第4話《余裕ですね!》
「いやぁ~……恐いね、ヴォーグ君!」
感嘆の声をあげるドクター。
次に当たる相手なだけに、他人ごとやないで。
「せやろ。リチャードだけやないねん。ヴォーグも、めっちゃヤバいねん!」
「でもさぁ、僕としてはリチャード君が恐いんだよね」
ドクターの言いたいことは、良くわかる。
ヴォーグはある意味では洗練されているが、リチャードは成長期にいる。
だからこそ何が飛び出してくるのかが、まったくの予測不可能なんや。
「……てか、ドクター。えらい、ゆっくりしてはるやん!」
煙草に火をつけるドクターは、もうすぐ試合や。
色々と準備があるやろうに、余裕の様子でやった。
「大丈夫だよ、ロキちゃん。これを吸ってからでも、間に合うから!」
次の対戦相手は、ブンブン丸や。
嚙み合わせ的には、各個撃破タイプのドクターとは最悪のはずや。
ブンブン丸は本来、超攻撃型の人間。
闘いが長引けば、負けるリスクが高まってくる。
なので俺みたいに、全体攻撃で焼き殺すのが有効な策なんやが。
さすがにそれは、対処してくるはずや。
「ブンブン丸をどう攻略するのかが、楽しみやな!」
「任せてよ、ロキちゃん。カッコよく、ぶっ殺してくるから!」
そう言って、煙草を灰皿にこすりつけていた。