エピソード6:『弁慶に薙刀』……つまり「ステゴロでも強い武蔵坊弁慶が得意武器の薙刀を持てばいよいよ最強」ぐらいの意味です。「鬼に金棒」「龍に翼を得たる如し」みたいな意味合いで使います。
場面は前回から引き続き、
日本国内某所の繁華街……
『強靭……! 無敵っ……! 最強っっ……!』
令和神殿騎士団所属のヴィラン"デュエルバーサーカー"……
紛れもなくユウトにボコられた挙句射殺されたハズのヤツは然し、
どういうわけか一瞬のうちに完全復活を遂げてやがった。
具体的に言うと、
眉間の銃創はじめ全身にあったハズの傷は跡形もなく消え去り、
しかも生命力が有り余ってんのか全身に妙な光沢を帯びてやがる。
……それこそあたかも、TCGにありがちな箔押し加工カードみてーな。
「なんだよ。元から遊戯王カードみてーな見た目だからって、
蘇生序でにロイヤル加工へアップグレードしたつもりか?
いや、寧ろ超魔導竜騎士なら"除去効果を無効にして打点アップ"とかか……」
殆どの読者に伝わらんネタやめろや!
『へっ! 軽口叩けるのも今のうちだ!
なんせお前は俺の真の力を目覚めさせちまったんだからな!』
言うが早いかデュエルバーサーカーの"光沢"は増していき、
更に装甲に包まれた装甲がヒビ割れ、生じた亀裂からは光が漏れ出し……
『はぁぁぁぁぁっ!
粉砕! 玉砕ッ! 大喝采ァァァァァイ!』
叫びながらポーズを決めれば、迸るエネルギーが炸裂!
装甲を内側から木っ端微塵に吹き飛ばし、
その肉体とて瞬く間に、
まさしく早回し映像かってぐれーの勢いで姿形を変えていく!
『見ろぉ!』
『これが遊戯王OCGに生涯を捧げた真の決闘者である俺に!』
『天の神が与えたもうた最強の究極形態だあっ!』
(……マジかよ)
そうして出来上がったデュエルバーサーカー"最強の究極形態"とは、
つまるところ全身を水色の装甲じみた外殻に覆われた、
推定全長・翼開長共に三メートル程もある三つ首のドラゴンだったんだ。
一キャラのくせに台詞が三つあるのも、
要するに首が増えたからだった。まあともあれ、要するに……
「なんだよ。
《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》の次は、
《真青眼の究極竜》かぁ~?
どんだけメディアミックス作品の主要キャラに固執してんだよ。
つーか……《超魔道竜騎士》の時点でだけどよぉ、
著作権法順守意識ってモンがねぇのかてめぇには」
今更だな!?
今迄散々実在する版権作品やキャラの名前出してきたクセに今更それ言うかよお前!?
『うるせえ! 黙れ!』
『俺の姿は遊戯王ってコンテンツへのリスペクト故だ!』
『つまり実質的にコスプレだ!
SNSや動画サイトでアイコンをアニメキャラにするようなもんなんだよ!』
「……それがまず法的にわりかしアウト寄りのグレーゾーン、
当人らの立ち振る舞い次第じゃ倫理的にアウトなんだろうが」
『あぁん!? なんだてめぇ!?』
『わけのわからねぇことを吐かしやがって!』
『ここは日本だ!
コンマイ語じゃなく日本語喋れやDQN野郎が!』
「……語彙が死んでやがる。
やっぱお前、典型的なネット弁慶だなあ。
便利な"薙刀"を得たんでリアルでもイキり散らかしてるようだが、
果たして"刀集め"が上手く行くか見ものだな。
……ドライバー、来い」
[列席御礼♥]
軽く煽りながら、ユウトはクラナドライバーを出現させる。
『何だあ!? またわけのわからねえことを!』
『ナギナタだと!? そんなもんがどこにある!?』
『俺は《超重武者ビッグベン−K》なんかじゃねえ!
"強靭"・"無敵"・"最強"の三拍子そろった和希神の最高傑作!
史上最高で宇宙最強の《青眼の究極竜》だあっ!』
「"真"が抜けてんぞ"真"がっ……。
専用構築抜きじゃディスアドまみれな
効果無しの"負けフラグ"んなってどーすんだ間抜け……」
詳しくないヤツ向けに解説すると、
遊戯王カードの《青眼の白龍》三体を合体させた《青眼の究極竜》は、
派手で強そうな見た目の割に
・メディアミックス作品で持ち主の海馬瀬人が使うと概ね負けがち。
→転じて"負けフラグ"呼ばわりされる
・そもそも出すのに中々手間がかかる割に、
これといって効果もなきゃ実質合体前からトータルの攻撃力が半減している
→転じて、仮に場に青眼を三体並べられるならそっちで殴った方がよっぽど強い
・後年種族もステータスも出し方も同じでかつ色々強い効果を持ってるリメイク版が出た
・一応リメイク版にない独自の強みもあるが、
真価を発揮させようと思うとそれはそれで手間がかかる
とまあ、触れ込みやビジュアルの割に案外情けねぇ逸話も付き纏う。
なんなら初期形態のモチーフ《超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ》の方が、
幾らか出しやすいわ効果も色々あるわで明らかに強かったりするぐらいだ。
『ぬかせ! この俺に効果なんて必要ねえ!』
『何故なら俺は、最強だからだ!』
『そもそも《真究極竜》だと!?』
『そんな現代遊戯王に酔ったコンマイが金儲けの為に生み出したニセモンなんぞ!』
『"真の遊戯王"を愛する決闘者の俺にしてみりゃノイズでしかねえ!』
『俺は俺自身の正義に基づき、腐り切った現代遊戯王を全力で否定する!』
『『『"真の遊戯王"を取り戻すために! この最強の《究極竜》の姿でっっ!』』』』
「……その発言も色々とどうなんだよ……」
遊戯王ってコンテンツに詳しくねえ読者には意味不明と切り捨てられ、
さりとて遊戯王に詳しい読者からもボコられそうな妄言なのは言う迄もねえ。
「ま、いいけどよ……転、身ッ」
[ギルタブリルモード♥]
『……遺恨リーパームジョウ、【ギルタブリルモード】
邪念の毒が標的を地に還さん……』
さてそんなわけで
変身したのはギルタブリルモード、だったんだが……
『お、その紫色のは知ってるぜ。
インスタの動画で流れてきたからよォ~』
『ほお、知ってるか。
ま、俺もこの業界入って長えからな。
「名前は知らんが見たことはある」なんて言われんのも珍しかねえが……』
『まあ実際名前は知らねえがよ、
どんなヤツかなら知ってんぜぇ~』
『コソコソコソコソ逃げ回っちゃあ』
『安全圏から弾撃つだけのカスみてぇなクソザコ銃使い、だろぉぉお~!?』
『……』
その唐突過ぎる、何の脈絡も突拍子もない一言に、
ユウトは敢えて何も言い返さなかった。
こういう"相手を煽って調子付かずにいられねぇ手合い"は、
まず好き放題に"イキらせて"おくのが最適解……
焦って反応しちまうのは割に遭わねえと、よく知っていたからだ。




