだなぁ……』
ユウトの返答に、何時もの嘲り文句
――『お前ん中だけではな』とかそれ系のアレ――
は含まれちゃいなかった。
『俺も結構この形態で白星挙げて来た方だがよ、
言われてみりゃまあそれほど大したことはねーのかも、って気がして来たぜ』
『へっ! ザマァねーな!』
『だが遠距離攻撃使いらしからぬ謙虚さは褒めてやるぜ!』
『その謙虚さに免じて、
別の形態で戦うのを許可してやってもいいがなあ?』
……なぁ読者のみんな、
今『どういう立場でモノ言ってんだこいつ』って思わなかったか?
まあ、思おうと思うまいと、
少なくともユウトはそんな気持ちだったワケだが……
『……御心遣い痛み入るが、謙虚に遠慮しとこう。
確かに思い返せば俺は今まで、周囲から持て囃されてばかりだった。
立場も肩書きも能力も趣味趣向も性格も抜きにした"本当の自分の本質"や、
目の前にある"本当に真実でリアルな実際の現実"と真摯に向き合ってなかったんだ。
なら、自分にとって明確かつ明らかに不利で苦戦しそうな状況で
敢えて試験的かつ試しに戦闘を戦ってみる……
そういう修行じみた修練的訓練に挑戦して挑むのは、
実に願ったり叶ったりさ』
ヤツの口から紡がれたのは、
無駄に冗長なばかりで大した意味のねえ、
然しとりあえず"このまま戦う"意向だけは明確な言葉。
上から目線の"ウザい台詞"には、
別ベクトルの"ウザい台詞"をぶつける……
なんとも安直に見えて、
その実やっぱり安直な行動だ。
……如何にヒーローと持て囃されようと、
ユウトの本質が"怪人"であり"破落戸"……
つまりは"悪"である根拠とも言えそうだ。
『くっ、このDQN野郎がっっ……!』
『またそうやってコンマイ語を使いやがる……!』
『やっぱりそうだっ!』
『遠距離攻撃使いはみんな、性根が腐り切ってやがるんだっ!』
『しかも現代遊戯王を肯定してやがる!』
『コンマイ語まで使うんだから、
どうせロクな奴じゃねえのは確定的に明らか!』
『『『俺はお前を絶対許さねえ!
正義に向かって、全速前進――ダバアアッ!?』』』
声高に宣言しようとしたその瞬間、
三つある頭へ一斉に散弾が炸裂する!
『ぐ……があ……!?』
『なん……だっ……?』
『野郎……鉄砲も無しに……!』
『『『どこから弾撃ちやがったあっ!?』』』
上澄みの情報を雑に覚えてるだけのデュエルバーサーカーは当然知らなかったが……
然しここまで読み進めてくれた誠実で理解ある読者のみんなだったら、
何が起こったのかなんて最早説明するまでもねえだろう。
『なんだ。何を驚いてやがる決闘者。
ただ"装甲に仕込んだ機銃を撃った"だけじゃねえか』
そう、ギルタブリルモードの分厚い装甲に仕込まれた無数の機銃……
その内三つばかりをぶっ放したに過ぎなかったんだ。
『それとも何か? まさかお前、
性根の腐り切った遠距離攻撃使いが、
よもや卑怯な真似の一つもしては来ねえなどと、
そんな風に考えていたか?
だとしたらよ、流石に考え方が甘いんじゃねえのか?
"経験豊富な戦闘者"が聞いて呆れらァ~』
『『『抜かせええええええっ!』』』
怒り狂ったデュエルバーサーカーは、
踏み込みと羽搏きでもって一気に加速!
右拳を振り上げユウトに殴りかかるが……
『『『バック除去だっ、この《仕込みマシンガン》があっ!』』』
結局の所、その行動もまた"ギルタブリルモードを知らない"が故の悪手に他ならなかった。




