表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

プロローグ

今日は自分の葬式があった。


死んでからというもの自分の体を三人称視点で見続けるゴミゲーが始まり、まったく同じ光景を3日も見続けることになった。そもそも自分から死を選んだのだから文句を言っていられない。

高校を卒業し、就職。社会の歯車として働き続けるまさにモブのような人生。


いつからだろう。自分が頑張れなくなったのは。


中学の時自分の無力さを知ったからだろうか。

それとも高校の時あまりクラスになじめず毎日虚勢を張り続けていたからだろうか。

社会人となって少ない給料を悩みながら楽しくもない仕事を休みもなく毎日していたからだろうか。


いやすべての積み重ねだろう。

疲れてしまったんだと思う。起きて仕事をして帰って寝て、起きて仕事をして帰って寝て、起きて仕事をして帰って寝て、、、起きる。


帰ってきてコンビニの冷たい弁当を食べている時つい思ってしまうのだ。あの時ああしていたらと。

毎日後悔が積み重なっていき、自分なんて,,, と自分自身を言葉の凶器で傷つけていく。


そんな毎日に嫌気がさしてしまったのだろう。


世界では働いて食事をして寝る。それも満足にできない人もいる。そう考えると自分は幸福のようにも思える。しかしそんな毎日が続いても楽しくもなんともない。


自分には養う家族も好きな人も欲しいものも友達すらもいない。


そんな自分が嫌だったのだろう。


あるときふっと体が動き電車に衝突した。


たった2歩前に出ただけで死んでしまえた。


痛いという感情よりも救われたという感情のほうが大きかった。


自分はほとんどの人と違って電車の前に飛び出すことができるのだと優越感さえ感じていた。


その時思ったのだ。次の人生は頑張ろうとほかの人ができないことをやってやろうと。


火葬される自分を見ているとゆっくりと瞼が下りてくる。


すうっと体が引っ張られていき暖かい空気に包まれる。


そうして僕の人生は本当の意味で終わるはずだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

気づくと体が冷たくなっていた。


「寒っ!」目を開けると大柄の男が映り、その男は僕の体をお湯の中に押し込んだ。


「熱っ!」体が急激に温まり、覚醒した。


あれ?


体をタオルケットで包まれながら自分の体を触ろうとした。うまく動かない。


声もうまく出ない。軽くパニックになり、涙が流れる。


「おぎゃあああ!」まるで産声のように叫び声をあげた。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ