エピソード4と3/13:あの、ホント信じて下さい……こいつも普段はマトモなんです……
場面は前回から引き続きユーラシア大陸東部の一角。
[PRISE LORD ASCALON!]
『私は今どうにも機嫌が悪い。
敵対した貴様風情が楽に死ねるとは思わんことだ』
令和神殿騎士団の変態ヤロウ"アンクルサッカー"に立ち向かうべく、
剣士ゲオルギイ・ザムシャンギルは武装型ヒーロー"ロード・アスカロン"に姿を変える。
身に纏う甲冑は黒地に赤のラインが入り、
全体的なフォルムは宛ら武闘派の魔神か魔王のそれ……
凡そヒーローらしくねえ、ともすりゃ界隈でも度々物議を醸すビジュアルだが、
さりとてそれでも英国はじめ欧州では相方のシスター・サイキ共々
"来てくれた時の安心感が桁違いな実力派ヒーロー"として高い支持率を誇ってた。
『けえっ! なんだそりゃあ!
ダークヒーローってヤツのつもりかよぉ!?
カッコつけやがって、一周回ってダセエったらねえぜ!
中身のないヤツが数を誇るように、
実力のないヤツが見た目に拘るんだからよぉ!』
対抗して口汚く罵るアンクルサッカー……
その戦闘形態は前身白金色をした寸胴体型の不細工なマッチョって感じで、
例えるなら格闘漫画の噛ませキャラか、
雑な流行りもんのエロ二次創作に登場する
汚え竿役のクソ野郎を象った偶像ってトコだろうか。
いいとこギャグ漫画の出オチ要因か、
予算ケチり過ぎたゲームの量産型の敵キャラにしか見えやしねえ。
『口では何とでも言えよう。
真実は戦えばこそ分かるものだ』
[DARKNESS FORCE 1ST STRIKE! RUIN DAWN!]
啖呵を切りながら剣を抜くゲオルギイ。
使い手自身の変身に合わせてだろう、
鋭くも肉厚で頑丈そうな刃は如何にも有害そうなオーラを纏ってやがる。
『へっ、"闇の炎に抱かれて消えろ"~ってかァ!?
そんなツマヨウジ如き、木っ端微塵に叩き負ってやるぜぇ!
"ガンボリガチンコ・ゲイレブン"ッ!』
対するアンクルサッカーがなんだかミョーなポーズを取れば、
ヤツの全身から白い光沢のある液体が溢れ出す。
そして程なく液体は十の塊に分裂、
瞬く間に"アンクルサッカーの複製"に姿を変える。
要するに……
『分身か。中身のない貴様に相応しい能力だな』
『へっ、言ってろ雑魚がっ!
玩具展開見越して武器ばっか出してるテメェこそ"数ばかり誇る雑魚"だってんだよっ!
おうブルーレッグ! やっちまえっ!』
『任せろよキャプテンっ! あんなペーパーナイフぐれぇ圧し折ってやるぜぇ!』
アンクルサッカー本体に言われるまま意気揚々と躍り出るのは、
ブルーレッグだかいう複製の一体……なんだが、
見た目がまんま同じなんでぶっちゃけ見分けがつきゃしねえ。
『てめえのケツにっ、
そのペーパーナイフの柄を突っ込んでやらああああっ!』
『……』
息巻いて突撃するブルーレッグ。
並みの人間よりデカい全身白金色のゴリマッチョが迫って来るとなりゃ、
大抵誰でも多少はビビりそうなもんだが……
対するゲオルギイは一切意に介さねえ。
そして……
『うげえへへへえええへへえええあああはははああっ!
ぶえっへへへへへええええ――』
『フンッ』
殴り掛かろうと迫るブル―レッグ目掛けて、
すれ違いざまに剣を一振り。
『へぐっ!?』
禍々しく不吉なオーラとエネルギーを纏う刃はあっさりと、
下品に光沢を放つ巨体を両断し……
『ぐあ、がああっ!?
お、れの、身体あああっ!
なん、で! 斬れっっ、てっっ!』
『浅はかなる者よ、切り裂かれ滅亡せよ』
[EMPIRE 1ST FORTH! RUIN SLASH!]
『ぜんだっ! ぼっばあああああああっ!』
ゲオルギイの吐き捨てた一言と、
響く必殺技音声を合図に"傷"は開き、
下劣なヴィランの複製は残骸を闇に喰われ跡形もなく消滅した。
『さあどうした、下郎。
まだ十一のうちの一つが消えたに過ぎんのだろう。
あとの十でこの私を殺しにこい』
[SEVEN GENERALS!]
挑発するゲオルギイの背後には、
それぞれ全く異なる七本の剣が浮かんでいる。
漆黒の鞘に収まって青白い電気エネルギーを纏う細身のシャムシール……
氷から削り出したような半透明の鞘に収まって冷気を纏う無機質な片刃剣……
猛獣の骨と筋肉の塊を固めて形成したような炎を纏う幅広で肉厚な大剣……
片側が機械化された巨大なカニのハサミを思わせる穂先が特徴的な、恐らく槍と思しき武器……
黄金の角が生えた臙脂色の大蛇の生首を象った、斧とも剣ともつかねえ武器……
太長い円筒形の岩石にカラフルな宝石を埋め込み"刃"に見立て申し訳程度の鍔をつけた金砕棒……
どぎつく毒々しい色の触手が絡み合って鞘・鍔・柄を形成している不気味な長巻……
手元にあるのも含めりゃ合計八本……
これぞロード・アスカロンの力の源……
異世界で猛威を振るった化け物の遺骸から形成した八つの武器
その名も"インペリアルオクテットブレイズ"だっ。
『さあ、どれでどう死にたいのだ?
希望を言えば選ばせてやらんでもないぞ?』
(ああぁぁぁぁ……まずいですねこれは……
盛大にまずいです……作者の荒んだ精神状態を反映したかのように、
ゲオルギイが極めて好からぬハッスルをっ……!
どこかで変なスイッチでも入ってしまったのでしょうか……)
唐突な相方の豹変ぶりに、
エレノアは危機を覚えずにいられねえ。
(いけませんねこのままでは……
実によろしくありません……
勢い余ってあのヴィランの霊魂まで破壊してしまったら、
いよいよ情報収集ができなくなってしまいます……!)
ただまあ、その懸念は誰もが思わず
『そっちかよ!?』とツッコまずにいられねーようなモンだったんだが。




