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第4話 最強との対戦

 学校が終わった後の放課後は、部活の時間まで大樹のサッカーの練習に付き合っている。

「今日もありがとな練習付き合ってくれて」

「ああ!またいつでも呼んでくれよな!」

そうして大樹と別れた和也はおもむろに教室へと向かう。

(また皐月さんいるんじゃないか?)

そう思い教室の扉を開けると

「あ、いたいた」

やはりいた。しかも自分の世界に入っていてこっちには気づいていない様子。

(すごい集中力だな...)

そう感心し皐月の肩をポンポンとたたいた。そうするとよほどびっくりしたのか体をビクッとさせていた。

「こんちは皐月さん、またゲームしてるんだね」

「はい...」

「毎日教室残ってるの?」

「毎日6時に迎えがくるので...それまでは大体残ってます...」

今にも消えそうな声で皐月は言った。

「じゃあ一緒にゲームしよ!今日は俺もゲーム機持ってきたんだ!」

今日は皐月さんがまた教室に残ってるんじゃないかと思い、ゲーム機を家から持ってきた。

「皐月さんがやってたゲーム俺も持ってるから一緒にやろうよ!」

そう言うと皐月さんは無言で首を縦に振った。

このゲームは1vs1のレースゲームで高い技術が求められる。和也はかなりこのゲームをやっているのでそれなりには自信があった。

そしてレースが始まった。最初こそはいい勝負をしていたが

(早すぎる、、、)

レースが進んでいくにつれて差がどんどん大きくなっていき、圧倒的な差で皐月さんに敗北した。

「マジで強いじゃん!こんなボロ負けしたの初めてだわ!」

さすがにこんな負け方をしたのは初めてだったのでかなり驚いた。

「皐月さんどのくらいこのゲームやってるの?」

「昨日始めたばっかりで...あまりまだ慣れてないです...」

とんでもない言葉が皐月さんから出てきた。

「昨日!?俺なんか一年前からこのゲームやってるけど!?」

自慢と言っては何だが世界のランキングの上位にいるぐらいにはこのゲームは上手かった。なのでその言葉を聞いて和也は唖然とした。

「じゃあ次はこれやろうよ!」

格闘ゲームを提案した。これもかなりやり込んでいるので自信はある。

「すみませんこれもってなくて...」

「大丈夫!二つコントローラー繋げば一緒にできるよ!」

このゲームはコントローラーがあれば一つのゲーム機で最大四人まで遊ぶことができるので、ソフトを持っていなくても心配無用だ。

(やったことないってことは、さすがに勝てるか)

そう思って試合にのぞむと

「え?」

初めてとは思えないとんでもないコンボをお見舞いされた。そして一発もダメージを与えることができずに試合は終了した。

「、、、皐月さん本当に初めて?」

「はい...こういうゲームはあまりやったことはないですね...」

まさかのこのゲームおろか格闘ゲームすらやったことがないらしい。

「皐月さんってもしかして最強?」

「あまりゲームで人に負けたことはないですね...強いて言うならチートのCPUには勝てないですね...」

「まずそれと戦おうとするのがおかしいよ?」

「そうですかね...」

 そうして色んなゲームをやったが皐月さんに勝つことは一度もなかった。そして時刻はとっくに18時になっていた。

「すみません...お迎えが来たので...そろそろ帰りますね...」

「もうこんな時間か、じゃあまたね!また今度やろ!」

「はい...」

そうして別れを告げ和也も家に帰ることにした。

5月、この学校では一年生のみテストがあり、和也は一年生なのでそれに向けて勉強をしていた。

「大樹ここどうやって解くん?」

大樹とは中学で仲が良く高校を合わせて入学した。そのおかげで話す相手もいるし大樹のサッカー繋がりで友達も徐々に増えていた。

「ここはねーここをこうして」

「うんうん」

「わからん」

「なんでやねん」

しかし問題なのはどちらも勉強はすこぶるできない。お互い一緒に高校に入学できたのが奇跡なぐらいだ。この授業はテスト前の自習時間なのでみんな色んなことをしている。まともに勉強してるやつもいれば、寝てるやつもいるし、なんならゲームしてるやつもいる。そして一人の女子が目に入った。

(皐月さんゲームしてるけどテスト大丈夫なのかな)

皐月さんは案の定ゲームをしていた。いつもゲームばかりしているのであまり勉強ができるイメージはない。

「おーい和也どうかしたかー」

「いや、なんでもないけど」

「清宮さんがどうかしたか?」

「いや、ゲームしてるなーって思って」

「ほんとだ、てかこの学校授業中にゲームしてても先生はなんも言わないのかな」

「さあ、でも明らかにゲームしてるの見え見えだし、見て見ぬふりしてんじゃない?」

「なるほどね」

正直言うとこの学校はあまり頭が良い人が入る高校ではない。なので生徒達もあまり勉強に関心がないし、なんなら教師も割と適当な教師が多い。まあ、俺達は勉強したくないからそれでいいのだが。

 学校が終わり、和也は昨日と同じように大樹のサッカーに付き合った後また教室へと向かった。

(お、今日もいる)

皐月さんはまた教室に残っている。今日は帰って勉強しようと思ったのだが、少しだけ声をかけてみる。

「こんちは皐月さん。今日も残ってるんだね。」

「はい...」

やはりゲームをしている皐月さんに疑問に思っていることを問いかける。

「皐月さん自習の時もゲームしてたけど、勉強大丈夫なの?」

今もゲームをしていたのでやはり勉強していないんじゃないかと思い、そう問いかけた。

「ば、ばれてたんですか...?」

「そりゃ堂々とやってるからね笑」

「あまり他人に見られることがないので...ばれないかなと...」

「なんだそりゃ」

和也は席も近いし時折皐月さんが何をしているか確認しているので普通にわかる。なんかちょっとキモイ気もするが。

「家で勉強してるの?」

「いえ...勉強はあまりしないですね...授業の時ぐらいにするぐらいですね...」

「そうなの?もうすぐテストだけど大丈夫?俺なんかやばすぎて死に物狂いでやってるけど笑」

「授業を聞けば頭に入ってくるタイプなので...提出物も出してますし大丈夫かなって...」

「俺授業寝てて提出物出してねえや、もしかしてこれ点数取らないとやばい?」

「赤点は回避しないとやばいかもしれないですね...」

和也は赤点回避するのでさえもかなりきついので、その言葉を聞いて割と絶望した。

「まじか、、、じゃあ俺今日は家帰って勉強するからもう帰るわ!」

「わかりました...」

和也は家帰って勉強すると言っているが、大体家に帰っても勉強を後回しにしてゲームをしている。

(やっぱりどうしよっかな)

家に帰ってもゲームするなら皐月さんとまたゲームをしようと思ったがそうするとテストが大変なことになるので悩みどころだ。

(ていうか俺勢いで皐月さんと話したりゲームしたりしてるけど、皐月さん迷惑じゃないかな)

もしかしたら、皐月さんは俺に邪魔されず一人でゲームしたいんじゃないかと頭によぎった。

(だとしたらとんだ迷惑野郎だな俺)

そんなことを思っていると、皐月さんが思いがけないことを言った。

「も、もしよかったら、一緒に勉強するっていうのは...」

「え?」

「私も勉強しなきゃとは思ってたから...その...嫌ならいいんですけど...」

「いいね!一緒に勉強しようよ!どうせ家帰ってもまともに勉強するかわかんないし!皐月さんとやった方が集中できそうだわ!」

皐月さんの提案を和也は快く了承した。

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