エピソード5:いや~、感想ないとね、ホント物書きは壊れますよ。いや勿論皆さん事情があるんでしょうけどね、だからこそ分担というか連携というか、重いものをみんなで持つようなですね……
場面は日本国内某所の繁華街……
『ぐぶえっ、げえっ……!
ふざけんじゃ、ねえっ……!
俺は、間違ってねえ……現代遊戯王は、
史上最悪のクソゲー、だろうがっっ……!』
血塗れになって倒れ伏すのは、
黒い竜みてえな鎧だか外骨格だかを身に纏い、
挙句翼や尻尾まで生やした背の高い男……
その肌はやけに青白く、よって生気ってモンが感じられず、
ともすりゃ翼や尻尾も相俟って到底人間とは思えねえワケだが、
事実こいつはとっくに人間をやめていた――怪人に成り果てて――。
「……お前がそう思うんならそうなんじゃねえの?
お前の中だけではなァ。……ま、知らねえけど~」
対面するは、如何にも余裕綽々といった様子で佇むガラの悪い男。
黒ジャージに白のスニーカー、色眼鏡、革マスク、安物の金ネックレス……
ともすりゃもう説明不要だろう、
ヤツこそは誰在ろう、防衛組織『セキガハラ』所属の若手ヒーロー
"遺恨リーパームジョウ"こと本作主人公"ホンゴウ・ユウト"に他ならねえ。
(なんだかエラく久々な気分だぜ……)
その独白は強ちただの"気のせい"とも言い切れなかった。
何せ話数にして実に七エピソードぶり、
画面前の現実時間で換算すると何と一ヶ月以上も出番が無かったんだからな。
曲がりなりにも主人公だってのに異常事態ったらねえ。
『ぐうっ……! クソ、があっ……!
俺は、何も、間違ってなんかっ――ぐうあっ!?』
「……間違ってんだろ、何もかも。
たかがカードゲーム如きの為に、こんな被害出しやがって」
見苦しく自分を正当化する怪人、
その腕をユウトはナガシノマグナムで容赦なく打ち抜く。
『っがあああああっ!
……ぐ、うがあっ……た、たかが、カードゲーム、だとっっっ……!
ふざ、けるなあっ……! 遊戯王はっ……! 遊戯王、OCGはっ……!
俺にとって生き甲斐だったんだっ!
俺は遊戯王OCGに人生を捧げて来た!
それだってのにコンマイは……俺の心を何度も踏み躙りやがった!
俺というファンを大切にしないコンマイを、俺は絶対に許さない!
これは最早、俺自身の生涯をかけた正義の戦いなんだあっ!』
「……」
決して浅くねえ傷を負って尚、怪人は抵抗をやめなかった。
血反吐どころか肉片すら吐き散らしそうなほどの叫び……
ユウトはそれに何も返さねえが、
決して怪人の言い分に圧倒されたなんてことはなく……
(……マジでくだらねぇ)
心底呆れかえって言葉も出なかったんだ。
……てわけで、そろそろ説明せねばなるめえ。
『俺は……許さん……コンマイめ……
奴らは、金の為に俺を裏切りやがった……
俺が神罰を下してやるんだ……!』
変身すらしてねえユウトにアッサリ追い詰められてるこの野郎……
名を"デュエルバーサーカー"つって、
お察しの通り令和神殿騎士団所属のバイオノイド型怪人だ。
そしてこれまた読者のみんなはお察しだろうが、
このデュエルバーサーカーこと本名"コイケダヤ・ヨシマサシ"は
幼少期から長年遊戯王ってIPと向き合い続けた生粋の決闘者……
まさに人生を捧げたと言っても過言じゃねえ男だった。
だがその強い執着の故に奴は、
KONAMIからの"裏切り"に心を痛め、また憤ってもいた。
「おめえは何を言ってやがる。
KONAMIとて企業なら利益を優先すんのは当たり前……
それをてめえが気に食わねえ環境になったから裏切りだあ?
んでそれにキレて態々コナミデジタルエンタテイメント本社襲撃すんのが、
正義の戦い? 神罰だと?
笑わせるじゃねえか……いやもう、笑う気すら起きねえがよ」
で、ヤツの言う所の"裏切り"ってのが何かっつーと……このこれだ。
要するに遊戯王フリークである所のデュエルバーサーカーは、
加速する遊戯王OCGのルール変更やインフレとそれに伴う環境の激変に腹を立て、
遂にコナミデジタルエンタテイメント本社への襲撃を実行に移しやがったんだ。
曰く『生涯をかけた正義の戦い』で、
自分のあらゆる行為は『KONAMIへの神罰』だなどとぬかしやがるが……
その実態がただのテロ行為に他ならねえのは、誰が見ても明らかだろう。
『うるさいっ!
確かに一度二度の裏切りならそりゃ許したさ!
だがコンマイは! 奴らは! 幾度となく俺を裏切りコケにしたんだ!
俺が……俺たちが本当に望むカードを刷らず、
かえって金儲けの為に変なカードばかり刷りやがって!』
まあ、結局社員や周辺住民の避難は完了してたし、
その他の対処も完璧だったもんでこいつ自身の思うような被害は出せず、
その上令和神殿騎士団に怪人の力を与えられこそすれ戦闘訓練もロクに積んでなかったんで、
本職ヒーローのムジョウには手も足も出なかったワケだが……
『結局コンマイは俺たち決闘者をただの金づるとしか思ってないんだ!
どんなに稼いでたって「お客様は神様」!
これが分かってない企業なんて存在意義ないんだよ!
そしてそんなコンマイの刷ったクソカードでクソデッキを作る奴ら……
例えば【ティアラメンツ】に【クシャトリラ】から【M∀LICE】に【ライゼオル】、
あとは【巳剣】に【ヤミー】、【VSK9】や【ドラゴンテイル】……
そういうデッキを得意げに回して強者ぶってる奴らも万死に値する!
あいつらはコンマイの悪意に同調して脳死で金を貢ぐ傀儡……
決闘者魂を捨て去り企業犯罪に手を貸す害悪どもだ!
そんな奴らの横暴がまかり通る世の中なんて間違ってる!
だからこの俺が、決闘者としての本当の正義が何かを知らしめてやるんだ!
デュエルの"ワクワク"や興奮をドブに捨てたあいつらに、
思い知らせてや――があっ!?』
延々と、いつまでも続きそうだったコイケダヤの"演説"は、
然し実際容赦なく放たれた一発の弾丸でもって強制終了と相成った。
(……いっけね、口より先に弾ァ出ちまったィ)
もう少し、何かしら反論の一つでもしてやるべきだったろうか。
内心己の判断を少々悔いつつ、
標的がくたばった旨を組織に報告しようとするが……
「……ええ、はい。死体は残してますんで……ええ。
解析半の方に回したって下さい。はい、お願いしま……」
報告の最中、ユウトが唐突に絶句する。
『どうしたんです、ホンゴウさん』
「ああすみません、ちと予想外の事態でしてね。
まあなんつーか……わかりやすく言うなら、
敵の奴をね、殺しそびれちまったようでして」
事実、ユウトが見据えるその先に居たのは……
『強靭……! 無敵っ……! 最強っっ……!』
なんとまあ、眉間を撃ち抜かれ絶命したハズが、
何故か万全の状態で佇むデュエルバーサーカーの姿だったんだ。
「……すみません、
とりあえず処理班の到着だけ十五、六分ほど遅らせて貰えますかね。
すぐ片付けますんで……」
『えっ、大丈夫ですか? 何だったら近場の防衛組織に救援要請出しますけどっ』
「ご心配なく。マジで危なかったらそん時はこっちから言いますんで~」
かくして久々の主人公主役回……
その戦いはまだまだ続いていくんだ。




