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デスイズザヒーロー!-悪の組織の最強怪人、ヒーローに転身する-  作者: 蠱毒成長中
第二章:師走英雄白書編

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24/53

エピソード5:ヒーロー回想録δ/鑑賞会壱乃巻

※【――――】で囲われた部分が記録映像内の音声ってコトにしといて欲しい。



 場面は引き続きバンジョウジ邸。

 奥の壁にはバカでかいスクリーンが展開され、

 本格的なホームシアターが完成……

 つまるところ"遺恨リーパームジョウについて学ぶ会"の幕開けってワケだ。


ユライ「では手始めに"遺恨リーパームジョウ"デビュー戦の映像をご覧頂きましょう」


 必然その場を仕切る運びとなったユライがリモコンを操作すると、

 最新式のプロジェクターが起動……

 スクリーンにセキガハラによって撮影・編集された記録映像が流れ始める。


【――怪人『日本 終了 日本ッ! 終了! 日本! 終了!

      日本 終了 日本 終了 ファッカスシット!

      オマイモ"日本終了"ト叫ブガイイッ!』――】

【――ユウト「アホか。キシワダやイシナミん時ならともかく、

       ここ数年日本はアタミ内閣のお陰で寧ろ"始まって"らァ」――】


 映像の場面はさる地方都市の街中。

 イントネーションからして中東辺りの中年男が変異しただろう、

 厳ついメカ獣人の怪人と向かい合うユウト。


【――ユウト「終了してンのは今の日本じゃなく、

       てめえのような市井に害を為し一族の名を貶める

       面汚しの特定外来生物(ヒトモドキ)だろうがァ」――】


 凡そガラの悪さと不気味な雰囲気はデビュー当時から変わらず……

 ただ明らかに異なる点もあった。


タイセイ「あれ? ベルトの形、なんか違くないか?」

ユカ「ホントだっ。クラナドライバーってあんなデザインでしたっけ?」

ユメ「いや絶対違うでしょ。

 確かに真ん中の変な丸いのは同じだけど、

 クラナドライバーって言ったらなんか骨みたいな感じで、

 ボタンとかダイヤルがあって……」

カイト「せやせや。

 あげなゴキブリとムカデの合いの子みたいな形しとらんやろ。

 どないなっとんねん」


 そう。まさに四人の指摘通り、

 ユウトの腹に現れた変身ベルト"クラナドライバー"は

 明らかに現状のそれとは違う異質な形をしていたんだ。

 具体的にはまさにカイトの言った通り、

 黒褐色で光沢のある何かの細長い虫みて―な感じで……


ユライ「皆さんが驚くのも無理はありません。

 ただ、これはまだ序の口でして……」


 意味深なユライの言葉を裏付けるように訪れた"次の展開"に、

 マズルフラッシャーの面々は度肝を抜かれることになる。


【――怪人『日本終了! 日本終了! 日本終了ト言エッ!

      日本ハ終了シテンダッ!

      コノ俺ガ不幸ニナル国ナンテッ!』――】

【――ユウト「その減らず口、溶接してやるよ。

       転身ッ」――】


 ユウトの宣言でもって、

 ヤツはヒーローとしての戦闘形態に姿を変えた……だが!


タイセイ「なっ!」

ユカ「えっ!?」

ユメ「ウッソ……!」

カイト「なんやてっ!?」


 肝心のビジュアルってのがまた驚きだったんだ。

 何せそこに一同の知る"遺恨リーパームジョウ"の姿はなく、

 ただ辛うじてヒト型っぽい、

 "二足歩行するよくわからん虫のバケモン"が佇んでいたんだ。


 翅はなく、手足は一応変身者に準じて四本。

 外骨格は琥珀から削り出したような飴色で、

 複眼は対照的に淡い空色……

 腰か尻の辺りからは腹部が尻尾みてぇに垂れ下がってるんで、

 さながら全体的なフォルムはリザードマン風味……


【――ユウト『晴れ舞台だぁ、調子こかせて貰うぜ』――】

【――怪人『笑止! 木端微塵ニシテクレルッ!』――】


 如何なる事情があるのか知らんが……

 ともかくユウトが変じたのが世間一般によく知られてる

 "遺恨リーパームジョウ"とは全く別モンだったのは言う迄もねえ。


タイセイ「ゆ、ユライさん!?

 これは一体これは一体どーゆーことなんだぜっ!?」

ユメ「まさか"遺恨リーパームジョウ"なの? あれが?

 それともホンゴウってば、

 元々別のヒーローとして活動する予定だったとかそういうこと?」

ユライ「驚くのも無理はありませんが、

 あの姿もまたムジョウシステムに拠る戦闘形態……

 即ち"遺恨リーパームジョウ"の一形態には違いないのです」


【――怪人『俺ハアアアッ! 俺ハッ! 間違ッテナアアアイ!

      肉食ハ悪ダッ! 屠畜ハ殺人ト同義ナノダアアッ!』――】

【――ユウト『お前がそう言うんならそうなんだろうよ。

       お前ん中だけに限ってはなァ~っ』――】

【――怪人『グウウアアアアアッ!? 馬鹿ナアアッ!? 俺ノ装甲ガアアッ!?』――】

【――ユウト『随分とモロい装甲だなぁ。

       しっかり栄養のあるもん食ってんのか?

       豚とか牛とかさァ~』――】

【――怪人『フザケルナッ! コノ動物虐待肯定派、人間至上主義者風情ガッ!

      舐メ腐ッタ真似ヲッ! 肉ナンゾ食ッテル野蛮人風情ガアッ!』――】


カイト「なんや初耳やなぁ。そんなんあるんかい……」

ユカ「だとしてもよく見る四つとは明らかに毛色が違いますよね。

 っていうか、あの姿になってるホンゴウさん見たことないんですけどっ。

 ドライバーだって明らかにデザイン違いますしっ」

ユライ「それはそうでしょうね。

 かの形態"ラーヴァモード"はごく最初期の僅かな間のみ

 限定的に用いられた幻の形態……

 実態としてはホンゴウくん自身に生来備わっていた

 "怪人としての力"の運用を想定し設計されたと聞き及んでおります」

タイセイ「怪人としての力、って……まさかっ!」

カイト「ヘカトンケイルG-044っちゅうヤツかっ!」

ユカ「またの名を……えーっと確か、ブリムストーン?」

ユメ「埋葬者(ブリアラー)でしょ……。

 けどそうなると、まさかホンゴウがなるはずだったのって」

ユライ「ええ、恐らく昆虫かそれに近い節足動物ベースの怪人でしょう」


【――怪人『グウウエエゲアガアアアアア!

      野蛮人メ! 異教徒メ! 環境破壊者メ!

      (マコト)ノ神ヲ信仰セズ、

      動物ヲ傷付ケ大自然ノ恵ミヲ食イ潰ス極悪人ドモメエッ!

      貴様ラノヨーナ悪魔ドモナド、コノ世ニ存在スルコトガ罪ナノダアッ!』――】

【――ユウト『自己紹介どーも。

       昔スレッズでウザ絡みしてきた"自称・超過激派アンチヴィーガン"だかいうバカの、

       長文お気持ち表明クソリプを中二臭く要約したような内容だなぁ。

       ……純粋に疑問なんだがよぉ、

       てめえら肉食アンチってのはなんでそう攻撃的なんだ?

       "肉食うから攻撃的になる"んだったら

       てめぇらは寧ろ温厚なハズだよなぁ?』――】

【――怪人『ヌウウウアアアアア!

      黙レ黙レ黙レ黙レ黙レ黙レ黙レ黙レェェェ!

      正シキ信仰ヲ持タヌ悪魔メエエエッ!

      悪魔ナラバ悪魔ラシクッ、地獄ニ叩キ落トサレテイロォォォッ!』――】


ユライ「埋葬者のコードネームから察するに、恐らく陸生の肉食昆虫の……」

カイト「なるほどなぁ、昆虫の幼虫やからラーヴァモードちゅうワケかいな」

ユメ「てことは、多段変身系にありがちな"不完全形態"みたいな扱いなんですかね」

ユライ「まあそんな所でしょうね。

 技術部から聞いた話によれば想定外の未熟な形態であり、

 全スペックが本来予定されていた基本形態の五十五パーセント程度……

 特に安定性の低下については致命的なレベルだったそうです」


【――ユウト『「食い物に好き嫌い言う奴ぁ、

        将来他でも好き嫌いすっから不幸になる」とは、

       世界一有名で偉大な不動産屋の言葉だが、

       てめぇはまさにその典型ってトコかぁ』――】

【――怪人『黙レ……黙レェッ……!

      黙レ黙レ黙レ黙レ黙レ黙レ黙レ黙レ黙レ黙レ黙レ黙レェェェ!』――】

【――ユウト『喋る喋る喋る喋る喋る喋る喋る喋る喋る喋る喋る喋る喋るッ!』――】

【――怪人『グオッ!? グギッ!? ゲギャッ!? ゴッ!?』――】

【――ユウト『喋ぇぇぇぇぇぇぇええええるっ!』――】

【――怪人『グゴギゲガアアアアアアアッ!?』――】


ユメ「……その割には結構強くない?」

タイセイ「た、多分あの怪人、結構弱い奴なんだぜっ!

 ほら、なんか好き嫌い多いらしいし! なぁ大将!?」

カイト「おっ、せやな~。

 ワシのおった駐屯地でも、

 好き嫌いしとったり飯残すようなアホは真っ先に死んどったわ。

 栄養の偏りで身体弱いっちゅう以上に、

 心のたるみっちゅーか無意識な甘えがあんねん。

 そない奴ァもう早死にするか辞めるかの二択やで~」

ユカ「あ~、やっぱり訓練とか任務で事故死とかしちゃうとかですか?」

カイト「それもあるけぇど、

 ウチの場合やと飯残す隊員が次々変死しとった時期があってん」

ユカ「そ、それってまさか……」

カイト「お察しの通りや。

 ストレスと逆恨み拗らせた若い調理師がヴィラン化してな、

 飯残した隊員追い回しちゃエグい方法で殺しとってん。

 まあそんだけ被害出ても結局駐屯地側ァ何もせぇへんかって、

 そんで嫌気さしたワシは陸自辞めてんけど」


【――怪人『フザ、ケルナアアアッ!

      俺タチコソッ!

      コノ俺コソッ!

      真実ノ信仰ヲ極メ、環境ト人道ニ配慮ノデキル、

      社会ノ管理者ニナルベキ優レタ人ゲ』――】

【――ユウト『ンなワケねェだろ~ッ』――】

【――怪人『ルアッヴァアアアアアア!?』――】


カイト「……話脱線してもうたなぁ。

 ほんでユラっさん、あの怪人の強さてどないモンや?

 正味不完全形態がデビュー戦でボコれるくらいやし、

 そんな強くないんやろ?」

ユライ「まあそうですね。

 予め詳細な解析データを見させて頂いたのですが、

 確かにそこまで取り分け強豪かというとそうでもないようでして」


【――ユウト『……オッラア! どしたテメゴラァ!?

       そんなもんで終わりかてめェ!?

       肉食う奴は不健康だから弱いんだろうがァ!』――】

【――怪人『』――】

【――ユウト『オイどうしたって聞いてんだよオイイイアア!?

       散々マウント取ってたあの勢いはどうしたテメエエアアア!?』――】

【――研究員『遺恨リーパームジョウ、戦闘終了につき撤退されたし。

       ヴィランの死亡を確認した。事後処理は我々に一任し本部へ帰投せよ。

       君のバイタルは危険域に到達している。

       直ちに本部にて医療班の処置を受けるべきだっ』――】

【――ユウト『ふうううざけんじゃねええええええっ!

       てめえのせいでっ! てめえらのせいでっ!

       何億人苦しんだと思ってやがらァァアアアア!』――】

【――研究員『聞けよ! 戻らないと死ぬつってんだろ!!

       とっとと本部に戻れってば!!!

       おい!!!! ホンゴウ!!!!! コラ!!!!!!』――】


ユライ「我々が交戦した中で近い強さのヴィランと言えば……

 格闘鉄人アイアンレスラー、ですかねぇ。

 倭国鋼鉄体育連盟の……

 奇しくも同じく初陣で交戦した相手です」

ユライ以外の四人「「「「」」」」


 ユライの口から出た名前に、戦士たちは絶句する。

 格闘鉄人アイアンレスラーってのは、

 名前の通り鋼鉄製の巨体が持ち味のレスラー型ロボ怪人だ。

 思想強すぎて同胞からさえ腫物扱いされてた

 右翼系ヴィラン組織"倭国鋼鉄体育連盟"所属のこいつこそは、

 確かに二代目マズルフラッシャーが初陣で戦ったヴィランではあったんだが……


カイト(冗談きついで……アイアンレスラーゆーたら、

 ただの脳筋と見せかけてメッチャ強かったヤツやんけ……)

ユカ(とにかく腕力強くて頑丈だし、倒しても二回まで復活するし……)

ユメ(マスク付け替えて戦法変えて来るのはまだしも、

 変な技でこっちにまでプロレスのルール押し付けて来た時は詰んだかと思ったわ……)

タイセイ(結局、なんだかんだで倒すまで三時間もかかっちゃったんだぜ……。

 あいつと同格の相手をあそこまで圧倒できるって、ユウトさん何者なんだぜ……?)


 ……とまあこんな具合に、

 あのメカ獣人も実は結構強かったらしいってオチがついたのさ。

Q.ラーヴァモードが想定外の不完全形態ってどういうこと?

A.ラーヴァモードが想定外の不完全形態ってのは要するに、

 ラーヴァモードがムジョウシステムの設計にない不完全な形態だったってコトだよ。

Q.仮面ライダーでいうとどういう扱い? エントリーモードとか?

A.惜しい。

 確かにユウトとライホウを『ギーツ』二次創作の

 所謂デザイアドライバー使用型仮面ライダーとしてアレンジする案はあるけど、

 どっちかと言うとそれこそクウガのグローイングフォームみたいなもん。

 あっちもクワガタの幼虫、もしくは羽化後間もないクワガタがモチーフって説があるからね。

Q.……それにしては妙に強かったよね?

A.そうかな(ズアッ

Q.そうだろ!

 "全スペックが本来想定されてた基本フォームの55パーセント"程度の割には、

 下手したらガルムモードとかよりも強かったじゃん!?

 まさか怪人としてのユウトってライホウが逆立ちしても勝てない

 バチバチのチートキャラになる予定だったとか!?

 ……ぶっちゃけあれで本来の基本フォームの半分ちょいと考えれば、

 本来の基本フォームなら『オーバーロード』で言ったらアルベドやセバス辺りは当然無理でも

 ソリュシャンとかエントマ辺りと真正面から殴り合えば圧倒できたりだとか、

 順当に成長してって最強フォームになったら

 デミウルゴスやコキュートス辺りといい勝負できたりするんじゃね?

 てか本編の状態でもフル装備のガゼフ戦士長に追いつくぐらいの強さはあるくね?

A.なんというか、全体的にそういうわけじゃない。

 色々勘違いしてるっぽいから訂正するけど、

 まず"45パーセント低下してたステータス"には"安定性"も含まれる。

 よって本編では出力が不安定になってる状態だった。

 攻撃力が上昇したのもバグで瞬間的に攻撃力が上がってただけで、

 本当に一時的なものに過ぎない。

 例えるならモンハンの根性+火事場っていうか、狂化のもっと酷い版。

 アホほど攻撃力(とスピード)が上がってるけど、

 数秒~十秒ごとにHPが8~20パーセントの間でランダムに削られ続けてる感じ。

 序でに防御力も死ぬほど落ちしてるからどんな些細な攻撃も致命傷になりかねないし、

 なんなら身体動かすだけでも負荷がかかる("殴った奴が逆に腕骨折する"感じ)。

 本編で強豪怪人に勝てたのは、

 ブチ上がった攻撃力とスピードにもの言わせて

 気合と根性とノリと勢いでゴリ押ししただけ。

 もっと言うとあの怪人が高いスペックに胡坐かいただけの、

 碌な戦闘経験も積んでないバカだったってのもデカい。

 『オーバーロード』はもう十年くらい追えてないけど、

 あの世界の戦闘者はスペックがアホほどインフレしてるイメージだからなあ……

 情報古いだろうけど、本来の基本フォームになったユウトが楽に勝てるのは

 精々クレマンティーヌかナザリック入り前のハムスケさんぐらいじゃない?

 同じタイプの作品で例えるなら『Lv2チート』とか『ベヒ猫』の方が割に合ってる気がする。

 勿論本来想定されてた基本フォーム如きじゃ、

 フリオさんやフェンリースさん、

 (ベヒーモスとして成長しきった状態の)タマさんには当然勝てないだろうけどね。

 てかタマさんはともかくフリオ家一味はユウトと出会っても交戦しなさそうなんだよなぁ。

 何ならタマさんも敢えて交戦はしなさそう。

 てかユウト自身彼らに考えも無く攻撃するようなタイプでもないし。


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― 新着の感想 ―
 あ……、確かに蠍は第三のフォームでしたね……。  だとするとこのフォームは……。  ヤスデ? ゲジ?  なんか多分また外していそうです。(苦笑)
 Q&Aの解説がさっぱりです……。(泣)  リミッター解除した不制御故の強さってことでしょうか? つまるところかなり不安定でヤバい強さってこと?  実はこのラーヴァモード、リザードマン風味ということ…
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