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第4話 

 あの衝撃の入学式から一週間後。僕もこの学園の生活に慣れて来た。まぁ、色々と問題はあるんだけど。


「なあ、末広。お前と付き合い始めて、もう一週間になる」


 昼休み。食堂にて今日のおススメ定食であるステーキ定食を口にしながら、遊矢は額に青筋を浮かべながら静かに話し始める。


「その言い方辞めて、なんか誤解を呼びそうだから。それと……なにさ」


 ちなみに毎日遊矢とセットで行動しているせいか、ただでさえホモ説が上がっていたりするのだ。これ以上誤解を呼ぶような事は是非ともやめていただきたい。


「何故、お前だけにこんな羨ましい事が起きるんだッ! ……後お隣の生徒会長さんの機嫌をなんとかしてくれ」


 なにも聞こえないな。僕は遊矢の後半のボソッと呟いた声ごと黙殺すると、から揚げを頬張る。滅茶苦茶不機嫌そうな凛子さんなんて見えてない。


「おや、私では不服かな」


「……この野郎見捨てやがった。いえ! 滅相もございません! 生徒会長の隣に座れるのは死ぬほど嬉しいですッ! けどこのあんちきしょうが羨ましいだけです!」


「は、ははは……。」


「君は……。随分と素直なんだな……。」


 遊矢は僕を睨み付けながら、真正面に居る僕にフォークを突きつけた。危ないなぁ。そう思いながら僕はなるべく両隣と遊矢の右隣にいる、メインヒロイン様三人の存在と遊矢の左隣の主人公様から降り注ぐ苦笑いしながらも少し不服そうな視線、そして周囲の男子の負のオーラの全てを無視して現実逃避をする。


「今日はから揚げ定食にしたんですね。ヒロ、私今日とんかつ定食にしたので一個交換しませんか?」


「あ、うん。良いけど……。」


 無理でした。やった、とアイリスは嬉しそうに微笑むと唐突に頬を染める。


「なんかこうしてると、青春って感じがしますね! 私、今までこういう事したこと無かったから凄く憧れてたんです!」


「わ、私も……。」


「フッ、君のはざるそばだが。どう交換するというのかな? ちなみに、私のはエビチリ定食だからスエヒロ君と交換できるのさ。すまないねぇ」


「アンタ、じゃんけんに負けてヒロ君の隣に座れなかったからって嫌味ったらしいのよ! この陰険女!」


 そう。問題とは他ならない、この意図せず知り合いだったメインヒロイン三人様の事だ。


 この、ほぼ毎日巻き起こる食堂席取り問題だけじゃない。例えば、凛子さんに泣いて縋られて生徒会長の臨時補佐なるものに就任したり、アイリスが親し気に話しかけて来るせいで周りの取り巻きに睨まれたり、愛華が遭遇するたびに抱きつくから周りの視線が痛いわ主人公サマは不機嫌そうだわ……。


 いや、確かに多少役得だなー。とは思ったよ? 前世で好きだったメインヒロインと話せたり触れ合えたりするんだから。それに中学時代ちょっとした事情で友達ゼロに近かったから、遊矢以外にも昔馴染みで仲良く出来る人が居てほっとしたし。けどメインストーリーに絡みたくないのと、周りの視線が……。


「そういえばスエヒロ君。もうそろそろ君達一年生は始めての学園ダンジョン攻略じゃないか? 大丈夫か? なんなら私が付いて行ってあげようか?」


「あー、そういえばもうそろそろですね」


「私を無視するなッ!」


「あ、から揚げ美味しい……」


 学園ダンジョン。通称チュートリアルダンジョンは、他のダンジョンは神の名前にちなんで名前を付けられるのに対し、名前の付けられていない非常に珍しいダンジョンだ。階層も他ダンジョンが30から100層まであるのだが、チュートリアルダンジョンでは10層までしかない。

 因みに、最終層で待ち受けるのは教団に強化されたオークである。ぶっちゃけ強化オークとは戦いたくないから、主人公組とは別れてゆっくり攻略……したいなぁ。


 ゲームでのチュートリアル兼主人公組が初めて教団と相対する事になるであろう、始めての学園ダンジョン攻略に思いを馳せつつ、まあこんな昼食も別段悪くはないかな。といつの間にか考えている自分に驚きながら、僕は交換したとんかつを口に放り込んだ。

 章プロローグ回的な感じなので短いのはユルシテユルシテ。昼ちょっと用事あったので遅くなり申し訳ない……。

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