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デスイズザヒーロー!-悪の組織の最強怪人、ヒーローに転身する-  作者: 蠱毒成長中
第三章:雷霆勇者叛逆編

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エピソード1:死神新春小旅行

 前回、もとい前章……読者のみんなとしては知っての通りだが、

 防衛組織『セキガハラ』所属のヒーロー

 "遺恨リーパームジョウ"こと本名ホンゴウ・ユウトは、

 食い逃げ犯一味"トリップル魔法少女隊"の筆頭格

 "究極完全魔法少女フクロムシスター"を撃破する序でに、

 図らずも従来"実在しねえもん"とされてた超ド級のバケモン"ゴージャーフレイム"と遭遇。

 その実在を証明しつつ見事に討伐せしめた。


 幽霊の状態でUSBメモリに封じ込められた

 フクロムシスターこと本名"カイデン・ヒトトキ"は、

 生身で生け捕りにされてた手下二人共々警察に突き出される。

 証拠や証言が潤沢だったのもあり、

 取り調べを経ての裁判では問答無用の有罪、

 判決は終身刑が言い渡された。

 特に悪質と見做されたカイデンは、

 幽霊だったのもあってUSBメモリの状態で厳重に封印され、

 一切自由のないまま永遠の虚無地獄を過ごすことになる。


 一方、間接的に地球を救う結果となったユウト。

 その功績は大々的に報じられ、

 関係各所はユウトを英雄として称え表彰した。

 特に国際ヒーロー連合からの賞与は凄まじいの一言で、

 ユウト個人は当然在籍するセキガハラもその恩恵に与る結果になった。

 具体的には莫大な報酬金や追加予算なんかのカネ絡みから、

 昇進やら特権・特別休暇の授与だとかそんな感じのが主だろうか。

 ただ……


「虚無だー……」


 ユウトは本来喜ぶべき"賞与"の一つに、

 かえって頭を抱えることになった。

 具体的に言うと"特別休暇"こと"英雄特別安息日間"ってヤツだ。

 と言ってそれ自体は

 "ヒーローを労働から遠ざけ休ませる"べく徹底されている。

 ただその弊害なのか"心身へ過剰に負荷をかける行為"がやたらと制限されていて、

 戦闘含む業務やボランティア活動どころか、

 筋トレやらの激しいスポーツ、

 長距離や混雑し得る観光地への旅行、

 極端に完成度が低く質の悪い駄作映画の鑑賞、

 所謂"クソゲー"の中でも特に根本的かつ致命的な問題を抱えるゲーム作品のプレイ、

 『ちびまる子ちゃん』の前田がメインで登場する回の視聴、

 最初期版『サザエさん』の視聴なんかも地味に禁止されている。


 ……その一方で『藤岡モンハン』のプレイや

 実写版『デビルマン』の視聴なんかは特に制限されてねーから、

 何を禁止とするかの基準がわりと謎過ぎるのも事実だが……。


 ともあれそんなワケでユウトは自由に動けなくなっていた。

 許された範囲内で動いてみようとも考えたが、

 主要な娯楽施設はどこも大概混雑してやがる。

 ゲームなり映画なりを楽しもうにも、

 元々実質アクションものの主人公みてぇな生活してる関係上、

 そういう作品に触れるとどうしても本能が刺激され、

 "ヴィランをシバかずにいられねー性"に苛まれちまう。

 しかもそれが約一ヶ月も続くってんだから、

 いよいよ先が思いやられるってモンだ。


「……マズいな。このままだと実にマズい。

 昔誰かが『仕事を楽しめるヤツは人生楽』とか言ってたけど、

 仕事を楽しめるヤツには仕事を楽しめるヤツなりに苦労してんだよな〜」


 寝転がったまま、ユウトは頭を抱える。


「……とりあえず外出るかァ」


 悩んでいても仕方がない。

 外出そのものは禁止じゃないなら、

 どこか人混みがなく身体を動かさなくても済む場所に行けばいいだろう。


(具体的にどことは決まってねーけど、

 まあ最悪は河川敷なり海岸、山の上とかで……)


 新年早々街を荒らすバカなヴィランが目の前に現れないよう祈りながら、

 ユウトは年明けの街へと繰り出した。



(……確か安息日間の規則じゃ、

 戦闘と労働に類する行為は全面禁止、

 ただ変身ツールを動かすだけでも場合によっちゃアウトになりかねん)


 人ごみを避け、薄暗い路地裏を進むユウト。

 暫く歩いて辿り着いた廃棄物集積場で見付けたのは、

 恐らく雑に扱われ捨てられたであろうドローンの残骸。


(だが、こと有人機系の大型戦力は、

 移動手段や住居としてのみ扱うに限って容認される。

 ……つまり人ごみを避けて楽に移動するなら、俺が採るべき択は一つ)


 

 右手でドローンの残骸を拾い上げたユウトは、

 そのまま左手を翳し……意味深に唱える。


「"変成トランスミュート"……

 "二羽の鴉は隻眼トゥーレイヴンズ・フォロウの神に付き従う・ザ・ワンアンド・ゴッド"」


 刹那、ユウトの体内から青い電撃めいたエネルギーが迸り、

 腕を通り掌からドローンの残骸へ流れ込んでいく。


構築コンストラクション、オーディンズウィングス」


 唱え終わると同時、

 ドローンの残骸は光球を経てメタリックブルーの航空機に姿を変えた。

 カラス型をしたそれの名は"オーディンズウィングス"……

 大型二輪車"ライドケルベル"と同様異能"霊魂移植スピリットグラフト"で生み出されたそれは、

 上空に姿を現し自動操縦機能で滞空、

 搭載されている光学迷彩機能を起動し青空に擬態する。


「……もう少し低くても良かったか」


 ぼやきつつもユウトはナガシノマグナムのグラップルガンモードを起動。

 青空に擬態したまま滞空する航空機目掛けて放ち、

 そのままわけわからんぐらい無駄のない動作で操縦席に入り込む。


「さぁ、行くか……」


 レーダーと地図アプリを起動したユウトは操縦桿を握り締め、

 そのまま音も無く飛び去っていく。

 果たしてヤツはお目当ての場所に辿り着けるのか……

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