エピソード3:ヒーロー回想録β
ユカ「……あの、こういうこと言っちゃダメかもしれませんけど、
ほんと、バンバ隊長とホンゴウさんって
戦闘現場で一緒にしたらダメな組み合わせだなあ、って……」
カイト「別に言うたらアカンことないで。
実際カシラとホンゴウを同じ鉄火場で戦わせたらロクなことならんもん」
場面は一旦戻って(?)バンジョウジ邸のパーティ会場。
冬コミ会場が戦場と化した一件を思い返しながら、
マズルフラッシャーの面々は同僚二人のクセの強さに辟易する。
ユライ「……然し、その状況からよく丸く収められましたねタカオカさん」
ユメ「それは確かにそうよね~。
私一人だったらもう諦めて一人でヴィラン倒してるもの」
タイセイ「ユメさん、それはちょっと判断が極端すぎるんだぜ……。
でも実際ユカさんは凄いよな。流石接客業っていうか」
ユカ「いやいや〜、私もそれほど何かしたわけじゃありませんから」
とまあ、謙遜するユカだったが……
~再び映像記録に基づく回想~
さて、場面を再びヴィラン襲撃で戦場と化したコミケ会場に戻すとしよう!
ライホウとユウトの喧嘩が勃発したとなりゃ、
必然残されたユカが割を食う形になってるかと思いきや……
ライホウ『そもそもだなユウト!
君は活躍に反して世間からあまり 評判が良くないんだぞッ!?
YouTuberのサイドー氏が毎年開催している
「嫌いなヒーロー大賞」ではッ!
毎年"遺恨リーパームジョウ"の名が常にTOP50以内に入り込んで来ると聞くッ!
しかもあまりに高頻度なのでネットニュースで記事になる始末ッ!
民衆を守るべきヒーローとして由々しき事態だと思わんのかッ!』
ヴィー"癌"怪獣『グウウウッ!?
グゴオオオオッ!?
グワッバアアアアッ!?』
ライホウはユウトを怒鳴り付けながら、
その実怪獣へ的確に砲撃を命中させ……
ユウト『何言ってんですかバンバ先輩~
公人・著名人って大体そういうもんでしょ~
名が知れてりゃ肯定派と否定派の双方が出て来るのは必然~
万人に好かれ何者にも嫌悪されねーなんて不可能なんですから~
そもそもサイドーPのアレって~
ヒーローでも何でもない彼自身が、
何故か一位になるほど嫌われてるってオチ含めてのネタ企画じゃないですか~』
ツイフェミ怪人『ギャオオオオッ!?
アッヅウウウウウッ!? クッソオスゥゥゥゥッ!
なぁぁぁんで私が燃えてるのぉぉぉぉっ!?』
対するユウトもライホウを煽り返してはいたが、
一方で距離選ばず使える発火能力で怪人を足止めし……
ユカ『あの~お二人とも~?
喧嘩するかヴィラン攻撃するかどっちかにしませんか~?
っていうか、ヴィラン攻撃するのに集中して欲しいんですけど~!?
特に隊長! 仮にも相手怪獣だってわかってます!?
雑な対処のせいで被害拡大して修復間に合わなくなるんですけど!?』
そんな二人の仲裁に入るユカは、
同時進行で特殊弾をバラ撒き破壊されたブースやなんかを修復してたが、
当人の言う通りライホウの対処が雑なもんで怪獣は余計暴れ回り、
折角修復した箇所がぶっ壊れ二度手間三度手間になっていた。
そして……!
ヴィー癌怪獣『ヌウウウグオオオオッ!
肉食文化ニ毒サレシ悪魔ドモオオオオ!
滅ビ去レエエエエエッ!』
ライホウ『くっ、奴め不死身か!?
かくなる上は、こちらも本気で対応せねばならんようだな!』
ユカ『ちょっと隊長!? 今まで本気で対応してなかったんですか!?』
ライホウ『そんなわけがあるか!
ただカイザージュピターに乗り込んだらユウトを叱れないだろう!
それに万一周辺の町々に被害が及んでもいけない!
だから今まで呼び出すのを躊躇っていたんだ!』
ユカ『いや絶対さっさと仕留める方が効率的でしたよね!?
っていうか、ホンゴウさん叱るのが本命ですか!?』
ツイフェミ怪人『ギャッオオオオオオン! クソオスウウウウウ!
絶対に許さアアアアアアアン! 殺してやるウウウウウウッ!』
ユウト『めんッどくせーなァ~、ちっとも焼け死なねえじゃねーか。
ワンチャンどっかのソフトウェアトーク系YouTuberに
「【悲報】ツイフェミ、怪人化しコミケを襲うも
三流ヒーローの弱攻撃だけで倒されてしまう」
ってショート動画上げさせたかったのによ〜』
ユカ『いや動機! 動機がなんかもうっ……
不純とか通り越して意味不明なんですけどっ!?
そもそも今の世の中ホンゴウさんを三流呼ばわりする人なんて少数派ですし、
その遠隔発火攻撃? も弱いどころか、
ヒーローの通常攻撃の中だと反則的に強い方じゃないですか!
YouTubeショートでも散々流れてきますよ!
「ガルムモードの発火能力が強すぎる」って動画が! 何本も!』
ユウト『そんなに流れて来るかなぁ~?
俺ん時は大体「レールガンマイスターが強すぎる」とか、
「マズルフラッシャーが好き過ぎるみんなの反応集」とか、
そんな動画ばっか流れて来るけどな~』
お互い極めてしょーもない事情からの行動とは言え、
このまま放置しとくわけにもいかねぇと、
二人のヒーローはヴィランどもを始末しにかかる。
ライホウ『来い、カイザージュピター!』
システム音声[カイザ〜ジュピタ〜!]
ライホウの呼び掛けに応じるように現れたのは、
SFチックにスタイリッシュな銀色の空飛ぶ巨大軍艦……
レールガンマイスター専用の大型戦力"カイザージュピター"に他ならねえ!
ライホウ『はっっ!』
そのままカイザージュピターに乗り込んだユウトは、
操縦席で声高に宣言する!
ライホウ『行くぞっ、電撃変形!』
システム音声[デ~ンゲキッ・ヘンケ〜イ!]
操縦者の宣言を合図に、巨大な機体は空中でダイナミックに展開し変形!
システム音声[ラァァ〜イジングッ・ドレェェ〜イク!]
ライホウ『完成! ライジングドレイク!』
やはりSFチックかつスタイリッシュなデザインのメカ・ドラゴンに姿を変える!
これぞ"電撃神龍ライジングドレイク"……
先代の"マリー・ボールドウィン"からカイザージュピターを受け継いだライホウが、
莫大な予算を投じて完成させた同機の新たな戦闘形態の一つだ!
ヴィー癌怪獣『グゴオオオオオオッ!
肉食文化ノ狂信者ドモオオオオッ!
如何ニモ環境ニ悪ソウナ機械ナゾ駆リ出シオッテエエエ!
絶対ニ許サンゾオオオオッ!』
ライホウ『ふん、生憎と本機は極限まで自然への負荷を軽減した
クリーンかつエコロジーな代物でなっ!
その事実を理解する気もなく、
ただ衝動のまま暴力的に振る舞うだけの貴様風情が、
事もあろうに環境保護や動物愛護を語るなど片腹痛い!』
システム音声[ボルテ〜ジッ・フルマァァ〜ックス!]
ライホウ『自然と命を重んじるならば、
まずは貴様自身大地に還るがいい……
喰らえ必殺"ライトニング・パニッシャー"!』
システム音声[ラァァ〜イトニングッ・パニッシャ〜!]
電撃神龍ライジングドレイクの必殺技"ライトニング・パニッシャー"……
それはつまり、メカ龍の口から放たれる極太の電撃ビームブレスに他ならねえ!
その威力はとにかく強大そのもの、
頑丈さに自信のあった巨大怪獣とて一溜まりもなく……
ヴィー癌怪獣『グウウウワアアアアッ!?
肉ナンテッ、肉ナンテ大嫌イダアアアアアッ!』
なんとも情けない断末魔の叫びを上げながら、
緑色の巨体は木っ端みじんに爆発四散! 跡形もなく絶命した!
さて、一方その頃地上では……
ツイフェミ怪人『ギャオオオオオオン!
キモオタアアアアアア!
クソオスウウウウウウ!
殺すっ! 殺す殺す殺す殺す殺すうっ!
お前らキモオタ・クソオスはっ!
社会を害する性加害の温床、諸悪の根源!
だから纏めて殺シテヤルううううう!』
ユウト『ヒスってんなァ。
さぞ哀れな人生を送って来たんだろう?
察するまでもねぇや……今楽にしてやろう。
要請-"番犬の爪牙よ、我が手元に"』
システム音声[要請受理♥ 供給、ガルムガントレット♥]
ユウトがクラナドライバーのダイヤルを回すと、
ドライバー中央に埋め込まれたオカルト系のエロ同人でヒロイン()張ってる
性根腐った変態女悪霊みてーなシステム音声を伴って、
手元にガルムモードの専用武器"ガルムガントレット"が形成される。
これはシステム音声共々実装された機能"武装構築"によるもんで、
状況を選ばずサッと武器を出せるんでユウト自身重宝していた。
ツイフェミ怪人『ギャオッオォォォン!
オスシネコロスッ! オスシネコロスッ! オスシネコロスゥゥッ!』
ユウト『向かって来るか、丁度いい……』
システム音声[葬儀開催♥ 火葬-シングルプラン♥]
ユウトがガルムガントレットのボタンを押すと、
バックル中央部のパーツ――ガルムモードに合わせて赤く光ってた――に収まる球体内の、
あの"生命体とも臓器ともつかねぇよくわからん何か"が、
あたかも"この上ない悦楽の余り狂い悶える"かのように蠢く。
そしてガルムガントレットに備わる三本の刃は、赤々と熱を帯び……
ユウト『……接近する手間ァ、省けっからなァ~』
ユウトは力強く大地を踏みしめ意味有り気に身構える。
ガントレットを装備した右手を振り被り、
何も装備してない左手は握り締めた状態で引き絞り……
明らかに"何かするつもり"なのは間違いねえ。
ツイフェミ怪人『ギャオオオオオンッ!
日本人男は気遣いできないどころじゃなアアアアアイ!
日本人男ふざけるなクソクソクソクソオオオオッ!』
普通ならそこで何かしら察するんだろうが……
対する怪人は見た目がダチョウなら頭もダチョウ並みなのか、
何も考えずただ怒りに任せて暴言を吐きながら突進するばかり。
そして……
ツイフェミ怪人『女性の活躍する社会の為に、死にやが――
ユウト『ゥおッラぁっ!』
ユウトは前屈みに突進する怪人の顎を左拳のアッパーで"薙ぎ払う"!
ツイフェミ怪人『レッヴェエエエエエエッ!?』
殴られた怪人は間抜けな声を上げながら盛大に吹き飛んでいく。
……顔面は既に打撃で崩壊。
何なら死んでてもおかしくねえ重傷だったが、
当然"遺恨リーパームジョウの必殺技"がこれで終わるワケもねぇ。
ユウト『いけねっ、力加減間違え~~たッッ!』
強烈に踏み込んだユウトは、
吹き飛ぶ怪人を追って加速……
ユウト『贅肉だらけの癖して
そこそこの距離吹っ飛んでんじゃァ、ねえッッ!』
ツイフェミ怪人『ぎいっ!?』
瞬時に距離を詰めるや否や、
怪人の頭皮を掴んで軽く放り投げる!
そして……!
ユウト『サアアアッ!』
ツイフェミ怪人『グギいいアっ!?』
ユウト『ザンガアアッ!』
ツイフェミ怪人『あぎゃぎいいっ!?』
ユウト『クウウウウアラアアアッ!』
ツイフェミ怪人『グゲエエエエッ!?』
無抵抗の怪人を刃三本で激しく三回、力任せかつ乱雑に切り裂く!
腕を三回振って切り傷は九つ!
ツイフェミ怪人『イダアアアッ!
イダイッ! イダイイイイッ!』
しかも刃が熱を帯びてっから出血はなく、
それがかえって苦痛を増幅させる……!
最早それだけでも大概地獄の苦しみだが、
ユウトがここで終わらせるタイプじゃねえのはみんな知っての通りで……
ツイフェミ怪人『イダアアアアア――』
ユウト『ダアッ!』
ツイフェミ怪人『グガッ!?』
空中で激痛に苦しみ悶える怪人!
ユウトは間髪入れずその頚を掴み、宙吊りで拘束!
ユウト『食肉にする価値もねえッ!』
ツイフェミ怪人『クグエッゲエエエエエッ!?』
続け様に怪人の鳩尾辺りを、
三本の刃で容赦なく刺し貫く!
ともすりゃ最早致命傷なのは間違いなく、
これがトドメかと思いきや……
ユウト『焼却処分だ……』
システム音声[フューネラル・ストライク♥]
刹那!
ユウトの全身に赤い炎状のエネルギーが迸り、
それはヤツの右腕を伝ってガントレット、
更に爪みてえに並んだ三本の刃から怪人の体内へ流れ込み……
ユウト『灰んなっとけぇぇぇぇ!』
ツイフェミ怪人『ブゴオオオワアアアアアアア!?』
怪人の身体を内側から焼き尽くし、
幾らかの骨を残して灰にしちまったんだ。
そして……
ユウト『けっ、一丁前に骨なんぞ残しやがって……
億害あって百分の一利もねえ癖にどこまでも生意気な』
ユウトは残った怪人の遺骨も、粉々に踏み砕いた上で焼却……
かくしてヤツなりの大義とやらを掲げヴィランにまで身を落とした女は、
この世で何より嫌っていた"男"の手でこの世から完全に消滅した。




