兄弟
結論から言えば転生した。
中学生のころによく見ていたラノベとほとんど同じような設定で安心した。言語はわかるし魔力も魔法もあった。
ただ一つ違うことがあるとすれば産業革命が終わっていて電気やら銃やらがあるということだ。
僕・・リーアが生まれた家エキセントリック家は代々魔法剣士を輩出する有名な貴族だった。
過去勇者ともに戦い、魔王を倒したというのが僕の先祖だといわれている。しかしながらまだ戦いは終わってない。世界の覇権を握るため戦争が起きていたり、魔王を倒した余波から出た魔力によって発生した魔物や、盗賊などの荒くれものによる被害が多く起こっている。
そんな世界とは裏腹に僕のうちは平和だった。
僕には兄弟がいた。姉が3人に妹が1人という超絶ハーレム環境で僕自身も魔力に恵まれているという優遇っぷり。世界が僕に活躍しろといっているかも知れない。ただ悲しいかな女が多いということは必然的に男にはプレッシャーがかかるものだ。
跡継ぎになるわけだしね。仕方ないね。
僕の住む家は割とでかい。三階建てで体育館5つ分ぐらいだ。家の周りにはでかめの庭があり、道場や、湖、花壇がある。完全に貴族の家って感じだ。
ーーー僕の兄弟を紹介しよう。
まず長女のアルテミシア、赤髪で背が高くキリッとした目をしていて、できる女感全開な風貌をしているが、重度のショタコンだ、、普段は完璧超人な彼女は、頻繁に僕を風呂に誘ってくる。そこまでならまだ兄弟のほほえましい関係なのだが。彼女は裸の僕を血走った目で見てくるのだ。とにかく目がやばい、あとさりげなく下半身を触らないでくれ。。。
次に双子の姉ノエルとノルン、この二人は青と黄色のメッシュで目の色も青と黄色のオッドアイ。そしてそれぞれ対照的な顔立ちをしている。二人で一人といった感じで恐ろしいほど完璧主義。彼女たちは、僕に対してのかなり当たりが強く、何かあるたびに僕にマウントをとってくる。口が悪いだけだといえばそうなのだが何かありそうで怖い。
最後に妹のラティーシャ、薄い金髪でおとなしい子のように見えるが、彼女は血を見ると興奮するやべーやつだ。目の前で割れた皿をやったときに血が出る僕の指を満面の笑みで見つめ、数秒後舐めた。その時の顔が忘れられない。。。今でも頬を紅潮させながら体を切ろうとしてくる。末恐ろしい妹だ。
兄弟なのに髪色が違うのは魔力の属性が違うからだ。人間はだれしも魔力を持っている。持つ魔力の属性が強いほど髪色が濃くなり、持つ魔力の属性が多ければ多いほど白くなる。
残念ながら僕は黒髪の無属性だ。魔法剣士特有の強化魔法は黒髪のほうが才能がおおい。将来が楽しみだ。
そんな兄弟に苦労しながら僕は7歳になった。
5歳まで魔法の英才教育を受けて5歳からは剣の特訓を行うというスタンスらしく、
走りこみなどはあっても今まで剣を持つことはなかったので、正直わくわくしている。
男という生きものは生まれたからには一度は本物の剣や刀を振ってみたいものだからね。
そして特訓が始まった。
ーーー甘かった
なんで自分が剣をうまく扱えると思ったのだろう。みんな知ってる?木刀でも打ち合えば痛いし、打たれたらもっと痛いんだよ?
まあ何が言いたいかっていうと怖い。
この世界の人間はマジで躊躇しない。腕が折れても目がつぶれてもさすがに自分の首が飛んだときは焦っていたが、体のどこかが欠損してもお構いなしだ。
理由はもちろん魔法があるから。回復魔法があるのでどんな怪我でも割と簡単に治る。さらに死んでしまっても教会に連れていき、お布施を払えば生き返らせることができるときた。
それなら実戦さながらの生きるか死ぬかの決闘をさせるよね。
前世の記憶を持っているがためにこんなことが起きるとは思わなかった。なにか専門職に就いていたわけじゃないしね。
僕の実力は上から4番目だった。一番下は5歳の妹なのでほとんど最下位だ。
「ねえ、どんな気持ち?私をぶちのめすんじゃなかったの?」
長女のアルテミシアが僕を煽る。
アルテミシアは12歳、4歳差があるので仕方ないといえば仕方がないが、相手は中学一年の女の子だ。当然悔しい。
「じゃあ今日はお姉ちゃんといっしょのベッドで寝ようね~。」
身の危険を感じることを言わないでほしい。
「ごめん、姉ちゃんそれはちょっと。。。」
あわてて断る。
「なに?あなたが負けたほうは何でも言うことを聞くって条件で勝負を仕掛けたんじゃない。」
なにも言い返せなくなり、その日はアルテミシアの腕の中で眠った。
朝起きて走り込みをして素振りをして魔法の勉強、昼食をとってからひたすら剣の打込稽古。あれ?前世とあまり変わらないのでは?