8歳
8歳になった。
今日は楽しいピクニックの日。
うちは誕生日は大切にするらしく、家族全員でピクニックに行った。ピクニックといってもうちの庭に生えてる木の下でお弁当を食べるだけだが。
午前中は楽しく剣の修行。午後は楽しく剣の修行。なんだこれ?
とりあえず兄弟同士で剣を打ち合ってその後は父・パットンと反省会をする。父は腕利きの魔法剣士らしく一個師団を持っているとか。
まあ、銃やらなんやらがある世界戦で剣一本で敵陣に突っ込んでなぎ倒す戦術をするバカがそんなにいるのは意外だが、銃も多少なりとも使えるらしい。
ちなみに僕が使うのは細剣。剣なんて鉄の塊重くて振り回せない。だから突くことにしたのだ。
ちなみにアルテミシアはロングソード。ノエルとノルンはショートソード、ラティーシャはバトルアックスやモーニングスター、大剣などの重武器を使う。
アルテミシアは堅実といった感じで常に相手の様子を伺いカウンターを返す戦法だ。
ノエルとノルンはなぜか2体一で攻撃してくる。針に糸を通すような連携と多い手数で圧倒する。
ラティーシャはこちらがどうなろうと関係なしといった風に本気で殺しに来る。攻撃をまともに受ければ骨が折れ、避けたらよけたでサブのナイフを使って刺そうとしてくる。魔法で防御できなければ死んでいたと思う。
今日の結果は最下位だった。
誕生日だから花を持たせるとかしてくれてもいいじゃん。
この世界は回復魔法の概念があるためどれだけけがをしても気にしないのだ。
魔法の力ってスゲー!!
しかしながら治るといっても痛いものは痛い。痛いのは怖いのだ。そこで僕は一つ魔法を開発した。
『痛覚鈍化』
まあまんまだね。
魔力で神経をコーティングしてトカゲのしっぽ切りのように切り落とすというものだ。
魔力でアドレナリンを大量分泌し、痛みもない。
これはラティーシャに日常的に手を切られるのでそんなことなら切り落としてしまおうという考えだ。
これを開発したせいでラティーシャの部屋には僕の腕のコレクションがあるとかないとか。
さらに応用して腕を切り落として即再生、そのまま殴るという戦術を編み出した。
明日の稽古が楽しみだ。兄弟たちの悔しがる姿が見える見える。はっはっは。
ーーーー強すぎない?
問題は僕の腕がアルテミシアの腹筋よりも柔らかいことだった。
手をうまく切り落としてアルテミシアをひるませることはできたのだが。アルテミシアにこぶしがぶつかった瞬間軽く複雑骨折した。
魔力が使えるのは自分だけじゃないことを再認識することになった。
あと僕の魔力量は家族の中で最小で、そこまで多くない。周りと比べてあるといっても家族全体で見れば大したことないのだ。
しかし瞬間出力だけなら兄弟の中では上から1番だというのがわかった。ここだけ聞くと強そうに聞こえるかもしれないけどそんなことはない。魔力量が少ないので燃費が悪い。即コーティングして切り落とし、腕をはやしたあと、加速させて殴る。この一連の動作で9割使い切る。
肉体や、武器を強化するのは魔力量によって効果が上がるためシンプルな殴り合いでも負ける可能性がある。
アルテミシアの魔力量が1だとしたら僕の魔力は0.4ぐらいだ。ちなみにノエルとノルンがお互い0,7,ラティーシャは1.6ぐらいだ。
ちなみにアルテミシアとの稽古ではそのまま首ちょんぱされた。母さん・ヴェラが付いてきていなかったら死んでいたね。
誕生日であることに感謝。
この世界では約半分の人間が15になったら剣士学校に行き、20になったら冒険者や国直属の騎士団に入る。そしてもう半分は魔力の使い方も知らずに農民や狩人などとしてひっそりと生きていく。郊外などにある小さな村などがそうだ。
もう少しでアルテミシアとはさよならか、、さみしいような嬉しいような。
僕は剣士学校に行く前に姉から一本取ろうと決めた。