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第3話《食堂でござる!》
闘技場には向かわずに、近くの食堂に訪れていた。
なかに入ると、ドクターがカツ丼をかき込んでいたので、すこしばかり驚いた。
「やぁ、ロキちゃん!」
どうやら思考回路が、ドクターと同じようやな。
ハウゾウくんが、椅子に飛び乗っていた。
「ハウちゃんも、カツ丼にするかい?」
「もちろんで、ござるよ!」
誇らしげに、胸を張るハウゾウくん。
これからガチでやり合うとは思えないぐらいに、ドクターが親しげな笑顔をハウゾウくんに向けている。
「――ん?」
俺の視線に、ドクターが気付いたようだ。
「これが、気になるのかい?」
ドクターの腰には、剣が提げられている。
弓ではなくて、剣だ。
「これが本来の――僕の専用武具だよん!」
可愛らしく言っても、まったく可愛くはなかった。
さすがは、ドクター。
手の内を、なかなか見せてはくれそうにないな。