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デスイズザヒーロー!-悪の最強怪人がヒーローに転身して六年、その弟子は地獄を継承する-  作者: 蠱毒成長中
第四章:濃州不破八傑編

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エピソード4と2/13:こいつらのモデルが辛うじて分かったとして、名前の由来まで言い当てられる読者の方がいるとはとても……何時もながらそういうとこ不親切ですよねあの作者は

 場面は前回から引き続き、

 ユーラシア大陸東部の一角……


「――アサガキタイセイに塩を送るような真似をしたくなかったのです!!!!」

「はあ?」


 剣士ゲオルギイの放った予想外過ぎる一言は、

 主君エレノアを困惑させるに十分過ぎるモンだった。


「……ちょっとお待ちなさいゲオルギイ。

 あなたは一体何を言っているのですか?

 なぜそこでアサガキさんの名前が出るんです?

 確かに彼はセキガハラ傘(二代目ハンド)下のヒーロー(ガンレッド)ですけど……」


 そこでエレノアは感づいちまうんだ。

 『まさかうちの剣士ときたら、

 とんでもなく安易で馬鹿げた考えに至ってるのでは?』ってな。


("そんなまさか"と、言い切れないのがこの子なのですよね。

 一体何があったのでしょう……

 断じてそんな幼稚な真似するような子じゃないハズなのですけれど……)


 辟易した様子のエレノアは、

 けれど付き合いの長い忠臣の暴挙を黙認する気にもなれず、

 かえっていつにもまして血の気の多いゲオルギイを宥めにかかる。


「……ゲオルギイ。貴方が何を考えているのかは大体察しがつきました。

 けれどそんな、

 かつての従軍慰安婦問題を引き合いに出して

 現代を生きる日本人をも十把一絡げに悪く言う

 半島事変以前によく居たおバカな朝鮮人みたいなみっともない真似はお止しなさいな。

 不出来な親のせいで躾のなっていない子供じゃないんですからっ……」

「……!! っっ……!」


 エレノアに諭され、ゲオルギイは思わず押し黙る。

 この男とて頭脳アタマじゃ自分の行動が間違っていると理解していたからだ。

 ただそれでも

 ――例え敬愛してやまないエレノアに命じられて尚――

 男は剣を引っ込めようとしなかった。


(どうしてでしょう、ゲオルギイったら今日に限ってやけに頑なですね……。

 なんだかんだアサガキさんとは"喧嘩するほど仲がいい"とまでは言わずとも、

 元々根っからの敵対関係にあったわけでもありませんし、

 何なら近頃は態度も軟化しつつあったハズなのですが……)


 エレノアは頭を抱えた。

 何せこのゲオルギイって男はヤツ自身にとって色んな意味で必要不可欠の存在……

 この一件が拗れて連携に支障が出るようじゃいよいよ困るからだ。


(……なんと相談したものでしょうね)


 変態ヤロウが死なねえよう見張りながら、

 小柄な白人は頭を捻る。


 ……とまあ、この辺りでそろそろ

 この新キャラ二人について具体的に紹介せにゃなるめえ。

 ああ、悪かったよ。

 お前らとしちゃ唐突に知らんキャラが出て来て意味不明だったろう?

 こっちも色々と大変でな、どうしたもんか迷ってんだワ。


「あの、ゲオルギイ?

 そもそも予てより疑問だったのですが、

 貴方どうしてそこまでアサガキさんを嫌うのですか?」

「……理由であれば、過去に説明させて頂いた、通りに御座いますっ」


 やけに殺意の高い剣士ゲオルギイと、その主君エレノア……

 大まかな挙動や言動から凡そ察しはつくだろうが、

 こいつらの正体は英国が誇る老舗の大手防衛組織『ヴァーチューズ・ナイツ』所属のヒーローだ。


「あの男は、

 アサガキタイセイはっ、

 礼儀作法も弁えず、誰にでも馴れ馴れしく、

 能天気で、がさつで、空気も読まず、直情的な、

 叩けば叩く程に埃の出る、古びた絨毯のような、

 粗だらけの俗物に御座います」


 まず剣士ゲオルギイから紹介しとこう。

 フルネームはゲオルギイ・ザムシャンギル。

 名のある異世界人を祖に持つ剣豪一族の出身で、

 武装型ヒーロー『ロード・アスカロン』として名を馳せる腕利きでもあった。

 性格は既に描写した通り、不器用なほど生真面目な堅物って感じで、

 正義と道徳に殉ずる王道のヒーロー然とした誇り高い人格者……


「そのような男を、何故嫌悪せずに居られましょう」

(……これはまた、ウソをついていますね)


 と言えば聞こえはいいが、

 同時に結構好戦的で荒っぽく頑固で融通が利かない一面もあり、

 事ある毎に過激な発言や行動をぶちかましトラブルを引き起こしたりと、

 手放しに誉めてばかりいられるようなヤツでもないのが現状だった。

 あとはまあ、好きな相手と嫌いな相手で極端に態度を変えがちっつー、

 中々エグめな欠点も抱えてる。


「下手なウソはおやめなさい、ゲオルギイ。

 その件に関しては最早、ある程度決着はついたハズ……

 彼のことは一先ず"仲間"として正式に認定していたじゃありませんか」


 さあ、続いてエレノアの紹介だ。

 フルネームはエレノア・モノセロアダマス。

 ゲオルギイと同じく名のある異世界の官僚一家に生まれた第三子で、

 防御・補助・回復なんかに秀でた凄腕の異能者って一面もあった。

 なもんで術者型ヒーロー『シスター・サイキ』として、

 専らゲオルギイとコンビを組んでやはり名を馳せていた。


「"あの時あの場所"には私も居合わせていました。

 貴方とアサガキさんが交わした言葉もしっかり覚えています。

 今更誤魔化しなんて通用しませんよ」


 具体的な人物像としちゃ……

 まあ端々の言動から見て分かるだろうが、

 高貴な出自特有の気高さと気品を併せ持ちお淑やかな所謂"清楚系"って感じ。

 ただ一方ヒーロー業界に身を置くだけあって正義感や芯は強く、

 見た目の割に強靭なメンタルとバイタリティの持ち主でもある。

 ……ま、だからって非の打ち所がねぇかっつーとそうでもないんだが。


「ゲオルギイ、貴方はそれはもう頑固で融通が利かず、

 正義だとか倫理だとか法律だとか、あと私への忠誠心だとか、

 そういったものを暴れ回る口実にしたり、

 手放しに褒められるほど"できた人間"でないのは事実です。

 けれど貴方は一方"心底どうしようもない人間"でもないと、私は確信しています。

 貴方とももう、十年以上の付き合いですからね」


 エレノアとゲオルギイの出会いは勤務先ヴァーチューズ・ナイツ傘下のヒーロー養成校だった。

 色々あって幼くして地球への逃亡を余儀なくされた二人は、

 かねてより互いの故郷ひいては実家と親交のあった組織に保護され、

 当人たちの意向と才覚を考慮しヒーロー候補生として育てられていく。

 運命的な出会いから紆余曲折を経てコンビ結成に至った二人の絆は強く、

 エレノアはクセの強いゲオルギイの"制御方法"を誰より熟知していて、

 ゲオルギイもエレノアの命令にはよっぽどのことでもない限り必ず従う。


「とすれば、貴方がアサガキさんを"避けようとする"理由は別にあるのでしょう?

 "あの日あの時"以来、あなたは彼にきつく当たりこそすれ、

 決して悪意や敵意を向けたり害を為したりはせず、

 かえってそれらから彼を守ってすらいたのですから」


 そんな、読んで字の如くの"主従関係"なもんだから

 エレノアとゲオルギイは公私問わず二人一組で行動することが多かった。

 何ならヴァーチューズ・ナイツもこいつらはコンビ運用前提と思ってるフシがあり、

 傘下の養成校が交換留学をすると決まった際なんかにも、

 エレノアとゲオルギイを同じ他校に派遣した程だった。


 ……ここまで書けば読者のみんなも察しはつくだろうが、

 この時二人が交換留学生として派遣された"他校"ってのが要するに、

 タイセイが通ってた頃のセキガハラ傘下の養成校だった。

 しかも二人の配属されたクラスってのがまさにタイセイの所属してたクラスで、

 そっから先の展開はまあ、推して知るべしっつーか……。


 とまあ、長引いちまったがこいつらの紹介はここで一旦区切らせて頂こう。


「ねえゲオルギイ、貴方本当は何を思っているのですか?

 なぜ"仲間"と認め、身を挺して守りまでしたアサガキさんを、

 今になってどうしてそこまで忌避するのですか?

 ……"正直に答えなさい"、ゲオルギイ・ザムシャンギル」

「……!」


 エレノアから投げ掛けられた言葉は、

 ゲオルギイの心へ呪いの如く重く圧し掛かる。

 如何に"腹を割って何でも話せる仲"とは言え、

 それでもこの本音を吐露するのを、

 なぜか無駄に躊躇ってしまっていたんだ。


(……言わねばっ。所詮この程度の、些末なこと……!

 何故躊躇う必要がある、ゲオルギイ・ザムシャンギル……!)


 ゲオルギイは頭を抱えるも、即座に決断。

 主君相手に"本音"を吐き出そうとしたが――


「づぬぐうううあああああっ!

 どっりゃあああああああああっ!」


 その瞬間、汚え叫び声を伴って剣士の片足がぐわっ、と押し上げられる!

 長らく鳩尾を踏みつけられていた変態ヤロウが、

 首筋や手足の力でもって

 ――概ね『北斗の拳』の跳刃地背拳みたく(?)――

 勢いよく"跳躍"しやがったんだ!


「くっ!?」「なっ!?」


 虚を突かれたゲオルギイとエレノアは当然度肝を抜かれる!

 特にゲオルギイは直に奴を踏みつけてただけにヤバかったが、

 流石そこは百戦錬磨の一流ヒーロー!

 複雑すぎる状況にもかかわらず無駄なく身を翻し難を逃れる!


「おっ、まっ、えっ、らああああ~~っ!

 よくも長々と足蹴にしてくれたな~っ!

 お前らのやったことはっ、マイノリティに対する迫害っ!

 つまり世が世なら死刑になっててもおかしくない大罪だぞっ!

 そこんとこ理解してんのか、この糞白人マジョリティどもが~っ!」


 起き上がった変態ヤロウは怒り心頭、

 醜いツラをさらに醜くしながら怒鳴り散らす。


「申し訳ございません、エレノアお嬢様ッ!

 私めが早めに手足の腱でも切っておけばこのようなことにはっ!」

「謝る必要はありませんよゲオルギイ。所詮私の落ち度ですから。

 ……ともあれまずはあの方を黙らせなければならなくなりましたね」

「お任せ下さい、エレノアお嬢様。

 あの程度の下郎、このゲオルギイが仕留めて御覧に入れます」

「まあ、相変わらず勇ましく頼もしいじゃありませんかゲオルギイ。

 ……でもできれば情報を聞き出したいので、

 極力程よく再起不能にする程度で留めて下さいね?」

「……善処させて頂きます」

「善処!? 善処って何ですかゲオルギイ!?

 そこは嘘でも『畏まりました』とか『お任せ下さい』と言う流れでしょう!?」


 ゲオルギイの言葉に一抹の不安を覚えずにいられねぇエレノアだが、

 ともあれ"敵を倒す能力"に関しちゃ世辞にも高いとは言えねえもんだから

――というのもエレノアは元来防御や回復なんかが専門で、

  相手を直接攻撃する能力はハッキリ言って皆無に等しい――

 事実上ヴィランとの戦闘はゲオルギイに一任しなきゃならないのが実情なんだ。


「ふざけやがってぇ!

 調子付いていられるのも今の内だぞぉ!」

[フェミニーナァ〜イト☆レボリュ〜ションッ☆]


 さてともかく戦闘突入ってことで変態ヤロウは腰のピンを抜き

――その動作に伴って流れる音声こそは、

  ヤツ自身が令和神殿騎士団所属のバイオノイドである何よりの証拠と言えた――

 醜怪に化け物じみた戦闘形態へと変異していく。


「その言葉、そっくりそのまま返してやろう」


 一方対するゲオルギイは抜き身の長剣を何故か鞘に納める。

 一見"こんな奴に剣など不要"とでも言わんばかりの

 所謂"舐めプ宣言"じみた動作だが、

 然し実際この動きこそヒーロー"ロード・アスカロン"本領発揮の合図……

 言わば変態ヤロウへの実質的な"死刑宣告"に等しいワケで。


[ARMED WITH THE DARKNESS!]


 シンプルな剣が収まるには聊か禍々し過ぎる鞘……

 悪魔じみた化け物を象ったようなそれに、

 やたら不吉そうなオーラやら稲妻風エネルギーが纏わりつく。


「悔いよ下郎。

 貴様に待つのは秩序ある"試合"に非ず。

 また正々堂々たる"決闘"にも非ず。

 或いは大義と信念に拠る"闘争"にも非ず……」

『へっ! ならなんだってんだよクソダサ中二病(カッコつけ)野郎!

 この令和神殿騎士団イチのナイス"ゲイ"と名高い

 "アンクルサッカー"様に何が待つってんだぁ!?』


(ああ、やっぱり令和神殿騎士団の構成員だったのですね。

 しかしナイス"ゲイ"って……

 嫌がる相手を無理矢理追い回しておいて何が

 "ナイスな男色家ゲイ"ですか全く恥を知りなさい)


 エレノアは内心思い浮かんだ言葉を敢えて飲み込んだ。

 あの程度のクズ如きには罵声すら勿体ないと思ったからだ。


『よぉ~見掛け倒しのクッセえイケメン野郎~!

 お前がショタ化して詫び媚び御奉仕でもしてくれんのかよぉ!?』


 醜悪な戦闘形態になった変態ヤロウ(アンクルサッカー)の口から飛び出したのは、

 容姿に違わねえ下劣で醜悪極まりねぇ妄言だった。

 ……二次元(虚構)三次元(現実)の区別なく、

 こういうゲスがいるから性的少数者の評判が悪くなるんだっつー典型と言えるだろう。


「……何が待つかだと? 決まっていよう……」


 さて、下卑た挑発を受けたってのに、

 ゲオルギイは顔色一つ変えず至って冷静だった。

 怒りで一周回って冷静になってるんだとしたら、

 案外"小児性犯罪が許せない"って主張も建前じゃないんだろう。


「貴様に待つのはただ一つ、一方的な"殺戮"に他ならぬ……」

[ENEMY, NOW ABANDON ALL HOPE!]


 一言言い放ちながら柄を捻れば、

 鞘に纏わりつくオーラやエネルギーが一気にゲオルギイ自身へ吸収されていく!


[PRISE LORD ASCALON!]


 その度に肉体は衣類も巻き込んで鎧状に変異していき……

 ものの数秒足らずで"ロード・アスカロン"への変身は完了する!


『私は今どうにも機嫌が悪い。

 敵対した貴様風情が楽に死ねるとは思わんことだ』

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― 新着の感想 ―
 なんというか、この作品のヒーローってみんな一様にクセが強い。  ヴィランに対するストレスが過剰な程に高く、踏み躙り貶めることでそれを発散しているかのよう。  最早ヴィラン(異端者)というよりもただの…
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