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デスイズザヒーロー!-悪の組織の最強怪人、ヒーローに転身する-  作者: 蠱毒成長中
間章:雷霆を継ぐ者、ニカイドウ・ヒナミ!

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ケース5:三代目と死神の邂逅

 さて、ニカイドウ・ヒナミによる衝撃の"セキガハラ奪還"と

 彼女の"三代目レールガンマイスター襲名"から五日が過ぎた頃……


(――さて、こんなとこだろうな……。

 うん。事前に準備を済ませておいたお陰か、

 思いの外スムーズに進んだんじゃないか?

 ……ま、とは言え致命的に出遅れたんだからこの程度は当たり前かもしれんが)


 場面は防衛組織セキガハラ拠点内の執務室……

 歴代の"レールガンマイスター"が受け継いできたその部屋で、

 自嘲気味に独白するのはまさしく"三代目"ニカイドウ・ヒナミその女性(ひと)だった。


(いずれにせよ、気を引き締めてかなきゃいけないな。

 "レールガンマイスター"の名と、それに伴う責任は重大……

 ライホウくんから託された以上、

 その名に恥じぬ"よきリーダー"でなくては)


 旧北海道での戦いを経て現"二代目"たちを無事拠点に送り届けたこの女は、

 そのまま残ってた手続きや諸方への挨拶回り、

 果ては各種メディアからのインタビューや生放送番組への出演に至るまで、

 ありとあらゆる仕事・雑用を的確に片付けて見せた。

 その動きたるや相変わらず一切の無駄が無く、

 まさに超常的な"異能"じみた有り様で……

 そりゃあのバンバ・ライホウが自分の後継者に推す逸材なのも納得のハイスペぶりだった。

 或いはヒナミ自身、親友から受け継いだ立場と使命を重んじる余り

 聊か根を詰め過ぎてるのかもしれなかったが……


(ともあれ、急ぎ終わらせたい作業はほぼあと一つ……)


 済ませるべき"最後の作業"……

 それは予定通りに行けばスムーズに終わるような、

 何なら作業と呼ぶべきかも曖昧なモンに過ぎなかった。


(……いかんな。いかん。

 どうしてか、変に緊張して力んでしまう……)


 だってのに、ヒナミは謎に緊張していた。

 心の中、脳の奥底か意識の片隅に、

 熱帯びたエネルギーを有す何かしらを持て余していて、

 それが神経を通じて全身の臓器を無性にザワつかせるような……


(落ち着け……落ち着くんだニカイドウ・ヒナミっ……!

 別に大したことをするわけじゃない……

 ただ、これから一緒に仕事をしていく仲間に会うだけじゃないか……!)


 自分に言い聞かせながら平静を保とうとするヒナミ。

 何度かの深呼吸と精神統一を経て、その心は落ち着きを取り戻す。

 と、その時……


「――ニカイドウ総司令、御在室でしょうか」

(ほう、来たか……)


 扉をノックする音に続いて響く声……

 その声の主こそまさに、ヒナミがこれから会おうとしている

 "これから一緒に仕事をしていく仲間"に他ならなかった。


「ああ、いるとも。

 施錠はされていないからね、どうぞ入ってくれ」

「失礼致します」


 ドアを開き、執務室へ足を踏み入れたのは……


「お初にお目にかかります、ニカイドウ総司令。

 防衛組織セキガハラ特務実戦二課所属改造型ヒーロー

 "遺恨リーパームジョウ"ホンゴウ・ユウトと申します。

 以後お見知りおきを……」


 そこそこ上物のスーツを着込んだユウトだった

 身なりのせいかいつものガラの悪さは若干抑えられこそすれ、

 然しそれでも根本的な邪気は払い切れず……

 さながら若手の悪徳政治家か邪悪な金持ちの御曹司ってトコか。

 ついさっきマジャットから帰国したばっかだってのに、

 息切れ一つ起こしてねぇのは流石怪人上がりの改造型って感じだろう。


「……こちらこそ初めまして、ユウトくん。

 セキガハラの新任総司令でレールガンマイスターの三代目を襲名させて貰った、

 ニカイドウ・ヒナミだ。

 君の話はライホウくんからよく聞いているよ。

 聊か風変わりなものの、極めて優秀なヒーローだとね」

「お褒めに預かり光栄です、ニカイドウ総司令」

「ふむ……ニカイドウ総司令、か。

 もう少し砕けた呼び方をして貰えるかな?

 "仲間"に堅苦しい態度を取られるのはどうも気分が良くないんでね」

「……畏まりました。司令官……いえ、"ニカイドウさん"のご要望とありゃ、何なりと」

「"ニカイドウさん"、か。……まあ、初対面なら仕方ない、か。

 何なら敬語だって使ってくれずとも構わないぐらいだが……

 ともあれ立ち話も何だ。その辺へテキトーに腰掛けてくれ。

 本当に、必要以上に畏まらなくていいからね。

 親しい友人の家か、漫画喫茶の個室ぐらいにくつろいでくれよ。

 長旅から帰ったばかりだってのに、

 無理してそんなもんまで着てしまってちゃ疲れるだろう。

 ただでさえ僕の方もスーツ姿だってのに」

「お気になさらず。動植物ベースの改造型なんで、疲労にゃ強い方ですんで」


 さて、ここで補足がてら説明しておくと……

 そもそもマジャットから帰国したばかりのユウトが執務室へやって来たのは、

 ヒナミからの『挨拶がしたいので執務室に来てくれないか』

 って呼び出しへ応じたからに他ならねえ。


「たとえ君が平気だとしても、僕が良くないんだよ。

 遠い異国の地から遥々祖国へ帰って来たばかりの仲間を、

 挨拶がしたいってだけで無理に呼び出して……

 しかも配慮して『日程は任せる』と言ったのに

 君がすぐ、しかもスーツ姿なんかで来てしまったもんだから、

 ただでさえ嫌な上役(ヤツ)の典型みたいになっちゃってるじゃないか。

 本当に、来たくなきゃそもそも来なくたって構わなかったのにさ。

 これ以上"新入り"にイヤな思いをさせないでくれないかなぁ、"先輩"?」

「すみません、そんな風に思われているとは露知らず……」

「構わんさ。名のある家に生まれると、

 そういう誤解は避けられんからね。

 特に我がニカイドウ家は鎌倉より続く武家筋の直系……

 家そのものが持つ力こそバンバ家やイカリ家には劣るが、血ばかりは無駄に濃い。

 妙な扱いなんて最早慣れたものさ」

「ホホウ、推定どこぞの名もなき百姓の末裔にゃあ理解できん世界ですなァ」

「ああすまない、嫌味ったらしく聞こえてしまったかな。

 ……弁解じみたことを言うようだが、他意はないんだよ。

 どれだけ祖先が偉大で、名のある家に産まれようと、

 結局それらは"遺伝的に幾らか近い他人"の築き上げた実績に過ぎん。

 最後の最後にものを言うのは結局自分自身が如何に在り何を為したかだ。

 となれば案外、立派な血筋も名家の肩書きも、

 決して都合がいいばかりのもんでもないのさ。

 例えば黄毅瑜(ジェームズ・ウォン)が名監督なのは

 彼の代表作『X-ファイル』の長寿ぶりから見ても明らかだが、

 然し彼が手掛けた作品には『DRAGONBALL EVOLUTION』も含まれる……」

「名監督の作品だから名作とは限らねえ、と。

 ええ、俺も『X-ファイル』は好きだからよくわかります」

「そうだ。家系にも同じことが言える。

 偉人を祖先に持ち、名家に産まれた者が、

 然し確実に名に恥じぬ育ち方をするとは言い切れない。

 育て方を間違えば、誰しも幾らでも堕落しうる……。

 それこそ、20世紀スタジオ(フォックス)が、

 派手で明るく騒がしい作品に最適だが反抗的なチャウ・シンチーではなく、

 従順で御しやすいがホラーやミステリーでなければ本領発揮できない黄毅瑜(ジェームズ・ウォン)を選んだ結果、

 折角の超大作が図らずも大失敗に終わってしまったようにね」

「その点、バンバ先輩やニカイドウさんは『X-ファイル』や、

 若しくは邦画んなりますが似たパターンの『ゴジラ-1.0』みてえなパターンですわなァ」

「ライホウくんは兎も角、

 僕に対してその評は聊か不釣り合いだと思うが……

 まあ、褒められてるんだから悪い気はしないな」

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