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プロローグ2:劇的な転身

 場面は平日のオフィス街!


『ウクケケケケケ!

 どいつもこいつも気に食わんッケ~!

 全員木っ端みじんにしてやるッケ~!』


 平和な街に突如現れるヴィラン組織のミリタリー風ロボ怪人!

 小物臭いノリだが案外実力派のそいつは、

 両肩からミサイルを連射しちゃ路面やビルを破壊していく。


「うわああああああ!」

「助けてくれえええええ!」

「今日は厄日だわぁぁぁぁぁ!」


 ともすりゃ当然町は大混乱……

 道行くリーマンからティッシュ配りのバイト、

 タクシー運転手やコンビニ店員まで、

 誰も彼もが逃げ惑う。


「……」


 だがそんな中、平然と怪人の方へ進み続ける男が一人。

 年齢は見た感じ三十路か四十路ぐらいか。

 くたびれたコートを羽織った地味な身なりに無精髭、

 いいとも悪いともつかない微妙な顔立ちと体格……

 まさに絵に描いたような"冴えないオッサン"だった。


「……」


 程なくオフィス街から人影は消え、

 怪人とオッサンの二人だけが残され向かい合う構図に。

 ともすりゃ必然、怪人だってオッサンに注目せざるを得ず……


『ああぁ~ん!? なぁぁんだオマエぇ~!?

 態々この俺様に吹き飛ばされに来たッケか~!?

 命知らずな人間が居たもんだッケェ~!』


 飛び出すのはまあ、典型的な小悪党全開の台詞で……

 自慢のミサイルを見せつけ恐怖心を煽りにかかるもオッサンは無反応。

 どころか……


「……時代は変わったな。

 この程度のクズでも改造手術さえ受ければ怪人になれるのか、今は」


 逆に怪人を煽り返す始末。

 当然、無駄にプライドが高く特に人間を見下してる怪人としちゃ、キレねえ理由はねえ。


『なぁぁぁんだッケェ~!?

 たかが人間風情が、この俺様を見下すんかッケェ~!?

 そもそも俺様が、改造怪人だと~!?

 オマエの目は節穴かッケェ~!?』

「……そう言えばそうか。

 近頃は肉体改造無しに、アイテムで変身する怪人も増えてるんだったな。

 あとは製造されたとか、憑依や寄生で怪人化したとか……

 そもそも怪人だけがヴィランでもないしな……。

 要するにお前もそういうタチだったんだな。失礼した」

『違ァァァウ! 俺様をそんなぬるい連中と一緒にするなッケェ!

 いいかよく聞け人間!

 俺様はヴィラン組織「デッドエンド社会主義人民共和国連邦」を率いる――』

[SHOT!!]

『グゲェェエエーッ!?』


 盛大に自己紹介を始めようとしたその瞬間、

 怪人の鳩尾に大口径の光弾が炸裂。間抜けにも盛大に吹っ飛ばされる。

 さて、光弾を撃ったのは……


「いかん、演習モードがオンになっていたか。

 ……やはりどうにも慣れんなこの装備は」


 みんなの予想通り、オッサンだった。

 その手に握られてたのはSFチックにゴテゴテしたメカ拳銃……

 一見オモチャっぽいビジュアルながら破壊力がホンモノなのは見ての通りだ。


『ゲ、ガッ……オッ、マエェェェエエェェ~ッ!?

 他人様が喋ってる最中に撃つとか

 どういう教育受けて来たんだッケェ!?

 てかそもそもまともな教育受けて来たんかッケェ!?』

「うーん、私も年を取ってしまったかな……」


 怒りの余り捲し立てる怪人に、けれどオッサンは無反応!

 それが怪人の怒りに火をつけ、油をも注ぎ……奴は暴走の一途を辿る!


『無視するなッケェ! なんたる程度の低さだッケェ!

 オマエさては「となりのトトロ」の草壁姉妹が

 実はもう死んどるっつー公式裏設て――グゲエエエッ!?』


 わけのわからねーことを言い出した途端、

 再び光弾が怪人を吹っ飛ばす……

 見透かしたようなタイミングに加えて威力も高え。


「……阿呆アホウが。サツキとメイは普通に生きとるわ。

 仮に奴らが死んどったらあのエンディングは成立せんだろ」

『……ぐ、うおお……ッゲェェェ……!』


 怪人を吹っ飛ばす序でに論破までしてみせたオッサンは、

 聊か前時代的に芝居がかったド派手な仕草でコートを脱ぎ捨てる!


「くだらん問答に費やす時間も惜しいんでな。

 "巻き"で行かせて貰うぞ……」


 露わになったその腰に巻かれてんのは、

 シンプルに無駄なく纏まりつつガッツリ重厚で確かな迫力もある洒落たベルト!

 特にバックル部分は分厚く凝った作りになってて、

 中央にでかでかとあしらわれた黄金ドクロのレリーフは

 敵にガン飛ばして呪い殺しそうな勢いだった!


 ……そんなもんを装備してる時点で、

 このオッサンがただの人間じゃねーのは言う迄もねえだろう……!

 実際怪人もそこで漸く気付いたんだ、このオッサンの正体に……!


『ぐ……な、なあっ!? オっ、オマエぇっっ!?

 その装備……まさか……!』

「……ハンタァァァァ……」


 中国拳法っぽい所作をしながらオッサンが呼び掛ければ、

 黄金ドクロの口がぐわ、と開いて闇色の燃え盛るオーラを吐き出す。

 オーラは瞬く間にオッサンの全身を包み込み……


「……転、身ッッ!」


 "溜め"つつの雄々しい宣言を合図にオーラの層は弾け飛び、

 オッサンの"変身"が完了する!


『……』


 大まかなデザインとしちゃ平成・令和風味にアレンジされた昭和ライダーって感じ?

 ツヤの消えた漆黒の外骨格みてーな装甲には金色の人骨っぽい装飾が施され、

 頭はそのまんま、ヒロイックにメカっぽく(?)アレンジされた黄金のドクロで……


 言っちまえば"仮面ライダー化した黄金バット"つーか、

 "黄金バットとのコラボアイテムでフォームチェンジした令和ライダー"っつーのか、

 まさにそんなようなビジュアルだった。


『なっっ、あっ、あああぁっ……!

 オマエっ! やっぱりッッ!』


 かくして"変身"を終えたオッサンは、

 間抜けにも腰が抜けて動けなくなってる怪人に向けて堂々と名乗り上げる!


『……天の星、地の花、人の愛……!

 世の尊きを守るべく我、馳せ参じん……!

 聞くがよい、標的よ……我こそは義に殉ず贖罪者!

 その名もまさしく「禍根ハンター」也!』


 ……最早勿体付けんのもアレだし説明しちまおう。

 此方の黄金バットみてーなヒーロー『禍根ハンター』

 その正体ってのは……もうみんなお察しだろうが、

 他ならぬ元『秘密結社ディスペアー』最強怪人こと『超死霊騎士ハイパーデスナイト』が

 改心と強化改造を経てヒーローに転身した姿に他ならねぇんだ!


 ……あんだけ断る気満々だったってのに、あの後一体何があったんだろうなぁ……?


『ッケェェェェイ! やはり! やはりヒーロー!

 それも秘密結社ディスペアーを裏切り人間側についた恩知らずの禍根ハンターだったかよッケェ!』

『如何にもその通り……だが訂正しておくぞ。

 私は別段ディスペアーを裏切ってなどおらん。

 あの組織の壊滅に伴い、ヒーローに鞍替えしただけのことだ……』

『ケェェェイッ! 黙れッケェ~!

 結局怪人からヒーローになった時点で同じことだッケェ~!

 贖罪者などと無駄にカッコつけおってッケェ~!

 ならば「デッドエンド社会主義人民共和国連邦」略して「デ連」のスーパーエリートこと

 この俺様「核ミサイル怪人テーポリドーン」様を侮辱した罪、

 その命で存分に償わせてやるッケェ~!』

『……御託はいらん、さっさと来い。

 巻きで進めると言っただろ』


 かくして幕開ける激闘!

 果たしてオフィス街の運命や如何に!?

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― 新着の感想 ―
 あら? 続くんだ?  ヒーローものの雑魚怪人の出番は一回で終わりなのがお約束なのに。なんとも果報な怪人です。(笑)
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