エピソード9:死神進撃大破壊
『セキガハラじゃあ! はよ開けんかいゴラァ!』
場面はヴィラン組織『デリシャスパイザー』基地内部!
あたかもヤクザの事務所に家宅捜索ぶちかます組対刑事みてーな勢いで、
ユウトは執拗に金属製の扉を――最早ノック通り越して連撃の要領で――"殴打"!
『オラァ! 必殺"照ちゃん先輩キッィィィィク"!』
からの必殺ドロップキックでもって力任せにブチ破り中に突入する!
『けっ、なんつー脆い扉だ。
あずきバーの方がまだ頑丈じゃねえか』
……『さっさと開けろ』つってたのに
相手が開けるの待たずてめえでブチ破ってんのはいっそギャグだけどな。
Xとかホヨラボでウダウダ文句言いながら
ソシャゲやVリスナーの引退発表してるバカどもかってぐれー忍耐力がねえ。
幾ら先輩を拉致った連中に腹を立ててるからって限度があるだろう。
『クソどもめが、タダで死ねると思うんじゃねえぞ……!
……さあ、どう殺してやろうか……
すぐ殺すんじゃ一瞬で終わっちまう。
さりとて拷問は設備がねえし、
簡単にできる凌遅刑じゃ時間がかかり過ぎる……!
あんな連中如きに尺を割くなど考えたくもねえ!
効率的にテンポよく絶望させながら
苦痛塗れにブチ殺す方法ったらなんだ……!
あァァァ~~~~
殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す殺す殺す
殺す殺す殺す殺す……
…… 徹 底 鏖 殺 完 遂 ! 』
限界まで凝縮された殺意と狂気は、
最早殺意や狂気って言葉を当て嵌めるのも生温いような、
そんな意味不明な領域に到達しつつあった。
きっと、身体改造型ヒーロー……実質人間じゃねえが故の"何か"もあったんだろう。
霊魂刈取のまだ見ぬ副作用か、
さもなきゃ異次元空間の風土か何かに妙な影響でも受けたか……
真相は分からねえが……
『……! クソッ、俺は一体何をしてやがる……!
こんなとこで一人、燻ってるバアイじゃねえってのに……!』
ともあれ思い切り発散したお陰か、
幾らか落ち着きを取り戻した……
『……そうだ。先輩を……バンバ先輩を助けねえと……!』
……かに、思えたんだが……
『なんだこのふざけた内装はァ……!
そこらじゅうに砂糖と香水煮詰めて焦がしたような悪臭充満させやがって!
掃除行き届いてるクセに汚部屋どころか
ゴミ屋敷でもしねー臭いさせてンなァどーゆーこったよ!
てか部屋ん中ぁあちこち置物だらけで視界が悪いったらねえ!
クソがアッ、ナメ腐りやがって!』
身を焦がして灰にするほどの激情は、
部屋内に充満する形容しがたい悪臭
――スイーツインズの二人が独自に調合したアロマによるもんで、
嗅覚の麻痺した奴らの感覚では"芳香"の域にあった――
やら、用途のわからん家具や装飾だらけの部屋の内装のせいで再燃……
灰さえ再発火しそうなほどに燃え上がる!
その結果……
『……蝿も棲まねえ吐き溜め如きに!
こんなもんが似合うかああっ!』
ユウトは目につく物体を、手当たり次第破壊しながら進み続ける!
タナトスモードのビジュアルも相俟って、
さながら小規模な怪獣災害が如き様相だ!
『クソ! あちこち物置きやがって「ドン・キホーテ」か!
これでただのカチコミでなきゃ火ィつけてやってた所だぞ!
……寧ろ今からでも火ぃつけたろかァァァァ~~~~~!?
ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛~~~~~!?』
……ライホウが心配な余り気が立ってるにしても八つ当たりはどうなんだよ……。
『ヒイッ!? し、侵入者っ!? なんでぇっ!?
まさに今これからって時になって!』
『ウソでしょっっ!? 他の幹部連中はともかく
あのセキュリティを超えてきたっていうの!?
タイミングが悪いどころの話じゃないじゃない!』
さて、ともすりゃ部屋の主……
即ち幹部怪人"スイーツインズ"の二人組としちゃ慌てずに居られねえ。
何せこいつら、他の怪人にねえ"ある特性"のお陰で幹部の地位に就けてたものの、
"特別扱い"されてた関係から必然戦闘能力なんぞは皆無……
それこそスカウターで計測すりゃ二人合わせたとて戦闘力は10にも満たねえ程だった。
『ど、どどどっ、どうしましょうメンテーさんっ!?
侵入者のやつメチャクチャ怒ってますよっ!?』
恐怖の余り半べそかいてんのは"マッドハニービー"メリフェラ。
異形揃いの『デリシャスパイザー』構成員にあって珍しく人間寄りで、
所謂"可愛い系"の面構えに抜群なプロポーション……
加えてファッションもオーソドックスなビキニアーマー、
申し訳程度にニーハイソックスやファー系のティペット・カフスで肌を隠しちゃいるが、
それでも令和の地上波日中じゃ不適切扱いで出番消滅、
Web広告だろうと不自然なモヤは免れねーような見た目と言えた。
因みにビキニアーマーやニーハイソックスは黄色と黒の縞模様、
ファー系のアクセサリーは白なモンで名前通り"蜜蜂"を彷彿とさせる。
『お、おお、落ち着くのよっメリフェラちゃんっ。
こういう時はとにかく冷静に……そう冷静に振る舞うべきなの!
大丈夫、大丈夫よ! 所詮は男だし、このアタクシ達が負けるハズないわっ!』
明らかに動揺しながら強がるのは"ポメグラネート"メンテー。
やはり人間寄りの姿をしたメリフェラの姉貴分で、
面構えは"妖艶"系、プロポーションは妹分より更に抜群ときたモンだ。
その分ファッションはボディコンワンピースと"比較的まとも"だが、
あくまで"妹分と比べりゃ相対的にまとも"ってだけで、
抜群なプロポーションが強調されまくるわ大概露出高えわで、
やはり地上波にもWeb広告にも向かねえスタイルと言えよう。
ちな"ポメグラネート"は柘榴の英名で、
だからだろう所々に柘榴型のアクセサリーが見受けられた。
そして……
(この声、まさかユウトかっ!?
有り得ない……なぜここに彼がっ!?)
部屋の奥、一糸纏わぬ姿でベッドに寝かされたライホウも当然、
ユウトの襲撃を察知していた!
(いかん、この状況で彼が来るのはまずい……!
なんとしても……彼を止めなくてはっ……!)
何かしらの"ヤバさ"故だろう、
ライホウはどうにかユウトを追い返そうとするが……
「――!? ッッッ!?」
なんとまあ、声が出ねえ!
と言って呼吸はできていた。喉が詰まってたワケじゃねえ。
どっちかっつーと、舌や声帯に力が入らねえって感じ……
(ダメだ、ユウト……!
来てはいけないっ……!
君はここには、来ないでくれっっ……!)
そのカラクリは、ライホウの身を蝕む厄介な"毒"にあった!
部屋に連れ込まれた直後メリフェラによって打ち込まれたそれは中々特殊な代物で、
打たれりゃ最後抜け切るまでロクに身動きどころか発生すらままならなくなっちまうんだ!
まあその実特筆すべき"メインの効果"は麻痺じゃねーワケだが、ともあれ……
『っづあらっぼげがあああああ!
オッラアアアア何処だスイーツインズウウウウウ!』
"惨劇"は目前に迫りつつあった。
『ひいいいいいいっ!』
『いやあああああっ!』
(いかん、ユウト……!
なんてことだ……!)
最早、回避なんてできねえ距離にまでな。
『……てめえらかっ。"スイーツインズ"つーのはっっ……!』




