エピソード4と11/13:結論から申し上げますが、カエルは古代エジプトでは多産の象徴として神聖視され、そのためにヒエログリフの十万はカエルまたはオタマジャクシだったそうです(何の話?)
場面は前回から引き続き、
かつて中華人民共和国と呼ばれていた大地の片隅!
『うおおおおおお! 認めてなるかっ!
こんなことなどっ! 俺はいて座!
常に勝利し続け頂点に立ち続ける一番星なんだあああああっ!』
令和神殿騎士団所属の怪人"セイントアテナイト"こと、
"いて座生まれのクルマダニ・マサミチ"は
両腕のクロスボウから光の矢を乱射し続ける!
『全く、目も当てられないな……
一番星は自ら燃え盛ればこそ夜空に輝くものだろうに』
『うむ! 如何にも!
飛ばぬ豚がただの豚ならば、
燃えぬ恒星など重力にも抗えぬ白色矮星に過ぎん!』
さあ、そんなセイントアテナイトと相対するは、
アカメアマガエル型のメカ女人"クインフィビアン"こと"コウエンジ・ヘケト"に、
その婚約者でアルガリ型のメカ男人"アルガロンソート"こと"コウエンジ・フヌム"!
『即ち、恒星を自称しながら自ら燃える努力もせず、
あまつさえその責任を他者に転嫁し暴れ回る貴様は、
最早夜空に輝く恒星を名乗る資格を喪失したも同然!』
『何なら星座とは恒星の集まり……
単一では形成すらできないのに、
まして光る努力すらしないようでは……』
揃って防衛組織『甲鉄連合』がイチ門派"コウエンジ一門"に所属する二人は、
半透明な防御障壁をあちこちに展開したり、
はたまた装甲に仕込まれた超小型誘導弾でもって迎撃したりと、
尽くセイントアテナイトの矢を無力化していく!
『ふむ、"ウールバリア弾"は正常に機能しているし、
何なら想定されていたトラブルの報告もなしか……
ヘケト、そっちはどうだい?』
『うむ! このマイクロミサイルはいいな!
なんだこの、ええと、確か……
スーパーナマズキャノン! そうスーパーナマズキャノンだ!
これは実によい武装だな!
師父カズキの設計なのだろう?
相変わらず一流の名に違わぬ仕事しかせんな、師父カズキは!』
『……タッドポーランチャーだよ、ヘケト。
その弾頭だってオタマジャクシの形をしてるだろう?
名前だけじゃなくモチーフまで間違うなんてどういうつもりだい』
『な、何ぃ!? オタマジャクシだとっ!?
この弾頭は、ナマズの子を模していたのではなかったのか!?』
『そんなわけないだろう。
第一、カエル型のクインフィビアンシステムにナマズ型の武装が搭載されるなんて、
少なくともオタマジャクシに比べれば不自然だと思うんだがね』
『うむ! 確かに不自然だな!』
ヴィランとの戦闘中にこんなやり取りをしてる辺り、
大物なんだかバカなんだかよくわからねーが……
『ば、バカなぁっ!
たとえ相手がしし座やおとめ座だろうとっ……!
俺はいて座……俺はいて座なのにっ……!』
ともあれ目に見えて追い詰められて尚、
セイントアテナイトはうわ言みてぇに繰り返すばかり。
しかもヘケトやフヌムからの話も聞く耳持たずだってんだから、
いよいよ救いようもねぇワケで……
『……やれやれ、始末に負えないな。
ヘケト、やってしまおうか』
『うん? フヌム、いいのか?
この者も令和神殿騎士団の怪人かもしれんのだぞ?』
『ああ、そうかもしれないが……そんなのは死体を解析すれば分かることだ。
聞けば例の組織についても情報は集まりつつあるようだし、
こんな木っ端の三下程度を生け捕りにして尋問するのも割に合わないだろう』
些か性急な判断にも思えたが……
『それにイザという時には、オシリスリーガルセンターに頼めばいいんだからね』
『おお〜、確かにあの老師がたに頼めば万事解決だな!
ならば遠慮は要らんな! 一気に始末するぞフヌム!』
抜け目ないフヌムは万一に備えての"保険"も手配済みだった。
となりゃ『ワンチャン司法取引で生き残れるかも』などと、
甘ったれた考えでいたセイントアテナイトも顔面蒼白……
どこぞのアイドル超人筆頭格よろしく甲冑越しに冷や汗でもかきそうな勢いだ。
『ひっ! ひいいいいっ!?
お、おい止せお前らっ!
俺は、俺は令和神殿騎士団の重要情報を握ってるん――
『エレクトリャーン・バインドッ』
――だがわあああっ!?』
慌てたセイントアテナイトは、
どうにか助かろうと命乞いを試みるが……
フヌムの放った電撃纏いの縄に縛り上げられちまう!
『が、ぐがっ……!
お、おいコラっ! 外せこのっ、これをっ!
いいのかっ!? 知りたくないのか!? 令和神殿騎士団の、本当の目的をっ!
俺は、俺はそれを知ってるんだぞっ!?
お前ら、そういうのが欲しいんじゃないのかっ!?』
『来たれ、"舌刀フィビアンタングケペシュ"!』
必死の訴えも空しく、
ヘケトはカエルの頭を象った右肩部分の口から、
鎌状の片刃剣――まさにエジプトの刀剣"ケペシュ"めいたデザイン――を引き抜く!
その名は"舌刀フィビアンタングケペシュ"。
"タング"って名前の通りカエルの舌を象った、
クインフィビアンの切り札めいた必殺武器だ!
『ヒエエエエエッ!?
お、おい止せっ! しまえ! しまえよ、そんなのっ!
い、いいかっ!? 俺は本当に情報を握ってるんだ!
上のやつらは俺達なんて所詮ただの捨て駒、
替えのきく実験体としか思ってない!
やつらの本命は別にいる!
俺なんて殺したって何の意味もないんだ!
あの十よに――
『クイン・エグゼクション!』
――ぎいいいええええええっ!?』
往生際の悪いセイントアテナイトは尚も命乞いを繰り返すが、
対するヘケトが聞く耳など持とうハズもなく……
必殺技"クイン・エグゼクション"が容赦なく炸裂!
『な゛……て、めえ゛……!
おと、め、座あ……!
おれの、はなし……を……』
『……話? 何を言っている?
貴様が今まで話などしていたか?
よもや貴様の生まれた時代は、
感情に任せて無意味に喚き散らすのを、
話すと言うのか?』
『う゛……あが……そ、んなあ……
こ、んな……はず……はず……じゃ……
……が……あ……』
ヘケトからの容赦ない言葉に、
ただでさえボロボロだったセイントアテナイトは心身共に限界を迎え……
『……あ……があ……
せん……せ……
くる……ま……だ……せん……
……あっ……がああああっ……!』
命に届いた深傷を起点に、
内在するエネルギーが暴走……
『……あっじゃっ、パァァァーッ!』
よく分からん断末魔の叫びを上げながら、
木っ端微塵に爆発四散!
どうしようもねぇ思想に囚われ自滅し、
くだらねー悪事に走ったヤツに相応しい、
滑稽で無様な末路を辿ったんだ。




