エピソード10:死神惨劇狂暴走
場面は前回から引き続き、
ヴィラン組織『デリシャスパイザー』幹部格"スイーツインズ"の自室最奥……
『……てめえらかっ。"スイーツインズ"つーのはっっ……!』
生きた災害かってぐれーの勢いのまま突き進んだ先で、
荒れ狂うユウトは遂に怨敵どもと対峙する!
(……なんともはや、
名前のみならず見た目までもふざけた連中じゃねえか。
他の連中がボロクソにこき下ろすのも無理ねえぜ……)
間違いなくスタイル抜群な美人の域にあり、
かつやたら煽情的な格好をした二人組の女怪人を前にして、
けれどユウトは異常な程に冷静そのもの……
(落ち着け……こういう時は感情的になっちゃいけねえ。
……一先ず向こうに見える先輩はどうやら無事っぽいが、
さりとて焦っていい理由などねえんだ。
動くなら、安全だって確証を得てからじゃねえと……)
容姿に見惚れて鼻の下を伸ばすなんて論外な醜態を曝してねえのは当然としても、
怒りに任せて即座にブチ殺すような真似にすら及んでねえのは驚愕モンと言える。
さて、ともすりゃ地味に気になるのは対するスイーツインズ側の反応だろう。
なんせメンテーは『男相手に自分達が負けるワケはない』と(強がり九割で)タカを括り、
メリフェラもそれに(ロクに考えもせず脳死で)便乗していた。
となればフツーなら、その言葉通り余裕ぶって
『さあかかって来なさいこのヒーロー野郎。
あんた如きの分際なんてわたくし達にかかればチョチョイのチョイなんだから。
どこからでも何でもやってみなさいよ。
どーせ何やったって無駄でしょーけどねっ』
なんて具合に余裕綽々と、
乳やら尻やら見せつけるようなポーズでも取って
とりあえず上辺だけでも余裕ぶってそうなモンだが……
『ぁっ……ぁぁ……!』
『ひいいいい……!』
実際どうなのかっつーのは、
上記の台詞で概ね察しがつくだろう。
……部屋ん中をぶっ壊されたのが予想外だったか、
さもなきゃ相対したヤツの風貌がおっかねえからか、
二人とも揃って震え上がりながら土下座の姿勢で縮こまるばかり……
まず何よりも滑稽さと惨めさを印象付けるまさに醜態……
到底ヴィラン組織の幹部格が敵に見せていい姿じゃねえ。
『……』
結局のところユウトがこの女怪人どもを
"ふざけた見た目"と評したのも、上述した醜態に拠る所が大きかった。
或いはこれでまだ抵抗してやるって態度でも見せてりゃまだ違っただろうが……
『……救えねえな、てめえら。
本当に救えねえ。余りにも……』
熟考の末吐き捨てられたのは、余りにも容赦のねえ一言。
そして……
『……せめて顔ぐらい見せろっ』
『がっっ!?』
『てめえもだコラァ』
『ぐぃっ!?』
あたかもゴミ捨て場の錆びた一斗缶でも扱うみてえに、
容赦なく地に伏す女たちを蹴飛ばしひっくり返す。
絶望と恐怖に歪み涙と鼻水で汚れた面は最早美人も台無しで……
さながら浪費が祟り無い知恵絞って闇金相手に債務踏み倒しを企むも、
しくじって逆にギリギリん所まで追い詰められちまった
所謂"港区女子くずれ"のバカ女って感じだろうか。
『……本当はもっと慎重に、時間かけて殺すつもりだったが……』
『ぐぶえ、がっばあっ!?』
夜女神倅の切っ先が、
必然がら空きだったメンテーの腹へ突き刺さり、
あっさり貫通にまで至っちまう。
『……てめえら如きに尺割くのも面倒だぁ。
"反則技"使ってでも極力"巻き"で行くぜ……』
それは例えるなら、熟れた果実を包丁で貫くが如く……
『あ、ぐが、あっがぎゃああっ……!』
だが当然、刃が貫いたのは生体だ。
耐え難い痛みはメンテーを間違いなく苛み苦しめていて、
それだけでもう致命傷なのは間違いなかったが……
『グリ~ングリ~ンてめえらにゃ~♪
二万字かける値打ちもねェ~~~ッ♪』
『ぐっげあがぎゃっばあああっ!?
おっぼぎょおれげえええっ!?
えぐうぎいええげええあああっ!?』
雑な替え歌を交えながら、ユウトは長巻の柄を両手でぐっと握り、
全身の関節を使って力の限り
――タナトスモードの腕力なら、明らかに片手で事足りるのに――
"ぐりん"と、刀を捻り傷口を深く抉り込む。
『グリィィィングリィィィン♪
逃がさねえぇぇ♪ 絶ェっ対イに殺すぅぅぅぅ♪』
『ごぼげげああああっ!?
あっがあああああっ!?
ぐげらがああああああっ!?』
『グングリグリン♪ グンリリグリン♪ グンリリグリグリィィィン♪』
『ぎゅぼろべらばがぎゃらぶべえええええっ!?』
しかも"回転"は一回や二回じゃ終わらなかった。
何回も十何回も何十回も、
恐らく実質百は余裕に超えるほど執拗かつ乱雑に抉り続け……
遂には体液と液状化した内臓、細かく砕けた骨の混合物が、
腹にぽっかり空いた大穴から流れ出るまでになっていた。
並みの"戦闘前提の頑丈な怪人"だってそうそう耐えられる傷じゃねえ。
となりゃ……
『……ああ~……?』
『 』
まして怪人らしからず非力なメンテーが、
生きていられるハズもねえ。
『なんだぁ、もうくたばってんのか。
情けねえヤツだ……お前の " 部 下 ど も " なら
この三十倍ボコられても平気だったろうに……なあッ!』
雑に刃を引き抜き汚れを払ったユウトは、
崩れ落ちるメンテーの亡骸、その頭部を力の限り踏み砕く。
『この! この! クソが! ゴミが! 阿婆擦れがあっ!
ナメやがって! ふざけやがって! てめえのせいだっ!』
踏みつけはやがて顔面以外にも及んだ。
何なら踏みつけだけじゃなく蹴りもあった。
『てめえらのせいでっ! てめえらのせいでっ!
全部全部全部全部てめえらのせいでっ!
てめえらのせいでこうなったんだろうがああっ!
てめえら真剣でっ、逝に亡びて詫びろおおおおおおっ!』
邪悪なエネルギーを纏った渾身の一撃が、
心臓を起点に全身を粉微塵に粉砕……かくしてメンテーは肉片と成り果てた。




