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第2話《タバコ、吸わんの?》
「闘技場に行かなくて、良いん?」
すでに、昼過ぎやった。
第一試合が一時間後に、始まってしまうやろうな。
いつもなら、すでに闘技場にいる時間である。
早めに行って色々と品定めをするのが、日課みたいになっていた。
「今日は第三試合やから、ゆっくりで良いよ」
スキルを確認しながら、答えるとラフィーネは溜め息をついた。
ハウゾウは朝一から元気やったが、いまは転寝をしている。
今日ばかりは、真剣に編成を考えらんとアカン。
いつもは、わりと適当や。
「珍しく、ガチやんか?」
「せやな」
そっけない返答。
ラフィーネは、また溜め息をついた。
「ドクターと、ずっと闘いたがってたもんね」
「うん」
ほとんど、聞いていない。
頭のなかは、ドクターでいっぱいやった。
「タバコ、吸わんの?」
くわえたまんまの煙草は、火がついていなかった。