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第5話 別に嫌じゃない

 一緒に勉強することになった和也と皐月は、お互い数学のワークを取り出し取り組み始めた。和也は早速一問目を解こうとするが、、、全然わからない。和也は数学は大の苦手なのだ。ただでさえ勉強ができないのに頭を使う数学なんて尚更できるわけなかった。そうして一問も解けずに頭を抱えていると隣に座っている皐月に目が移った。

(すげえ、スラスラ解いてる)

まるでこの世の全てがわかっているかのようにワークにどんどん答えを埋めていく。そんな姿に和也は驚愕した。

(まさか勉強もできるなんて)

ゲームでも勝てないのに勉強でも勝てないなんてなんだか自分が惨めな気がしてきて、ちょっと悲しくなった。

「皐月さんもう1ページ終わったの?早すぎない?」

そうして1問目に悩んでいるうちに、皐月はとっくに1ページ目が終わっていた。

「もしかして、数学得意なの?」

「別に得意ってわけでは...問題が書いてあるので解いてるだけで...」

「なんだそりゃ、ただの天才じゃねえか」

言ってることがただの天才にしか聞こえなかった。まさか、ゲームだけでなく勉強までもこんなにできてしまうとは思っていなかった。

「数学は解き方を頭に入れれば解けるので...そんなに難しいとは思わないですね...」

「その解き方を覚えるのが大変なんだと思うが」

なんだかとんでもないことを言っている皐月に、和也は苦笑いをした。

「一問目わからないんだけど、どうやって解いたの?」

わからないままでいるのもあれなので、試しに皐月に解き方を聞いてみることにした。

「まず...ここをこうして...」

皐月が説明をしてくれている中、和也はワークではなく別の方を向いていた。

(やっぱり前髪でよく見えないけど、めちゃめちゃきれいな顔立ちしてるよな、、、)

和也は皐月の顔をじっと見て、そう思った。

「そしてここをこうして...って、聞いてます...?」

「ああ!ごめんごめん考え事してて!」

危うく皐月の顔をガン見しているのがバレそうになって、とても焦る和也だった。

 そして1時間が経過した頃。

「1ページ終わったー!皐月さんありがと!説明めっちゃわかりやすくてすぐ頭に入ってきたわ!」

「お力になれてよかったです...」

「折角だし何かお礼したいな!うーんなんかいいものないかなー」

「そんなわざわざ大丈夫ですよ...?ちょっと教えただけですし...そんなわざわざお礼されることじゃ...」

「いやいや、こんな丁寧にわかりやすく教えてくれたのになんもお礼しないのはあれだからさ!そうだ!購買に売ってるパンでも奢らせてよ!」

この学校では購買にパンが売っており、しょっぱいものからデザート系の甘いものまで種類が豊富である。

「いや...そんな...大丈夫ですよ...?」

「勉強して小腹すいたでしょ?俺もちょっとお腹すいたし一緒になんか食べようよ!」

「じゃ...じゃあお言葉に甘えて...」

そうして二人は購買へと向かった。

「何食べたい?なんでもいいよ!」

「じゃあ...焼きそばパンでお願いします...」

「焼きそばパン?甘いものじゃなくて大丈夫?」

「甘いものはあまり好みではなくて...」

「そうなんだ!女の子って甘いもの好きってイメージだったから意外だなー」

そう話しながら和也は焼きそばパンを手に取る。

「じゃあ俺はシュークリームにしようかなー」

「萩野君は...甘いもの好きなんですか...?」

「俺は結構好きかなー!特にここのシュークリームはあったら買っちゃうかなー」

「そうなんですね...」

そうしてシュークリームを手に取り会計を済ませた二人は購買の席へと向かった。

「ありがとうございます...わざわざ奢らせてもらって...」

「いいのいいの!俺が奢りたくて奢ってんだからさ!」

そう言い和也はシュークリームにかぶりつく。

「やっぱり美味しいなーここのシュークリームは」

「じゃあ...頂きます...」

「どうぞー」

そういった皐月は焼きそばパンにかぶりつく

「.....!美味しいです...!!」

「そりゃよかった!」

美味しそうに焼きそばパンを食べる皐月を見て、和也は思った。

(動物みたいにもぐもぐ食べてる、可愛い)

ふとそう思った。皐月は余程美味しいのかこちらがガン見していることにも気が付かず、焼きそばパンを頬張っていた。

「すごい美味しそうに食べるね笑」

「!...すいません美味しくてつい...」

「謝ることじゃないよ笑、喜んでくれてうれしいな」

そうして二人は食べ終わり、和也は問いかける。

「テスト終わったらさ、また一緒にゲームしない?」

「私でよければ...お願いします...」

「やったー!」

そうして喜んでいる和也は、疑問に思っていることを聞いてみる。

「なんか俺が無理矢理皐月さんに話しかけて遊んだりしてる気がするけど嫌じゃない?ほんとは一人でゲームしたいとか思ってたりしない?それなら全然断ってくれていいんだけど、、、」

「全然嫌じゃないです...!いっつも一人でやってたので...コンピューターとやるより誰かとやる方が楽しいから...」

「それならよかった。じゃあテスト終わった来週またやろ!」

「はい...」

「じゃあそろそろ18時だし帰るわ!皐月さんも迎え来るだろうし!」

「わかりました...ではまた今度...」

「うん!じゃあねー!」

そうして二人は別れ、家に帰った。


家に帰った皐月は、おもむろにベットに寝っ転がった。

(疲れた...)

皐月はどっと疲れていた。人と話すのはあまり得意ではない皐月は、数日前いきない話しかけられた和也とずっと話していたので、かなり疲れていた。

(なんだか...すごい人っていうか...なんていうか...)

いっぱい話しかけられるので疲れはするのだが、決して嫌ではなかった。友達が少ない皐月はあまり人と関われないので、友達ができるのはかなりうれしかった。

(友達って言っていいのかな...)

友達と言っても、数日前に初めて話したばっかなので、自分が勝手に友達と思っているだけなのかとも思った。

「そんな細かいこと気にしても意味ないか...」

小さい声で呟いた皐月は、リビングに向かい作り置きされている夕飯を食べることにした。

皐月の家には、祖父と皐月しか住んでいない。祖父も家にはいるのだが、そんなに仲がいいわけでもないため、大体夜ご飯は別々に食べる。

「いただきます...」

そう言って皐月はご飯を頬張った。

(美味しい...)

皐月は食べるのは割と好きな方なのでご飯は楽しみな方である。

(食べ終わったら何しようかな...)

大体いつもは、食べ終わったらずっとゲームをするのだが、今日は疲れているのですぐに寝ることにした。

「ごちそうさまでした...」

そう言って皐月はまた自室のベッドに戻った。

(はあ...明日テストか...まあ午前で帰れるからいっか...)

皐月は勉強はできる方だが決して好きなわけではないので、まともに解かないといけないテストは割と面倒くさかった。それに、テストの日は4時間で、帰ってすぐにゲームができるのでそこまで嫌でもなかった。

そしてベッドに入った皐月は

「おやすみなさい」

と呟き眠りについた。







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