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デスイズザヒーロー!-悪の組織の最強怪人、ヒーローに転身する-  作者: 蠱毒成長中
第三章:雷霆勇者救出編

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エピソード8:死神決戦超辛勝

 場面は前回から引き続き、

 ヴィラン組織『デリシャスパイザー』の基地内。


『ヅエエエエエエアアアアアッ!』

『……ハアッ!』


 互いに一歩も引かず幕開けたジュデッカ対ユウトの戦いは、尚も壮絶に続いていた。


『グッ……全、くっ……ブゴッ!

 ……トコトン、面倒な奴だねェ……君って、ヤツはさァ……!

 世の中っ、"銃は剣よりも強し"が原則だってのにィ……ぐうっ……!

 ……なぁ~んだってっ、僕の射撃に、イイ感じでっ、対応してくるんだい……?

 おか、しいだろぅっ……! っぐぁぁっ……!』


『ッグウウィィィ……!

 ッッせエぞっ、この発酵食品風情があっ……グブッ!

 "銃は剣より強し"なんぞ……! ……フゲッ!

 ……距離取ってる、ヅッ! ……前提の、話いっ……!

 てめえ、こそ、なんだっ……鉄砲で格闘まで、こなしやがってっ……!

 距離詰めたら為す術ねーのがっ、ゴフッ!

 ……っっ……飛び道具って、もんだろうがあっ!』


 呻き、吐血しながら啖呵を切り合う二人……

 もう"吐血しながら"って時点で察しはついてるだろうが、

 揃いも揃ってかなりギリギリの状態だった。


『うぐ……ぅ……往生際が、悪いじゃないか……。

 君にとって仲間ってのは、そんなに大事なのかい……?』

『ぐぁぁ……はァーッッ……ったりめえだ、ボケえ……。

 命、心、魂なんてもんは、結局群れずにはいられねえっ……!

 ……仲間を重んじるってのは、つまり本能なんだよっ……!』


 あちこちひび割れた骨が軋み、

 亀裂からは洗剤か不凍液みてぇな色の体液が流れ出る。

 だがそれでもユウトは屈さず、

 夜女神倅の鞘を杖代わりに力強く立ち上がる。


『……そもそもてめえはどうなんだよ、発酵食品っ。

 こちとら仲良しの"先輩"助けに来てっけどよぉ……

 てめえ、あの"スイーツインズ"って奴らと仲悪いんだろっ……!

 道中やり合った連中も愚痴ってたぜっ……

 「あんな連中の為に命なんか張りたくねぇ」ってなあ……!』

『……』


 饒舌だったジュデッカは唐突に黙り込むが……

 無理もねえ話だった。

 何せ実際スイーツインズときたら

 組織の殆どの構成員からかなり嫌われてやがったんだからな。


『……察するにっ……

 生まれや肩書きしか取り柄のねぇ穀潰しか……

 縁故(コネ)採用の役立たず、ってトコか……!

 幾ら上司の命令とは言え……そんなヤツらの為に命張るなんざ、

 馬鹿みてえだとか思わねえのかよっ……!』


 図らずもだがユウトの言葉は概ね事実といって差し支えなく、

 ともすりゃさしものジュデッカとて返す言葉もねえ、かと思いきや……


『……そう、だねぇ~~。確かにそうだっ。君の言う通りさァ~。

 僕は「デリシャスパイザー」幹部って肩書きを誇ってて、

 組織やトリデリカシー評議会への忠誠心だってある……

 殆どの構成員たちも、大切な仲間だと思ってる……

 けどあの「スイーツインズ」……あのふざけたヤツらだけは例外でね……

 殺してやりたいと何度思ったか数えきれないくらいなんだよ……』

『ホウ、だったら――

『け ど ね ェ !

 ……それでも守らなきゃいけないんだよ。

 あいつらは、この組織に必要不可欠な人材だからね……

 奴らを守り切らなきゃ「デリシャスパイザー」は終わりなんだ……

 僕があの程度の奴らを、傷だらけ(こんな)になってまで守る理由なんて、

 それだけあれば十分なのさっ……!』


 がしゃり……鈍い音を立てて銃を構えるジュデッカ。

 全身亀裂だらけ、動くたび細かな破片が零れ落ち、

 傷口から葡萄酒そのものな体液を滴らせたヤツは、

 スイーツインズの自室へ続く扉の前へ立ちはだかる……

 所謂"通りたきゃ倒して行け"ってヤツだろう。


『……てめえも、大概じゃねえか。

 幾ら組織の、為だろーとっ……常人にゃ到底、真似、できねえよっ』


 対するユウトは"両手で"刀を構える。

 小細工無しの真剣勝負、真正面から打ち破るって意思表示だった。


『……』『……』


 無言で睨み合う二人。

 刻一刻と死に近づく中、遂に"その時"はやって来た。


『……フッ!』


 引金を引くジュデッカ。

 激闘を経て唯一残った銃に、

 辛うじて残ってた一発の弾丸。

 まさに"必殺"の念を込め、確実に即死するだろう急所目掛けて放つ。


『クッッッ!』


 だがユウトも負けちゃいねえ。

 "気付き"こそ半拍遅れだったがそれでも反応は正確で、

 クルリと刀を回転させると、

 迫りくる弾丸を峰で真正面から叩き潰し無力化してみせる。

 一見、非の打ち所なく完璧な対処……だが!


『……フッ』


 刹那……

 "声でほくそ笑んだ"ジュデッカは、

 亀裂だらけでボロボロの身体を盛大に軋ませ無理矢理加速!


『なっっ!?』

(そうとも……)


 あたかも『此処迄総て狙い通りさ』とでも言わんばかりに、

 拳銃を持った腕をユウト目掛けて引き絞る!


(これが " 真 の 狙 い " さっ!)


 一見空振ったかに思われた射撃……

 その真意はつまり、陽動(フェイント)

 飛んでくる弾丸への対処に気を取られている隙に、

 捨て身前提で胴体の傷口を殴り抉ってやろうってのが、ジュデッカの見出した勝ち筋なんだ。


(ねぇ地球のヒーローっ、

 さしもの君でもこれは避けられないだろう?

 君の意識は今や弾丸に夢中、

 刀で銃弾を防いで安堵してたんだろう?)


 光の速さで思考を巡らせるジュデッカ。

 負荷度外視のまさに"命を乗せた"一撃が、

 今まさにユウトのガラ空きな胴体へ叩き込まれる……


(けど残念その安堵こそが命取りさっ。

 元より君と僕じゃ目標の達成難度が格段に違う。

 君は僕を倒した上であの銀髪男を助け出さなきゃいけないが、

 僕は君さえ止められればそれでいいっ

 たとえ死んだとしても!

 そうさたとえ僕が死のうとスイーツインズさえ無事なら組織は続くんだ!

 僕が死んだとしても、

 組織が続きさえすれ  ばっっ!?』


 かと思いきや、

 超スピードで展開されてたジュデッカの独白は、

 身体の奥から響く激痛と前身を揺さぶる衝撃でもって中断される!


『う、ぐご……な、ぜっ……!?』


 口から葡萄酒を血反吐の如く吐き、制止するジュデッカ……

 突き出された拳を含む全身から力が抜けていき、

 強く握りしめていた拳銃さえ乾いた音を立て滑り落ちる。


(これは、攻撃……!

 だが、どこだっ!? 両腕は刀を握り締めているし、

 その刀だって微動だにしていない……

 両脚で蹴り上げたわけはなく、

 頭突きや噛み付きとも違えば、

 他に何か武器があるわけでも……)


 面食らった余り混乱せずにいられねえジュデッカは、

 けれど程なく理解させられた……てめえの身に何が起こったのかを!


『……う゛……っ、ぐうっ……!

 ……尻、尾……だとぉっ……!?』


 そう、ジュデッカの胴体を貫いていたのは、

 なんとユウトの"尻尾"だったんだ!


『手も足も、出なくたってなあっ……

 "出せるモン"ぐれえ、あるんだぜっ……!』

『……ははっ……なんて、こった……

 子供の、クソより、えげつないじゃ……ないか……』


 胴を貫かれたまま力なく事切れるジュデッカ。

 果たして絶命したのか、それともただ意識を喪っただけか、

 どちらとも断言し難いものの、何にせよ再起不能には違いねえだろう。


『……お前が、言うかよっ……!』


 静かに尾を引き抜いたユウトは、動かぬジュデッカに言葉を投げかける。

 いつもなら弔いの言葉でも投げ掛けてやるところだが、

 今やそんな余裕すらねえほど追い詰められていた。


(……然し、この野郎を倒したのはいいが……

 俺の方もいよいよギリギリだな……)


 普段から持て余してばかりな生命エネルギーが、

 今やギリギリまで枯渇していた。

 暴走状態(チェルノボグモード)にビビって能力使用を控えてたハズが、

 そのせいで死にかけてたんじゃまさに本末転倒……

 所謂『草も生えねぇ』ってヤツだろう。


(フツーに戦うだけならそりゃ、

 チェルノボグモードにだってなろうと思えたが……

 先輩の無事も確認できてねえからなあ……)


 繰り返すようだが今のユウトは殺し屋じゃなく救命士だ。

 例え生きて敵に勝てたとしても、ライホウを助けられなきゃ意味がねえ。

 とは言え今の状況はかなりギリギリ、

 そもそも他人の心配してる場合じゃねえってのも事実なワケで……


(しょうがねえ、チェルノボグモード覚悟で魂を奪うしか……)


 腹を括ったユウトは、スイーツインズの部屋へ続く扉に手を翳す。


(器物や性質、概念……命がねえもんの魂なら、

 生命体のそれよりまだ幾らか"変換率が低い"っ……!

 なら能動的な回復行為でも暴走しない程度に抑えられるかもしれねえ……!)


 最早"そこ"に賭けるしかなかった。

 さて、結果は……


『フッッ……!

 ……ぅぉ、おっ……!』


 ボロボロと瓦礫になって崩れ去る扉……

 ユウトの全身に邪悪な稲妻エネルギーが迸ったかと思えば、

 全身に活力が漲り傷が塞がっていく。

 そして何より……


『……よ、よし……暴走してねえっ。

 何なら寧ろ安定してんじゃねーか、これ……?

 ……だからってオイソレと使うワケにもいかねーがな』


 瓦礫の山を長い脚で軽々跨ぐユウト。

 ……この先に待つのは、幹部構成員が"死ねば組織が終わる"とまで評す要人。

 よって扉の向こうに続く通路は未だ長く、必然警備も厳重なんだろう。


 だがそれでも、ホンゴウ・ユウトは立ち止まらねえ。


『……おやっさん、不出来な弟子ですが見守ってて下せぇ……』

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