第9話《ブカレスト闘技場》
この街の名は、ブカレスト。
街の中央に、大きな建物が聳えてるねんけど、そこが【ブカレスト闘技場】やねんて。
ブカレストの街はかなり大きくて、北海道の半分ぐらいの土地面積らしい。運営が経営してる店とかも多いけど、闘うことを諦めて、お店を開いたり農業や漁業にいそしむプレイヤーも数多くおるらしいねんてさ。
以外に自由度の高いゲームみたいやな。
まぁ、そのうちハウゾウくんにお店を持たせるけどな。
闘技場は5人編成によるチーム戦となっているが、一人でも参加できるらしいわ。
俺ひとりでも、いけんことないと思うけども、上のランクに上がれば厳しくなってくるやろうからな。
EランクからSSランクまで存在していて、各地にマスターが存在するらしいねんけど、こいつらは異次元の強さを秘めてるとバルバロが言うとったな。
おもろいやんけ。
マスターを倒せば、新たにマスターになれるらしいわ。
マスターになると、挑戦者からの依頼を受ける義務が発生するので、挑戦依頼を破棄すると負けとなる。なので定期的に防衛戦が行われる。
防衛戦は、月に2回。
半月ごとにSSランクではリーグ戦が行われて、リーグ戦で1位になればマスターへの挑戦権が得られるシステムのようやった。
まずはEランクで、リーグ戦を勝ち抜かんとやな。
恐らく勝つのは容易やったが、リーグ戦は5日間かけて行われる。
SSランク以外は随時、リーグ戦が開催されているので早速、参加登録した。
参加登録した翌日から、対戦が行われる。
「今いる5人で、リーグ戦を勝ち抜かんとアカン。せやから、軽く戦略を練りたい。二人のスキルを教えてもらえると、かなり助かる」
「あら。ようやく、わたしを頼ったわね」
「上のリーグを狙うなら、チーム力が物を言うはずや。レベル上げながら、強力なスキルを組み合わせてかなやろ?」
そういうと、二人とも神妙に頷いた。
「私で良かったら、好きに使って下さい」
「わたしのクックドゥードゥドゥも結構、役に立つんだからね?」
少しはパーティーらしくなっているようやな。
まずは、ミリアのスキルから確認や。
武具種:剣 スキルスロット数:2
ランク:SSR☆☆☆☆
――魔剣クックドゥードゥドゥ。
【混乱するニワトリ】(P)
味方全員の剣に、混乱効果を付与する。
敵を攻撃するたびに、味方全員の攻撃力が10%上がる。
他の攻撃力アップ効果と合わせて、10回の積み上げが可能。この効果は5ターン継続する。
めちゃくちゃ、使えるスキルやった。
まさかのバフ特化型の効果である。
ニワトリ剣士の名前から馬鹿にしてたけど、使い方次第ではミリアは化けそうやな。闇属性ではないにしても、俺の編成には必要となるスキルを持っとるんが意外やな。
ニワトリ剣士の固有スキルは、以下の2つや。
【炎の雄叫び】(P)
3ターンの間、編成キャラの炎属性防御力を30%上げる。
【ニワトリ斬り】(A)
攻撃力の150%の剣属性攻撃。
攻撃力の2倍の炎属性追撃。
そこそこ使えそうなスキルやった。
「どうよ、ロキ?」
「鍛えれば、強くなりそうや」
「でしょ? だから、言ったじゃない!」
嬉しそうに、ミリアが叫ぶ。
職業の名前で、ちょこちょこ馬鹿にされてたんやろう。
俺もそうやったから、悪いことをしたと反省しなければならない。
続いて、ミレーニアのスキルや。
まずは、武具から。
武具種:杖 スキルスロット数:2
ランク:SR☆☆
――暗黒杖グリモワール。
【闇への誘引】(P)
バトル開始と同時に、敵全員の攻撃力と防御力を半減させる。
この効果は、装備者が攻撃されると解除される。
ダークメイジの固有スキル。
【ダークキュア】(P)
闇属性耐性が50%アップ。
3ターンの間、HPの20%が回復する。
【闇の加護】(P)
闇属性攻撃力が50%アップする。
「うん。使えるな」
「本当ですか?」
ミレーニアの表情が、明るくなる。
彼女は内気な性格なので、ミリアとは違う意味で扱い方に困るな。
こうやって二人のスキルを見てみると、パッシブスキルが多かった。
パッシブスキルは持っているだけで効果が発動されるので、戦闘開始と同時にバフが掛かるのは大きいな。
思ったよりも、ふたりの恩恵が得られるのは助かる。
ハウゾウくんのチートスキルと組み合わせたら、かなり無双できそうやな。
ラフィーネのスキルだけが、不明のままやねんけどな。