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特別とはおこがましい

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

著作権的に大丈夫か不安なので、運営様からお叱りが来たら削除します。

なんなら作者のお名前も出てきます。


ムッシュ サン・テグジュペリ、お誕生日おめでとう御座います。

貴方の物語の良さが少しだけ分かる年齢になりました。

ある日の通勤時間、薄い赤色の煉瓦連なる道を歩いていると、薔薇を発見した。発見したと言うのは語弊があるかも知れない。なんせ幾度となく通った道であったし、薔薇が咲いて居ることには前々から気がついていたから。

その薔薇はとても小さかった。ピンポン玉サイズの小さな花。根元から先にかけてロゼに染まる。飴細工、硝子細工で花弁を作ったように、繊細だった。ちんまい棘の着いた蔦を無造作に伸ばし、自らの領土を伸ばす。その様に限って言えば少々ぞんざい。でもそこを引っ括めても可愛らしい。

その様を見ていると、憂鬱な一日もほんの僅かに光が差したように思える。だからこうしたのは一種の気まぐれ。写真に撮ったのは、ただの気まぐれ。


――今日ね、サン・テグジュペリの誕生日なんだよ。

――あぁ、星の王子さまの。

バスに乗っていると、突発的にチャットが届いた。後続の写メには小さな手作りと思しきケーキが写っている。球体の月を真っ二つに割ったような半球体。表面の穴ぼこはクレーターだろうか? よくぞまぁ、ご丁寧に。

――好きな人だからお祝い。

嬉しそうなあの子の顔が浮かぶ。写真には載ってなかったが、きっと近くに児童書と王子さまのフィギュアがある事だろう。

このケーキは彼の口に入る事は決してない。海外の人だし、知り合いではないし、そして何よりご存命では無いのだから。 それでも、こうして見知らぬ誰かにひっそりと祝われている事をしったら、彼はまた優しい名言を残してくれるのだろう。届かなくても良い。ただひっそり静かに思い続けるだけで良い。

私はふと、今朝撮った薔薇の写真を彼女に送った。

――今日の朝とった私の好きな薔薇。手はかけてないから、愛着は薄いけどね。

それでも毎日通る時に見ていた。蕾になって花が開くのを見ていた。手はかけて居ないけれど、他の花とはそこで一線をきす。

――そっか。綺麗だね。写真有難う。

ただすれ違って興味を持っただけの存在。あの薔薇にとっては、私はただの有象無象に過ぎないのだろう。でも……作家にとっての読者である様に、あの薔薇にとっても特別であって欲しいと思うのは、あまりにもおこがましいだろうか?

本日、ムッシュ サン・テグジュペリの誕生日らしいですね。

おめでとう御座います。

少しだけ、貴方の話が分かる年齢になりました。


手にかけた分だけ、苦労した分だけ愛おしい。

それは周りを見ていても、自分を鑑みても分かること。

でも毎日見守って行くうちに愛着が生まれた。

彼女の友人と同じ様に、偶目に入って手に取って、忘れられない一冊になった。

(本好きになるきっかけって、そんな小さな事じゃないですか? 私だけかな?)


そういう過程があって、特別に思われたいと思うのは当然の事では無いかと。

それを友人のサン・テグジュペリへの思いと、主人公ちゃんの薔薇への思いへと重ねた話です。


でも相手側にとっては、おこがましいのかも知れない( ˙-˙ )

『星の王子さま』は、さり気ない相手への思いに気付かせてくれる話なので、こうなりました。

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