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デスイズザヒーロー!-悪の組織の最強怪人、ヒーローに転身する-  作者: 蠱毒成長中
第三章:雷霆勇者叛逆編

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エピソード5:死神特攻大突撃

 場面は前回から引き続き異次元空間レイブラディアの大海!


目的地()だ! 目的地()を捕捉したっ!」

「哨戒班より連絡! 敵組織基地らしき建造物を目視にて確認!

 目標までの距離凡そ百四十キロ!」

「レーダー反応あり! 目的地全域に大規模な魔術障壁を確認!」

『魔術障壁……こんな化け物だらけの世界に基地を置けてる理由はそれかっ』


 艦船"イソナデ号"を駆るユウト一味は、

 遂にライホウを拉致したヴィラン組織の拠点へ迫りつつあった! 


「一応対魔術誘導弾の射程内か……

 艦長! 船主(オーナー)! どうします!? 攻撃しますかっ!?」

「ふむ……魔術には詳しくないが、

 対象の構造を見極めず攻撃するのは早計やもしれぬ。

 船主殿、貴殿の考えを聞こう」

『俺も艦長と同意見だ。

 一口に魔術障壁つっても、

 単純に防御へ特化したヤツから敵を寄せ付けねぇだけの結界みてーなヤツまで色々あるからな。

 万一基地へ攻撃が直撃でもしたら要救助者(先輩)が危ねえ』


 本音を言えば今すぐにでも敵の基地を更地にしてやりたかったが、

 とは言え今回のユウトは"殺し屋"じゃなく"救命士"……

 最優先すべきはライホウの奪還・救出であって、

 如何に敵を滅ぼせようとそれが達成できてなきゃ意味はねえ。

 となれば基地そのものへの攻撃は控えるべきですらあった。

 ……加えて自衛とて怠れねえもんだから、いよいよ気の抜けねぇ状況なのには変わりなく……


『ともあれ現状は慎重に行くしかねぇ。

 とりあえずもっと距離詰めてレーダーで解析すんのg――うおあぁぁっ!?』

「「「ぎゃああああ!?」」」

「な、なんだぁ!?」


 刹那! イソナデ号の艦体が激しく揺れる!

 十中八九巨大なバケモンの仕業なのは間違いなかったが……


「……ふ、艦船フネがっ……!」

前進すすまねえ、だとぉ……!?」

『島に接近しなきゃならねーって時に限って……』


 なんとまあ、

 どうやらイソナデ号も霞むほどのデカブツに捕まっちまったらしく、

 海の上で身動きが取れなくなっちまっていたんだ!


『やれやれ、まさかマジでこの艦船(フネ)を煮干し扱いするデカブツにやられるとはな……』

「否、ソナーの画像を見るに敵は艦底へ食らいついておる。

 故、厳密には精々秋刀魚の塩焼き程度であろうよ」

『なるほど、いきなりハラワタへ齧り付くとは贅沢なヤツだな』

「呑気言ってるバアイじゃねーぜ船主オーナー

 船底に穴ぁ空いちまって浸水してるって報告が来てる!

 下手すりゃ機関部もやられちまう! そうなりゃ沈没だっ!」

「このままじゃ島へ上陸しないままあいつらのウンコんなっちまうよ!」


 乗組員たちの懸念はもっともだ。

 イソナデ号には一応海中の敵を攻撃する武装も無くはねえが、

 さりとて艦底部分は死角になってるし、

 食らいついた相手を攻撃すれば抵抗され二次被害が出かねねぇ。

 となれば、船主のユウトが下すべき決断は一つ……


("格納ストレージ"一択、か)


 そう、"格納ストレージ"。

 つまりイソナデ号を引っ込めれば、

 連動して乗組員たちも安全圏に転送され問答無用で助かるってワケだ。

 だが助かるのはあくまで乗組員だけ……

 乗組員じゃねえユウトはイソナデ号を喪った途端、

 この地獄みてぇな海ん中に単身ほっぽり出される形になっちまう。


(……こんな海で遠泳たあ正直想像したくもねえが、背に腹は代えられん。

 フォルネウスモードはそりゃ水中戦向きだ。頑丈で泳ぎも早い。

 だが防御は聊か心許ねえ。泳いで無事島に辿り着くには運が絡む……)


 最適な判断とは言い難いが、

 さりとて船主として乗組員の安全を考慮するなら迷わず採るべき択だろう。

 だが、そこで……


「船主殿よ、つかぬことを聞くが」

『……なんだ艦長』

「貴殿、さては我らを逃がすべくこの艦船(フネ)を"格納(かくのう)する"つもりではなかろうな?」

『……質問を質問で返すようだが、何か問題でもあるかな艦長?』

「問題しかあるまい。

 イソナデ号の格納(かくのう)は即ち貴殿の孤立と同義ぞ。

 或いはこの地獄が如き海に一糸纏わず身を投げるとも同義ぞ。

 船員への愛を悪と糾弾はせぬが、

 さりとて其れ程の船主を犠牲としてまで生に縋る船員など、

 少なくともこのイソナデ号には一人として居らぬ」

『……だったらどうしろってんだい、艦長』

「答えは既に己が内にあるのではないか?

 遠隔制御に切り替えた上で……」

『……確かにその方法ならやれる。だがいいのか?

 遠隔に切り替えたイソナデ号は……』

「構わぬ。我ら船員一同、本艦の船員として在れねば死者も同然。

 ならば嬉々として本艦の為に死を択ばん」

『……』

「他の者に問うても答えは同じぞ。

 ……そも、他に道がないことは既に貴殿も察しておるのではないか?」

『……察せてなきゃ諸君に慕われる船主にはなれてねえだろうからな』


 事実、艦長の言葉は正鵠を射ていた。

 ユウトの目的はあくまでライホウの救出だ。

 そのためには当たり前だがユウト自身が島、

 ひいてはヴィラン組織の基地に辿り着かなきゃならねえ。

 ……それも、できれば万全の状態で。


『難儀なもんだな。

 今更"等価交換の法則"で頭抱える羽目になるとは……

 幾ら誉めそやされようが所詮は俺もまだまだ未熟なガキってことか』


 軽く自嘲したユウトは、けれどそれでも決断する。


『……艦長、例のヤツで行くぞ』

「あいわかった。イソナデ号、遠隔制御モード!」

「遠隔制御モード、切替完了!」

「艦首突撃砲、起動!

 対魔術防御突撃艇、射出準備!」

「艦首砲起動しました!

 対魔術防御突撃艇、射出準備完了!

 いつでも行けます!」


 砲術科長の言葉通り、

 サメの頭を象った艦首は大口を開き、

 中から特大口径の砲口が顔を出す!

 そして大砲の奥の根元では、

 やはりサメの顔が描かれた砲弾型の突撃艇が

 パイロット搭乗と発射の時を待つ。


「……さあ船主殿、これにて準備は完了ぞ」

『何から何まですまねぇな、艦長。

 なら、行ってくるわ』

「うむ、存分に暴れてるがよい……!」

『……任せなっ』


 ユウトは"水都の暗殺鮫"で突撃艇に搭乗。

 衝撃に備えつつ計器を作動させ、目標をロックオン……

 操縦桿を握り、艦橋へ発射準備完了の合図を送る。

 そして……


「艦首突撃砲、発射ァァァーッ!」


 轟音と共に、突撃艇は"射出"される!


〔グゲエエエ!?〕

〔ギャバアアアアッ!?〕

〔ズッベボロオオオオオッ!?〕


 その威力たるや凄まじく、

 進行方向上にいる化け物どもを容赦なく"破壊"していく!


『魔術障壁突破フィールド展開!

 スラスターエンジン起動!

 一気に加速したまブチ破るっ!』


 そしてそのまま遂に島を守る障壁に到達!

 一切の敵を退けていた透き通る防御壁は悉く突き破られ、

 大幅に推進力を欠きながらも遂にユウトを乗せた突撃艇は、

 ヴィラン組織の基地が建つ島へ到着する!


『……ワンチャン突撃艇で基地まで行けそうな気もしてたが、

 そう上手くも行かねえか』


 突撃艇から海岸の浜辺へ降り立ったユウトは、

 数キロ先にでかでかと聳える基地を睨みつける。


『待っててくださいよ先輩……今助けに行きますんでね』


 これといったボケもない、至って真面目な一言だった。

 だが言い終えると同時、

 余りに示し合わせたようなタイミングで

 背後約百四十キロ先の海面が盛大に"爆ぜる"。


『……』


 それがイソナデ号の轟沈だと、察知できないユウトじゃない。

 途端、心に怒りと憎悪が満ちていくのを感じた。


『……』


 落ち着こうとした。

 冷静になろうと試みた。

 "今の自分は救命士であって

 決して殺し屋なんかじゃない"と言い聞かせた。

 だが……


『……できるかよ、納得なんてっ』


 どうあがいたとて、負の感情は消えなかった。

 かえって意識するほどに強まり……やがて爆発する。


『うっらああああああああっ!』


 張り上げられる激昂の"叫び"。

 そして……


[By your side, Mujo.]

(和訳:御身の傍に、ムジョウ)


 叫びに呼応するかのように、

 テリテスターターが姿を現した。

 しかも今度は、最初からブレスレットの状態で腕に巻き付いている。


『来てくれたか、テリテスターター……』

[At this point, I just can't hold back.

If I don’t step up in this situation, it would be a shame to the name of a Hero Tool.]

(和訳:それはもう、出ずにいられませんよ。

    この状況下で出ないようでは、ヒーローツールの名が泣きますから)

[参戦感謝♥ 活躍期待♥ 恐悦至極♥]

『いや全く、ドライバーの言う通りだな。

 さあてやっちまうかい…… 超 絶 大 転 身 ! 』

[タナトスモード♥]

[Death is merciless, and its will is unchanging.]

(和訳:死は無慈悲であり、その意志は不変なり)


 かくして久しぶりにタナトスモードへの変身を果たしたユウトは、

 遂にライホウを拉致したヴィラン組織の基地へと乗り込んでいく。


『要請! "亡き師の影をたずね、己の道を見出さん"!』

[Summon Weapon]

[召喚要請受理♥ 供給、刈魂刀(かいこんとう)夜女神倅(ヤジョシンソツ)


『さあ、人命救助(大量虐殺)の始まりだァ!』

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